原因
間質性肺炎は原因や病態に応じてさまざまな種類がありますが、原因を分かりやすく分類すると、免疫異常によるもの(自己免疫性間質性肺炎)、異物の吸入によるもの(職業環境性間質性肺炎)、薬や放射線治療によるもの(医原性間質性肺炎)、感染症によるもの、原因を特定できないもの(特発性間質性肺炎)の5つに大きく分けられます。
免疫異常によるもの
免疫異常によるものとして、自己免疫疾患である膠原病(関節リウマチ・全身性エリテマトーデス・強皮症・皮膚筋炎・シェーグレン症候群など)や、IgG関連疾患、肺サルコイドーシスなどが挙げられます。
自己免疫疾患とは、異物を排除する役割を持つ免疫系が何らかの原因によって機能不良となり、自身の組織を攻撃してしまう病気を指します。
異物の吸入によるもの
たばこの煙、ペットの毛、カビ、羽毛布団、アスベストなどを長期にわたって吸い込むことで、間質性肺炎が起こることがあります。
薬や放射線治療によるもの
原因薬としては抗がん剤や抗不整脈薬、抗菌薬などが多いとされています。このような薬は病院で処方されるものですが、市販薬や漢方薬が原因となる場合や、サプリメントなどの健康食品を長期にわたって摂取することで発症することもあります。また、高濃度の酸素投与や放射線治療によっても間質性肺炎を引き起こすことが知られています。
感染症によるもの
マイコプラズマやサイトメガロウイルスなどの特殊なウイルスに感染した場合のほか、新型コロナウイルスに感染した場合も間質性肺炎を引き起こすことがあります。
原因を特定できないもの
原因を特定できない特発性間質性肺炎は、原因不明であるものの、遺伝的要因と環境要因の両方が関与していると考えられています。また、患者さんのほとんどが喫煙者であるため、喫煙による影響も指摘されています。
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