院長インタビュー

目に見えない価値を医療に添えて。地域の安心と健康を守り続ける JAとりで総合医療センター

目に見えない価値を医療に添えて。地域の安心と健康を守り続ける JAとりで総合医療センター
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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茨城県南部において、長年にわたって地域医療の中心的な役割を果たしているJAとりで総合医療センター。救急医療や体への負担を考慮した診療を軸に、心あたたかな医療を提供しています。

病院長を務める冨滿 弘之(とみみつ ひろゆき)先生は、「患者さん・地域・職員を守る」ことを何より重視し、一人ひとりの生活に寄り添う診療を実践されています。冨滿先生に、地域医療に注ぐ思いや、目指すべき病院の姿についてお話を伺いました。

私たちが診療を担うエリアは、取手市を中心として守谷市や龍ケ崎市、つくばみらい市、さらには利根町といった茨城県南部の広い地域に及んでいます。当院はこの地域の中で、「信頼され、選ばれる病院を目指す」という理念を心に刻み、医療の中核を担う存在として歩みを進めてまいりました。

今も、これからも、この地域で何かが起きたときに思い出していただける存在でありたいと考えています。そのために、当院は急患をしっかりとお受けする救急医療と、新しい機器を用いつつ体へのご負担を抑えた治療の2つを柱に据え、日々診療を行っています。

当院では年間約5,000台の救急車をお受けしており、ウォークイン(救急車を使わずに救急外来を受診すること)の方も含めると年間で約1万7,500人の救急患者さんが受診されています(2024年4月~2025年3月実績)。地域の医療を受け止める施設である以上、どのようなときであっても患者さんを温かく迎え入れる体制を目指さなければなりません。

そこで当院では日中だけでなく、夜間や休日においても常勤医師が責任を持って診療できる環境づくりを進めています。地域の生命線を支える病院として「断らない救急」を目指し、これからも1人でも多くの患者さんを受け入れる救急医療に取り組んでまいります。

当院では、急な体調変化に対応する救急医療だけでなく、患者さんができるだけ負担の少ない治療を受けることが可能な環境づくりにも取り組んでいます。その一環として、手術支援ロボット「ダヴィンチ」や、強度変調放射線治療(IMRT)に対応した装置などを導入してきました。
こうした設備は患者さんの早期回復を後押しするだけでなく、若い医師が経験を積み、より良い医療を提供できるようになるための学びの場にもなっています。

しかし、充実した設備があるだけでは、現在の地域医療を支えきることはできません。ご高齢の患者さんは手術が必要な病気以外にも、さまざまな持病を抱えていらっしゃることが珍しくなく、それら全てに対応する必要があるからです。
そこで生きてくるのが、当院が培ってきた内科の総合力と、診療科の垣根の低さです。当院では内科が中心となって患者さんの全身状態をしっかりと管理し、状態を整えてから外科の治療へとバトンを渡すという診療体制が、風通しのよいコミュニケーションと共に整っています。このような体制によって、高齢の患者さんや複雑なご病状の方であっても、当院の中で安心して治療を完結できるよう努めています。

当院では、27の診療科それぞれに専門性を持つ医師を配置し、幅広い病気へ対応できる体制を整えています(2026年8月時点)。その一例が、私の専門でもある脳神経内科です。

脳神経内科では、脳卒中やパーキンソン病、認知症やてんかんなど、さまざまな神経疾患の診療に取り組んでいます。高齢化が進む地域では、神経疾患に加えて高血圧や糖尿病、心疾患など複数の病気を抱える患者さんも少なくありません。そのため、脳神経内科だけで診療を完結させるのではなく、必要に応じて他の診療科と連携しながら、一人ひとりの病状に応じた医療をご提供しています。

私が当院へ赴任した当時は脳神経内科の医師は3人ほどでしたが、現在では診療体制を充実させ、地域の皆さんにより安心して受診していただける環境を整えました。今後も専門性を生かし、数少ない日本神経学会教育施設病院としてその名に恥じない診療実績を上げながら、地域の神経疾患診療を支えていきます。

医療というものは、決められたお薬をお渡ししたり、標準的な処置を行ったりするだけで完結するものではありません。たとえばパーキンソン病の患者さんに対してレボドパというお薬を1日3錠処方する場合、どの医師が処方してもお薬自体に違いはないわけです。だからこそ私は、そこに安心感や納得感というプラスアルファを添えてお届けしたいと考えております。お薬がより効果を示すように、料理でいうと塩・コショウを加えたり、ちょっとした魔法をかけるような工夫です。
不安を解消する丁寧な説明や、栄養に配慮した美味しい食事、スタッフの優しい接遇など、トータルでの体験は患者さんの満足感につながります。当院ではただ病気だけを診るのではなく、その方の生活背景やご家族まで思いやる姿勢を、スタッフ全員が心がけています。

私は病院の中で患者さんをお待ちするばかりでなく、地域の中へと積極的に足を運ぶ取り組みを大切にしています。たとえば、地元の医師会の先生方と普段からお顔の見える交流を重ね、信頼関係に基づいたスムーズな連携を行っています。

さらに、患者さんや住民への健康講話を毎月のように実施し、皆さんの健康作りに役立つ情報をご提供してまいりました。地域の皆さんとの交流という点では、毎年「ふれあいまつり」という病院祭を行い、多くの方に病院に足を運んでもらい、「健康」というテーマを介して職員と話をして、病院を身近に感じていただいたり、親子への心肺蘇生訓練や学生への体験セミナーで医療の魅力を伝えたりと、多様なアプローチを続けています。これからも行政や保健センターとも協力しながら、困ったときにいつでも当院を頼っていただける関係を育んでいきたいと考えています。

私が5歳のときに可愛がってくれた祖父が突然倒れ、そのまま自宅で亡くなりました。今思えば、祖父は脳卒中だったと思います。当時は往診のお医者さんの指示で頭を冷やすことしかできず、子どもながらに何もできないもどかしさを感じたことを今でも覚えています。
その後、小学校に入って間もなく「脳卒中は手術で治療できる」というニュースを聞き、「救える命があるのだ」と大きな衝撃を受けました。この体験が医療の道を志す原点になっています。

だからこそ私は、ただ病気だけを診るのではなく患者さんの生活やご家族まで含めて支える医療を大切にしたいと考えています。私は鹿児島県の出身なのですが、同郷の偉人である西郷隆盛の「敬天愛人」という言葉にもあるように、私心を捨て、目の前の患者さんや地域社会に誠実に向き合うことが何より重要だと確信しています。

病気を抱えながらでも、この地域で安心して暮らしていただけるよう、これからも救急医療と体への負担を考慮した診療の充実に努めるとともに、患者さん一人ひとりに「目に見えない価値」を感じていただける医療を実践してまいります。お体について少しでも気になることがございましたら、どうぞ安心して当院へご相談ください。

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