でゅしぇんぬがたきんじすとろふぃー

デュシェンヌ型筋ジストロフィー

同義語
DMD
最終更新日:
2022年03月30日
Icon close
2022/03/30
掲載しました。
この病気の情報を受け取るこの病気は登録中です

処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

医師の方へ

概要

デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、骨格筋の壊死(えし)・再生を主な症状とする筋ジストロフィーの1つです。

筋ジストロフィーにはさまざまな種類がありますが、X染色体に存在するジストロフィン遺伝子と呼ばれる遺伝子変異によって小児期に発症するものをデュシェンヌ型筋ジストロフィーと呼びます。同様にジストロフィン遺伝子の異常によって起こるベッカー型筋ジストロフィーと合わせて、ジストロフィノパチー(ジストロフィン症)と呼ばれることもあります。

筋ジストロフィーは筋肉が壊れやすくなっており、筋肉の再生が追い付かないことで徐々に筋肉量が低下し、筋力の低下を引き起こします。デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは3歳頃から転びやすい、走れないなどの運動機能の異常がみられ、やがて歩行困難や呼吸機能、心臓機能の低下がみられるようになります。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーは筋ジストロフィーの中でも頻度の高いタイプで、X染色体を1つしか持たない男児に発症することが多く、出生男児約3,500人につき1人の割合でみられるといわれています。ただし、遺伝によらない突然変異によって発症することもあり、日本の患者の4割は突然変異によるものであるといわれています。

原因

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの原因はX染色体に存在するジストロフィン遺伝子の変異に由来します。ジストロフィンは筋肉の細胞膜にあり、筋肉細胞が正常に機能するために必要なタンパク質です。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは筋肉細胞の膜の安定化に関わっているジストロフィンタンパクが欠損しているため、筋肉細胞が壊れやすくなり、その結果筋肉量が減少し筋力低下の症状がみられるようになります。

ジストロフィン遺伝子はX染色体上に存在しており、潜性(劣性)遺伝します。女性では片方の親から異常な遺伝子を受け継いでいたとしても、もう一方のX染色体上の遺伝子が正常であればデュシェンヌ型筋ジストロフィーを発症することはありません。しかし、男性はX染色体を1つしか持たないため片方の親から変異遺伝子を受け継ぐと発症することになります。

ただし、デュシェンヌ型筋ジストロフィーは突然変異で生じる場合もあり、この場合は親が変異遺伝子を保有していなくても発症します。

症状

デュシェンヌ型筋ジストロフィーは下肢の筋力低下からはじまり、徐々に全身の筋力低下を生じます。特に、体幹に近い筋肉に症状が現れることが多く、経過とともに心筋や呼吸筋といった生命維持に不可欠な筋力の低下をきたすようになります。

症状は幼少期から現れることが多く、歩き始めが遅いなどの発達の遅れから始まり、歩く、走る、飛び跳ねる、階段を上り下りするといった場面で下肢の運動機能の問題が明らかになります。病気の進行とともに上肢の筋力も低下するようになります。体幹を支える筋の力が弱くなるために脊椎変形(脊柱側弯症(せきちゅうそくわんしょう))がみられるようになります。

出現時期がさまざまですが、心筋障害が出現しゆっくりと進行する場合が多いです。さらに、呼吸筋の筋力低下が進むことで慢性呼吸不全を認めるようになり、感冒(かぜ)をきかっけに排痰困難、覚醒不良、起床時の頭痛などの症状が出現してきます。

また、デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者の約3分の1は発達障害や知的障害を合併する場合があります。

検査・診断

デュシェンヌ型筋ジストロフィーは男児で筋力低下といった特徴的な症状から疑われ、遺伝子検査や筋生検によって診断されます。また、家族に筋ジストロフィーの男児がいたり、筋力低下の患者がいたりする場合には疑われる可能性が高くなります。

検査では筋肉の破壊を示す血液中のクレアチンキナーゼの値やジストロフィン遺伝子変異の有無の確認、筋肉中のジストロフィンタンパクの量などによって診断されます。

診断後には心臓の異常を調べるために心電図検査や心エコー検査、呼吸機能検査などを定期的に行っていく必要があります。

治療

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの根本的な治療薬はなく、リハビリテーションや対症療法が中心になります。また、ステロイド薬による治療やエクソンスキッピング治療と呼ばれる薬物治療が行われています。

リハビリテーション

関節が固くなる症状(関節拘縮(こうしゅく))や変形の予防、転倒や事故の予防対策、車いすの利用など、生活範囲を維持拡大するためにさまざまなリハビリテーションを早期から実施します。

また、呼吸、食事、社会活動などの訓練を行い、健康維持や生活の質の維持を目指します。

対症療法

脊柱側弯症、呼吸筋の低下や心機能の低下に対しては、手術や心保護薬、人工呼吸器の装着などの治療が行われます。また、嚥下(えんげ)能力が低下することで食事が困難になると、経管栄養や胃瘻(いろう)の造設が行われることがあります。

薬物治療

デュシェンヌ型筋ジストロフィーではステロイド薬を使用することで歩行可能な期間が長くなったり、呼吸機能の低下を遅らせたりできることが期待できます。

また、新しい治療法として治療薬によるエクソンスキッピング治療と呼ばれるものがあります。ジストロフィン遺伝子の遺伝情報を読み取るはたらきにアプローチする新しい治療法です。エクソンスキッピング治療は遺伝子変異のタイプによって適応が決まる方法のため、適応があるかどうかは主治医と相談する必要があります。

医師の方へ

医師向けの専門的な情報をMedical Note Expertでより詳しく調べることができます。

この病気を検索する
デュシェンヌ型筋ジストロフィーについて

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの概要、診断方針、治療方針をまとめて確認することができます。

「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」を登録すると、新着の情報をお知らせします

処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください