新型コロナウイルス感染症特設サイトはこちら
インタビュー

低身長の治療―イリザロフ法を用いた脚延長術とは?

低身長の治療―イリザロフ法を用いた脚延長術とは?
岡﨑 裕司 先生

関東労災病院 副院長 整形外科統括部長

岡﨑 裕司 先生

イリザロフ法とは、骨折が治るときのメカニズムを利用して、「創外固定器」を用いて固定しながら骨を修復したり、延長したりしていく手術のことを言います。低身長の方に対して、一時的な骨折の状態を人工的に作り出すことにより、骨を伸ばしていくこともできます。イリザロフ法の第一人者である関東労災病院副院長、整形外科統括部長の岡﨑裕司先生に、イリザロフ法を用いた低身長患者さんの脚延長術についてお話をお聞きしました。

「低身長」とは、同性・同年代の平均身長に比べて身長が極端に低いことを言います。具体的には、以下に示す成長曲線において-2SD(SD:標準偏差)の線よりも下にある場合に「低身長」とされます。

成長曲線

成長曲線

低身長には様々な原因があります。低身長の原因の多くは、両親が低身長であるなど、遺伝的なものや体質的なはものです。まれに、成長ホルモンなどのホルモンの分泌異常や、染色体や骨の病気によって身長が伸びないというケースもあります。

骨を切ったあと、創外固定器で外から固定し、徐々に骨を伸ばしていきます。低身長の方の場合、骨を人工的に切ることによりわざと骨折の状態を作り出します。さらに、図のような装具を用いて外から固定する(創外固定といいます)ことにより一定の力を加えていきます。装具を用いるのは、きちんと正しい方向に骨を伸ばしていくためです。一定の力をかけて方向を定めると、骨が徐々に伸びていきます。

骨が少しずつ伸びていく

骨が少しずつ伸びていく

安全に伸ばせるのは5cmくらいであると考えましょう。それ以上伸ばすと、神経の麻痺が起きてしまうことや運動機能が戻らないことがあります。

これを考えるには、「骨の延長」と「骨の成熟」の2つの段階を考慮しなければいけません。
「骨の延長」の段階では、創外固定器を用いながら徐々に骨を伸ばしていきます。「骨の成熟」の段階では創外固定器を外し、伸ばした骨が徐々に正常な骨と同様な強いものになっていきます。創外固定器が入ったままの状態だと、やはり骨への負荷が小さくなります。骨への負荷が小さい状態だと骨がサボって成熟するのが遅くなってしまいます。そこで、ある程度成熟が進んだ段階で創外固定器を除去することによって骨への負荷を大きくして、成熟が完成するのです。

次に、具体的に期間を考えていきましょう。
例えば、1日に0.5mm伸ばせる場合で考えましょう。5cm伸ばしたい場合には、「骨の延長」に100日かかります。「骨の成熟」には概ねその倍の200日かかります。つまり、延長に100日+成熟に200日で合計300日かかることになります。

また、延長・成熟においては「仮骨部の骨密度」というものが大切になります。血流が良い部分では密度が上がります。密度が上がると良い骨ができやすくなります。血流は骨の出来る場所によって大きく異なります。この条件が最も良い場所は太ももです。太ももは血流がいいので、伸びやすく強い骨ができやすいのが特徴ですが、合併症が多いので下腿での延長が標準的です。

創外固定の特長のひとつは、早くリハビリに入れることです。最短の場合は、翌日からリハビリを開始します。1日3000歩の歩行が目安になります。骨はサボらせない方が良く育ちます。このように、すぐに荷重をかけてリハビリに入ることができるのもイリザロフ法の特徴です。

※身長が-2SD以下の人は保険診療の対象にはなりません。たとえば、モデルの方が「さらに身長を伸ばしたい」というような場合には自由診療になります。自由診療の場合にはたくさんのお金がかかることがあります。自由診療での脚延長は一般の病院では行いません。

 

受診について相談する
  • 関東労災病院 副院長 整形外科統括部長

    岡﨑 裕司 先生

「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。

    「受診について相談する」とは?

    まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
    現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

    • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
    • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。