便が白い:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典
急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。
埼玉医科大学病院消化管内科 診療部長 教授
今枝 博之 先生【監修】
便が白い事を医学用語では「白色便」といい、便の色が白や灰白色、薄い黄色、クリーム色となっている状態を指します。
便は健康のバロメーターという言葉もあるくらい、便の状態は健康と関係があるといわれています。便の色が白い場合に考えられる原因には、どのようなものがあるのでしょうか。
便が白い場合に考えられる病気には、胆道閉塞、膵機能異常、ロタウイルスなどの感染症などがあります。
胆道閉鎖症、胆道腫瘍(胆管がん、胆のうがん、乳頭部がん)、胆石症など胆管が狭くなる病気によって、白い便が出ることがあります。便の色の元となっているものは胆汁です。この胆汁の通り道が何らかの理由でふさがってしまう事で便の色が薄くなったり白くなる事があります。
胆道閉鎖症とは、生まれつき、または生後間もない時期に起こる胆管がふさがってしまう病気です。主な症状は白~薄黄色の便や、肌や白目などが黄色く見える黄疸です。
胆道がんは胆道にできたがんの総称です。初期には症状が現れにくい事も多いですが、主な症状には、黄疸、白色便、茶色っぽい色の尿、皮膚のかゆみ、倦怠感などがあります。
胆石症とは、胆嚢や胆管に結石ができる病気です。主な症状は、食後や夜間に突然起きる強い腹痛、背中の痛み、発熱、黄疸、白い便などがあります。
膵臓がんや慢性膵炎などの膵臓の病気で、が正しく機能しない場合にも、白い便が出ることがあります。
膵臓がんは、文字通り膵臓にできたがんのことで、早期発見が難しいうえに進行が早く、治療が難しいといわれているがんの一つです。主な症状は、腹痛、背中の痛み、食欲不振、体のだるさ、体重減少ですが、胆管をふさいで黄疸や白っぽい色の便が出ることもあります。
膵臓に繰り返し炎症が起こった事で、膵臓の細胞が壊れてしまう慢性膵炎でも白い便が出る事があります。主な症状は、背中やみぞおちに現れる重く鈍い痛み、体重減少、脂肪便などがあります。脂肪便とは、膵臓の機能が低下したことによって膵液が十分に分泌されず、消化不良となった便です。クリーム色のような薄い色をしており、油っぽく水に浮くという特徴があります。
白い便が出る感染症として、ロタウィルスやコレラがあります。
ロタウィルスは急性胃腸炎の一種で、0~2歳の子どもを中心に冬から春先にかけて流行する傾向があります。主な症状は、吐き気、嘔吐、発熱、米のとぎ汁のような白~灰白色の水っぽい下痢、腹痛などです。
なお、下痢は発熱、嘔吐がおさまった後も続くことがあるため脱水症状を起こしやすいため注意が必要です。
コレラはコレラ菌に感染することで発症する病気です。たいていは、中東などコレラが流行している地域への旅行で感染し、国内でかかる事はまれな病気です。
ごく軽い症状ですむ場合もありますが、多くは激しい下痢となり、白い米のとぎ汁のような下痢が出る事もあります。腹痛や発熱があまり見られないのも特徴です。激しい下痢のために脱水症状となりやすく、早期の受診が必要な病気です。
病気以外で便の色が白くなる原因として、検査のためにバリウムを飲んだ場合があげられます。
バリウム検査の際に飲むバリウムは、消化や吸収がされずそのまま便として排泄されます。そのためバリウム検査後は、検査当日から翌日にかけて白いバリウム便が排泄されます。
ほとんどの場合でスムーズにバリウムを排泄するため、下剤を飲むように指示されますが、便秘しやすい人などではうまく排泄されない事があります。その場合にはバリウムが固まって腸閉塞を起こすことがあります。検査後に白い便が出ない、飲んだ量に対して少ないように感じられる場合や、腹痛などがある時には受診が必要です。
バリウム検査以外の原因で白っぽい色の便が出た場合には、速やかに医療機関を受診しましょう。早めの治療や処置を必要とする病気である可能性が考えられます。
受診科目は消化器内科や内科がよいでしょう。
受診時に医師に伝えた方が良いポイントは、いつから白い便が出ているのか、回数や量はどうか、他に発熱や吐き気、腹痛などの症状がないかなどです。