きゅーねつ

Q熱

最終更新日:
2023年02月27日
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2023/02/27
更新しました
2017/04/25
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概要

Q熱とは、コクシエラ属の細菌が原因となって起こる感染症です。Q熱という病名は、1935年にオーストラリアの屠畜場で流行した原因不明の熱性疾患(QueryFever=不明熱)として報告されたことに由来します。

Q熱はヒトとヒト以外の脊椎動物の両方がかかる人獣共通感染症の1つで、ヒトへの感染としてはウシ、ヤギ、ヒツジ、ネコが感染源となることが多く、感染した動物の出産時の胎盤、尿、糞便などに含まれる病原体を吸入することでヒトに移ります。

感染すると高熱や頭痛、悪心、倦怠感、筋肉痛といったインフルエンザのような症状が現れます。多くの場合、治療をしなくても7~10日程度で自然に治癒しますが、一部の人では重症化したり、慢性化して完治が難しくなったりすることもあります。

なお、日本の感染症法においてQ熱は4類感染症に定められていて、国内では最近10年で10例程度(2013~2019年の間で12例)が報告されています。

原因

Q熱は、コクシエラ科コクシエラ属のコクシエラバーネティー(Coxiella burnetii)という細菌による感染が原因です。この細菌は感染力が高く、1つでも吸いこむと感染症を引き起こす可能性があります。そうした特性から、昨今はバイオテロに使用されることなども危惧されています。

ヒトへの主な感染経路は、家畜の反芻動物(ウシ、ヤギ、ヒツジなど)やネコなどのペットで、多くはこれらの動物の出産・流産に関連して感染します。

これは感染した動物の胎盤などの妊娠産物に大量の病原体が含まれているためです。妊娠産物と比較すると少ないですが、尿や糞などにも含まれ、このような病原体を含むエアロゾル(空気中に漂う微細な粒子)や塵埃を吸入することでヒトに感染します。

なお、Q熱はまれにヒトからヒトに感染することもあります。感染機会として、感染妊婦の分娩時、肺炎患者、病理解剖時などが報告されています。

症状

Q熱の病態は、大まかに急性型(急性Q熱)と慢性型(慢性Q熱)に分けられます。発症直後からしばらくの間が急性型でほとんどがこの期間に治りますが、適切な治療を行わないと感染が持続し慢性型に移行することがあります。

急性Q熱

一般的に原因菌に感染してもすぐには症状が現れず、2~3週間程度の潜伏期間を経てから症状が出てくるようになります。

無症状のまま経過することも多いですが、発症した場合には高熱や頭痛、悪心、倦怠感、筋肉痛などのインフルエンザ様の症状が現れます。軽度であれば風邪様の症状にとどまります。

多くの場合、このような症状は7~10日程度で自然に回復します。しかし、中には肺に影響が及んで肺炎が生じたり、肝炎が生じたりと重症化することもあります。

肺に影響が及んだ場合には、乾いた咳、胸痛、息切れなどがみられ、肝臓が障害されると右上腹部痛や、しばしば黄疸(おうだん)(皮膚や白眼が黄色く変色した状態)が生じます。また、妊娠中に感染した場合には流産早産のリスクが高くなります。

慢性Q熱

急性Q熱から慢性Q熱に移行する割合は2~10%とされ、急性Q熱の回復後しばらくしてから倦怠感、不眠、関節痛などの症状が現れ、長期間持続することがあります。

また、慢性Q熱では心臓の内膜と弁が侵されて心内膜炎が起こることやそのほか骨、人工関節、肝臓が障害されることもあり、一般的に慢性Q熱になると難治性となります。

この病気によって死亡することは極めてまれですが、心臓は生命維持に重要な役割を担っているため、心臓が障害されていると死亡率が上がります。

検査・診断

血液検査によって診断されるのが一般的です。原因菌に感染すると、体の中ではその菌を排除するための抗体が作られるため、血液を採取して抗体を確認します。

採取した血液からPCR法によって病原体の遺伝子を検出することもあります。

治療

抗菌薬による治療が基本で、急性Q熱の場合には主にテトラサイクリン系の抗菌薬が用いられ、発症から3日以内に内服することで高い効果が期待できます。

2~3週間ほど続けて内服する必要がありますが、ほとんどの場合この治療で完全に治癒し、予後は良好です。

一方の慢性Q熱では、テトラサイクリン系とほかの抗菌薬の2剤併用を最低3年間内服する必要があります。しかし、慢性Q熱の予後は悪く、数年にわたる投薬でも十分な効果が得られない場合や、心内膜炎に対して弁置換術などの手術が必要になる場合もあります。

Q熱は自然に治癒することも多い病気ですが、慢性型に移行すると完治が難しくなるため、急性期に抗菌薬による治療を受け、慢性型に移行させないことが大切です。

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