治療
鉄欠乏性貧血は、鉄剤を補うとヘモグロビン値も臨床症状も改善しますが、それを引き起こした原因疾患の精査とその治療が重要です。それを怠ると、がんなどの重要疾患の発見が遅れてしまいます。原因疾患の精査後、あるいは並行して、欠乏した鉄の補充が行われます。鉄の補充には内服薬によるものと注射によるものの2通りがありますが、通常は鉄剤の内服治療を優先します。
治療方法としては鉄剤を毎日1~2回服用し、定期的に検査をしながら、貧血の程度に応じて数か月続けます。ただし、過多月経が原因の場合には、子宮筋腫などの過多月経を起こしている原因治療を行うか、閉経まで薬を飲み続ける場合もあります。
消化器症状などが出て、鉄剤の内服が難しい場合や、鉄の吸収不良などで内服による効果が得られない例では、静脈注射で鉄剤を補充する場合があります。注射の投与は病院で行います。以前は週に複数回と頻繁に通院する必要がありましたが、カルボキシマルトース第二鉄やデルイソマルトース第二鉄のように週に一度の投与で効果が長く続く薬剤が近年保険適用され、患者の負担の軽減が期待されています。通常は週に1回投与し、1~3回の投与で臨床効果が得られます。また貧血の程度によってはさらに間隔を空けて投与することもあります。しかし、注射薬は鉄過剰に陥る可能性があります。鉄剤の経口投与であれば、過量に投与しても十二指腸で吸収を調節するため鉄過剰にはなりにくいですが、注射剤の場合は血管に注入するため過剰投与に注意する必要があります。人体には過剰の鉄を積極的に排泄する機能がなく、いったん鉄過剰になると簡単には改善できないため注意が必要です。
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