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赤ちゃんの便秘:医師が考える原因と対処法|症状辞典

赤ちゃんの便秘

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • お腹がパンパンに張っている
  • 機嫌が悪く、お腹を触られるのを嫌がる

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 1週間に2回以下しか出ない
  • 排便時に泣く・機嫌が悪くなる

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 一時的なもので、様子に変わりなく食べたり眠ったりできている

佐久総合病院佐久医療センター 小児科 医長

坂本 昌彦 先生【監修】

便秘とは、便が腸に溜まって出にくい状態、もしくは排便に苦痛を伴う状態のことを指します。

便秘の症状として、排便が週2回以下(3~4日に1回以下)、排便時の肛門の痛みやいきみが強いことなどが挙げられ、ひどい便秘の場合には直腸に溜まりきらなくなった便が漏れ出す「便失禁」を引き起こすこともあります。

赤ちゃんにこれらの症状が見られた場合、原因としてどのようなものが考えられるでしょうか。

生後数か月以内は便を出す力がまだ弱く、上手く踏んばることができないために便が出にくいことがあります。この場合、出てきた便はやわらかいことが多く、自然に改善することが一般的です。また、必要な量の栄養が不足していると便の回数が減ることもあります。この場合、体重がしっかりと増えていれば問題ありません。また、離乳食の開始時期、トイレトレーニングの時期、入園の時期などは便秘になりやすいといわれています。

ただし、1週間以上の便秘を繰り返す場合には、生まれつきの病気が隠れていることもあり、注意が必要です。以下では、便秘の原因となる可能性がある病気についてお伝えします。

ヒルシュスプルング病

腸の運動をつかさどる神経節細胞が生まれつき欠けているために、大腸にある便をうまく送り出すことができず、便秘を引き起こす病気です。症状の程度は人によって異なり、重症の場合は生後間もない頃から頑固な便秘で吐いたりお腹が大きく張ったりします。一方、軽症の場合には便秘傾向が見られるのみで発見が遅れることもあります。治療は浣腸などの処置をしながら、時期を見て手術を行います。  

ヒルシュスプルング病
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甲状腺機能低下症

体内の甲状腺ホルモンの分泌が低下する病気です。このホルモンの分泌が少ないと消化管の運動が悪くなるため便秘になりやすいです。他にも母乳やミルクを飲む量が減ったり、元気がない、むくみなどの症状が現れることもあります。

甲状腺機能低下症
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赤ちゃんの便秘はよく見られる症状ですが、1週間以上の頑固な便秘を繰り返すなど症状が長引く場合には思わぬ病気が隠れていることもあり、早期にかかりつけの小児科などを受診することを検討しましょう。  

その他にも、食欲がなく食事量が減っている場合や嘔吐や腹痛症状がある場合、排便痛のために排便をがまんしている場合、排便時に出血する場合にも受診を検討するようにしましょう。

治療で知っておいてほしいポイントは3点あります。1つめは早めに積極的な治療を行うことを検討しましょう。便秘を放置しておくと、排便時に痛みを感じ、がまんすることでさらに便秘がひどくなります。これを便秘の悪循環といいます。便秘が原因で尿路感染症や夜尿の原因にもなるため注意が必要です。2つめは「最初に詰まった便を取り除くことが治療の第一歩」ということです。下剤の内服や肛門の浣腸、座薬などを使って詰まった便を取り除くことで、次の治療法、すなわち薬物療法や食事療法に繋げていくことができます。3つめは「治療には時間がかかることも多い」ということです。半年から数年かかることもあります。病院で医師と相談しながらじっくりと取り組んでいきましょう。

赤ちゃんに便秘が生じた際、便通を良くするためにさまざまな対応を行うことがあります。以下では、病院で指導する肛門刺激や食事についての注意点をお伝えします。

乳児期の便秘には、肛門刺激が行われることが多いです。これは大人用綿棒にワセリンなど滑りを良くするものを塗り、肛門から1〜2cm挿入します。優しく刺激することで排便を促せることもあります。癖になるのではと心配する方もいますが、むしろ便秘が癖にならないために、刺激して毎日排便を促すことが大切です。

食物繊維

食物繊維(野菜や海藻、果物など)は消化できないため便の量を増やし、腸内で水分を含んで便を軟らかくする働きがあり、便通改善効果があります。ただし、便が詰まった状態で食物繊維だけ増やすと腹痛がひどくなることもあります。

乳製品

現在、複数の報告で「牛乳を制限すると便秘が改善し、牛乳を摂取すると便秘がひどくなるケースがある」ことが分かっています。そのため通常の便秘治療で反応しない頑固な便秘の場合には期間限定で牛乳を制限することもあります。

ヨーグルトに関しては、有効という意見と効果がないという意見があり、結論はまだ出ていません。摂取して調子がよい場合には続けて用いてよいでしょう。

水分

脱水になるほどの状態でなければ、便秘に対する水分投与の効果はないとの報告があります。現時点では脱水でなければ、便秘の治療を目的に必要以上に水分を増やす効果は乏しく、便秘以外は健康なお子さんに「水分が足りていないのでは?」と特別に心配する必要はありません。

日常生活上の対処法を講じても便秘が改善しなかったり便秘を繰り返したりするような場合には、思わぬ病気が潜んでいることもあります。便秘の症状が1週間以上続く際には病院を受診することを検討しましょう。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。