新型コロナウイルス感染症特設サイトはこちら

便秘:医師が考える原因と対処法|症状辞典

便秘

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • 激しい腹痛がある
  • お腹の特定の部位を押すと痛みが強くなる
  • 嘔吐がある
  • 手術の痕、おへそ、足の付け根などが盛り上がっている

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 普段の排便リズムが崩れており、腹痛やお腹の張りなどがある
  • 3日以上排便がない
  • 便秘と下痢を繰り返している
  • 硬い便が続き、出血することもある
  • 最近便が細くなった

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 一時的なもので、自然によくなりその後繰り返さない
  • もともと便秘がちであるが、ほかに症状はない

自治医科大学 医学部 外科学講座 消化器一般移植外科学部門 教授

味村 俊樹 先生【監修】

健康には欠かせないけれど、軽視されてしまう便通の問題。特に便秘は、よくある症状なので自己流で対処してしまいがちです。

  • 昔から便秘がちで、体質だと思って諦めている
  • 偏った食事が続いて便通が滞っている
  • 不規則な生活で便秘がち

多かれ少なかれ、こういった便秘の悩みを人知れず抱えている方も多いのではないでしょうか。便秘は、生活習慣が原因となるケースも多いですが、中には重大な病気が隠れている場合もあります。便秘を引き起こす病気や生活習慣には、どのようなものがあるのでしょうか。

便秘の原因は幅広く、原因ごとに治療法も変わってきます。ここでは、便秘を引き起こす代表的な病気を見ていきましょう。

機能性便秘とは、もっとも多いタイプの便秘で、病気や生活習慣、ストレスなどによって大腸や直腸・肛門のはたらきが乱れた結果、起こるものです。機能性便秘は、症状別に“排便回数減少型”と“排便困難型”に分類できます。

機能性便秘の種類

・排便回数減少型……便の出る回数が減少するタイプの便秘です。さらに、食べ物が大腸を通過するのに時間がかかっている“大腸通過遅延型”と、食べ物が大腸を通過するのにかかる時間は正常なものの、主には食事摂取量、特に食物繊維の摂取量が少ないために便秘が生じている“大腸通過正常型”に分けられます。

・排便困難型……直腸にある便をうまく出せないタイプの便秘です。便に含まれる水分量が少なく便が硬いために排便できない“硬便による排便困難”と、直腸や肛門の動きや感覚に異常があるために、たとえ軟便でもうまく便が出せない、排便後も残便感があるなどの“機能性便排出障害”に分けられます。

過敏性腸症候群(IBS)

過敏性腸症候群IBS)は、腸が精神的なストレスや自律神経失調などの原因で、刺激に敏感な状態になり、機能性便秘の症状を引き起こす病気です。過敏性腸症候群は便の形状や頻度によって、“便秘型”“下痢型”“混合型”“分類不能型”の四つに分類されます。便秘型の患者は、ストレスを感じると便秘が悪化する特徴があります。また、混合型の患者では、便秘と下痢を繰り返します。

過敏性腸症候群
関連記事数: 1記事

薬剤性便秘

薬の中には便秘を引きこしやすいものがあり、薬剤性便秘は、そういった薬の副作用として起こる機能性便秘です。便秘の原因となる薬剤は抗うつ薬や抗コリン薬(腹痛や頻尿などの薬)などがあり、服用を中止できない場合もあります。心当たりがある場合は主治医に相談して、場合によっては下剤の併用などの判断を仰ぎましょう。

症候性便秘

症候性便秘は、糖尿病パーキンソン病などの病気の症状として生じる機能性便秘です。心当たりのある方は主治医に相談してみましょう。

糖尿病
関連記事数: 66記事
パーキンソン病
関連記事数: 27記事

「たかが便秘」と甘く見ていると、大腸の中にとどまった便の水分が吸収されてますます便が硬くなり、症状がひどくなる悪循環に陥ってしまいます。この悪循環が進行した場合には、イボ内痔核)や切れ痔裂肛)などの弊害が生じる危険性もあります。症状が長く続く場合は自己流の対処ではなく、医療機関の受診を考えましょう。

また、便秘と下痢を繰り返しているような場合には、過敏性腸症候群の疑いもあります。そのような場合も受診を検討した方がよいでしょう。

便秘で治療を受けたい場合には、まずは内科を受診するのが一般的です。中には“便秘外来”などの便秘に特化した専門外来がある病院もあります。受診の際にはいつから、どのような症状があるか、心当たりの有無などを医師に伝える必要がありますので、事前に書き出して持っていくとスムーズに診察を受けられるでしょう。

便秘の多くは機能性便秘ですが、がんや炎症性疾患などにより、便の通過が物理的に妨げられる“器質性便秘”もあります。器質性便秘には、大腸がんなどの“狭窄性”と、巨大結腸、直腸瘤などの“非狭窄型”があります。

大腸がんで便秘が生じることもある

大腸がんは、大腸の粘膜の細胞ががん化したものです。日本人では、S状結腸や直腸に発生することが多いため、血便で発見されることも少なくありません。

血便のほかにも、大腸がんの症状としては弁が細くなる、便が残ってすっきりとしない感じ、腹痛がある、下痢と便秘の繰り返しなど、主に便通の異常が多く見られ、体重が減少する場合もあります。

早期の段階では自覚症状がないうえ、と同じような症状が起こるため発見が遅れることが多いです。そのため、上記のような便通の異常を感じたら早めに受診することが大切です。

大腸がん
関連記事数: 86記事

機能性便秘は、適度な運動や規則正しい睡眠、生活習慣の改善で、ある程度解消できる場合もあります。日常生活の中に潜む便秘の原因を知り、生活習慣を見直して便秘解消を目指しましょう。

忙しい、ダイエットなどの理由で朝食を抜く、食事時間が不規則、食べる量が少ない、食物繊維が少ないといった偏った食事などが続くと便秘につながることがあります。

偏った食生活を送っているなと思ったら

食事は1日3回、なるべく規則正しく取ることが大切です。栄養バランスよく食べることが重要で、特に食物繊維を多く含む食材が便秘によいことが知られています。

便意を習慣的に我慢していると、直腸の神経の感度が鈍って便意を催さなくなることがあります。

日頃便意を我慢してしまっていたら

日中仕事などで便意を我慢する必要がないよう、便意を感じたら、トイレに行き排便をする習慣を心がけましょう。また、朝食は、食べることで胃から直腸にかけての反射が起き、排便が促されるため、規則的な排便リズムを作るためには欠かすことができません。

運動不足は腸のはたらきを鈍らせ、便を押し出すのに必要な腹筋力を低下させる原因になります。

運動不足だなと思ったら

ウォーキングは腸のはたらきを調整し、自律神経のバランスを整える効果があるといわれています。1日30分以上を目標としたウォーキングや、体操、ストレッチなど、適度に体を動かす習慣をつけましょう。

日常生活で改善できることを継続しても便通が一向によくならない場合は、何らかの病気が潜んでいる場合もあります。いつまでもよくならないときは病院の受診を検討しましょう。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。