インタビュー

結膜下出血とは?―白目が真っ赤になったときの対処法

結膜下出血とは?―白目が真っ赤になったときの対処法
中矢 家寿宏 先生

岡本石井病院 医療情報部 部長 眼科 科長

中矢 家寿宏 先生

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この記事の最終更新は2015年06月21日です。

白目が突然真っ赤になっていて早く治したい、という経験がおありの方はいらっしゃいますか? この症状、実は「結膜下出血」という病気です。写真などでみると症状の見た目は真っ赤で派手なのですが、実際は痛みもほとんどなく、その多くが自然治癒してしまうため、気が付いたら治っていたという方も多いのではないでしょうか。
この結膜下出血とはいったいどのようにして起こるのでしょうか。そしてどの程度心配すべき症状なのでしょうか。土佐市立土佐市民病院眼科の中矢家寿宏先生にお話をお聞きしました。

結膜下出血は、日常的によく発症する疾患の一つで、読んで字のごとく「結膜(白目)が出血した状態」です。結膜下出血には、点状の小さい出血から結膜全体を覆う大きな出血まで、さまざまな形態があります。

自覚症状はほとんどありません。「鏡を見て気づいた」「他人に指摘された」など、偶然発見される事がほとんどで、発症のタイミングもある日突然ということが多いです。通常、軽い違和感がある場合はありますが、痛み・目ヤニ・視力障害などはありません。

①出血と②充血は同じ赤目で言葉も似通っていますが、状態が異なります。
①の出血とは、結膜の血管が破れた状態ですので、血管の走行がはっきりせず、真っ赤で派手に見える状態です。結膜下出血を起こした患者さんは、びっくりして夜間に救急病院を受診することも少なくありません。

出血した眼球
出血した眼球

それに対して②の充血とは、血管の血液量が増えた状態ですので、細い赤い血管の走行が確認できる状態です。寝不足の時やパソコンを使いすぎたときに現れる、日常的によくみられる症状です。

充血した眼球
充血した眼球

約7割は原因不明の「特発性結膜下出血」と言われています。他には、外傷結膜炎・灌流圧(眼球の血圧)上昇・医原性・全身疾患などがありますが、必ずしもこれらで結膜下出血が起きるわけではありません。以下に詳しく説明します。

最も頻度の高い結膜下出血は、原因不明の「特発性」であり、50歳代に多く発症するといわれています。
特発性出血は「結膜弛緩」(白目のしわが増えること)との関連が指摘されております。この結膜弛緩は40歳頃から始まり、ちょうど50歳頃に顕著に現れます。結膜弛緩になると、結膜がたるむだけでなく目の血管も折れ曲がった状態になるため、まばたきする際に、たるんだ結膜が眼球内で動き回り、その摩擦で血管が破れやすくなってしまいます。

外傷とは、その名の通り眼球打撲骨折などに伴う直接の血管損傷です。その中でも、異物が刺さった場合は、結膜下出血の下に穿孔創(せんそうこう:目に穴が開いた状態)や異物が隠れている場合があります。

はやり目」などのウィルス性結膜炎や細菌性結膜炎は、充血と目ヤニといった症状に伴って出血が見られます。
また、ドライアイなどの乾性角結膜炎やアレルギー性結膜炎の多くは、充血とかゆみを伴うため、眼を強くこすってしまうことで二次的に結膜下出血を生じる場合があります。

「いきみ」により頭部の静脈灌流圧が上昇したときに、破綻性(破れること)出血をおこします。具体的には重いものを持ったとき・ふんばったとき・強いストレスを感じたとき・激しく怒ったときに生じる場合があります。

眼の手術や注射をした時、血管を傷つけてしまった場合に出血します。

全身疾患をお持ちの患者さんも結膜下出血を起こすことがあります。特に小児白血病では、早期に結膜下出血を生じる事が知られています。

前述したように、結膜下出血の多くは、痛み・目ヤニ・視力障害などを伴わない特発性であるため、1~2週間で自然に治ります。治療の必要はありませんし、そもそも出血を早く治すような目薬もありません。また、運動制限もありませんので、通常の生活をしていただいて結構です。
しかし、全身疾患などの原因がはっきりとわかっている場合は、そちらの治療が必要になります。

結膜下出血の予防はできませんが、何度も繰り返して出血する場合は別の病気が潜んでいることも考えられるため、念のため全身検査をした方が好ましいでしょう。

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