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歯周病の治療。スケーリングから外科的手術までを解説

  • #歯周病
  • インタビュー
  • 公開日:2015/08/20
  • 更新日:2017/01/11
歯周病の治療。スケーリングから外科的手術までを解説

私たちが生きていく上で欠かせない食生活を阻む歯周病に罹る方が増えています。歯周病は、単に歯の機能を損ねるだけでなく、全身に及ぶ病気だということが、近年の研究で明らかになっています。
これまでの記事では、歯周病は口腔内で繁殖した細菌が原因で発症することを説明してきました。歯周病の症状が進行すると、歯肉や、歯を支えている歯槽骨などの組織に影響を与えるため、歯周病が自然治癒することはありません。

今回の記事では、誠敬会クリニック内科・歯科会長の吉野敏明先生と、同じく誠敬会クリニック内科・歯科理事長の田中真喜先生に、今回は、歯科医師が行う歯周病の治療と、歯周病になった時の日常的なセルフケアについてお話をうかがいます。

歯周病の一般的な治療

歯周病は、口腔内で発生した歯周病菌によって引き起こされる病気です。とはいえ、抗生物質のような細菌を殺す薬でうがいをしても、歯周病菌が死ぬことはありません。歯周病菌は、多糖体と呼ばれる物質を使って、自分たちを保護するバイオフィルムとよばれる保護膜を作るため、薬が浸透しにくいためです。また、細菌を殺すうがい薬で歯周病菌をすべて殺せたとしても、歯の表面に歯周病菌が出した毒素が残ってしまうため、歯周病は治癒しません。

一般的な治療には、歯に沈着したプラークと歯石を機械的に除去する方法がとられます。具体的には歯科医院で、歯科医師や歯科衛生士がプラークと歯石を除去します(スケーリングと呼ばれます)。

歯周病の外科的な治療

歯周炎の程度が比較的軽症であれば、歯科医師や歯科衛生士にプラークと歯石を除去してもらった後歯磨きをしっかり行って口腔内を清潔にすることで歯周病は改善していきます。

スケーリング

スケーリング

ただし、歯周病が進行していて歯周ポケット(歯と歯肉のすきま)が深くなってしまうと、歯石を取ったりしただけでは治りません。そのような状態ではすぐに歯周病菌がたまってしまい、すぐに再発してしまいます。そのため、外科的に歯周ポケットを除去(歯周外科処置)する必要があります。

外科的な処置としては、“フラップ手術”と呼ばれる小手術が行われることが一般的です。具体的には、歯肉を切開して、歯根や歯槽骨を肉眼的に見える状態にして歯根の表面を徹底的にきれいにします。同時に、炎症で破壊された歯肉や歯根膜の残骸を除去する処置を行います。フラップ手術は1時間程度で行える手術ですので、治療の選択肢の一つとして広く用いられるようになっています。

フラップ手術のイメージ

フラップ手術のイメージ

歯周病になった時の日常的なケア―歯周病は治る病気なのか?

歯周病は歯肉の炎症からはじまり、放置しておくと歯を支える歯槽骨が破壊されてしまい、症状が進行すると治癒の可能性が低くなります。そのため、定期的に歯科医師や歯科衛生士のもとでスケーリングを行い、歯石とプラークを除去してもらうことが重要です。定期的なスケーリングを行うことによって、万が一歯周病が進行していた場合も、早期に治療を開始することができます。

歯周病がなかなか治らないとき、どうする?

近年では歯槽骨が吸収されるほど歯周病が進行した場合でも、歯槽骨の再生を促せる手術方法が開発されています。
具体的には、歯周組織再生材料を手術の際に使用する方法です。「エムドゲインゲル®」という歯周組織再生材料を使用すると、歯周病によって失われた歯槽骨などの歯周組織を再生することができます。エムドゲインゲル®は幼若ブタの歯胚から抽出したタンパク質の一種で、日本では1998年より厚生労働省認可のもと使用されています。ただし、この方法はすべての方に適応するわけではありません。また効果が確認できるまでに半年~数年かかります。

エムドゲインゲル法

エムドゲインゲル法

 他に歯槽骨を再生する方法として、GTR法という手術があります。これは、歯周病によって失ってしまった歯周組織に特殊な膜を埋め込むことによって、骨組織を再生させる方法です。

メンブレンを使用した「GTR法」

メンブレンを使用した「GTR法」

記事1:歯周病とはどんな病気か。食生活やライフスタイルの変化で発症する方が増えている
記事2:歯周病の原因とは? 歯周病に関する様々な疑問を解明
記事3:歯周病を予防するポイントは? 長く健康な歯を保つための工夫
記事4:どうして歯周病は危険なのか? 歯周病を放っておくと引き起こす可能性がある合併症とは
記事5:歯周病の治療。スケーリングから外科的手術までを解説

吉野 敏明

吉野 敏明先生

医療法人社団誠敬会 吉野歯科診療所理事長  新潟大学歯学部非常勤講師  昭和大学兼任講師

岡山大学歯学部を卒業後、東京医科歯科大学歯学部歯科保存学第二講座(歯周治療学教室)入局。以降、臨床に携わりながら研究を続け、後進の育成にも力を注いでいる。歯科治療において患者が負担に感じる疼痛を排除した診療に定評があるだけでなく、歯周病および口腔源発の感染症の治療において歯科医師からも注目を集めている。

田中 真喜

田中 真喜先生

医療法人誠敬会 誠敬会クリニック内科・歯科 理事・本部長  歯科医師部医局長

日本歯科大学歯学部を卒業後、東京医科歯科大学歯学部歯周病学分野に入局し研究に携わる。2006年からは、誠敬会クリニック内科・歯科にて、歯科医師として、多くの患者の診療に携わっている。専門は歯周病。また、米国・ボストンの歯科医師卒後研修期間IADSの姉妹組織であるJIADSにて、講師として後進の指導にあたっている。

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