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歯周膿瘍とはどんな病気?〜膿が出てきて口臭が強くなったり、痛みや腫れが強いと食事が困難になることも〜

歯周膿瘍とはどんな病気?〜膿が出てきて口臭が強くなったり、痛みや腫れが強いと食事が困難になることも〜
中野 永美子 先生

青山歯科診療所 院長

中野 永美子 先生

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歯周膿瘍(ししゅうのうよう)とは、歯の周りの組織の炎症によって歯肉が腫れ組織内に(うみ)がたまった状態をいいます。痛みなどの症状のほかにも発熱などの全身の症状が現れることもあります。

本記事では歯周膿瘍の具体的な症状や原因、治療法について詳しく解説します。

歯周膿瘍の症状は、口腔内の症状と全身の症状に分かれます。

口腔内の症状は、歯周組織の赤み・腫れ・痛み・の排出などがあります。痛みや腫れが強いと口が開きづらく食事が困難になり、膿の排出があると口臭が強くなることがあります。全身の症状は特に口腔内の症状が強いときに起こり、感染による発熱や体のだるさなどがあります。

歯周膿瘍が疑われる場合、診察やX線検査による画像検査などを行って診断します。また、治療方針を検討するために、細菌検査・薬剤感受性検査などが行われることがあります。

歯周膿瘍は、歯周ポケット(歯と歯肉の間にある深い隙間)に歯周病の原因となる細菌が入り感染することで起こります。これは主に中等度~重度の歯周炎患者に多く発症します。

歯周病とは、歯の周りの組織の細菌感染により、歯を支える歯肉や骨が壊されていく病気です。悪化すると歯がぐらつき、最終的に歯が抜けてしまうことがあります。

健康な場合、歯と歯肉の間の隙間は浅く、3mm程度の“歯肉溝”と呼ばれる溝に過ぎません。しかし、この歯肉溝に細菌の塊である歯垢(しこう)がたまり、細菌によって歯肉に炎症を起こすと歯肉溝が深くなり歯周ポケットが生じます。歯周ポケットの深さは歯周病がどのくらい進行しているかの指標となり、4mm未満は軽度、4mm以上6mm未満は中等度、6mm以上は重度の歯周病と診断されます。また、歯周ポケットが深くなると細菌の増殖する空間が増えるため悪化しやすくなります。

歯周病によって歯の周りの骨が壊されている

細菌が増殖する空間があり、瘍ができやすくなります。

歯周ポケットが膿の排出口になっている

この場合、慢性的に無症状のまま経過しますが、歯周ポケットの入り口が閉鎖していると組織内に膿がたまりやすくなります。

糖尿病などの全身疾患を持っている

細菌に対する抵抗力が弱くなり感染しやすくなります。

歯周膿瘍の治療では、抗菌療法を行います。炎症が歯肉や粘膜にとどまっている軽度の場合には、歯周ポケット内のなどを洗浄した後に原因となる細菌を殺菌するための抗生物質の軟膏を注入します。

炎症が歯肉にとどまらず強く症状がある場合や発熱などの全身の症状を伴う場合などは、飲み薬の抗生物質や炎症を落ち着かせるための消炎鎮痛剤を投与します。また、膿が組織内にたまっている場合は外科的に膿を出した後、十分に洗浄します。

歯周膿瘍が生じたら、抗菌療法と併せて再発を防ぐために歯周治療を行うことが大切です。歯周病の進行の程度にかかわらず初めに行われるべき治療が歯周基本治療です。

歯周基本治療

歯周基本治療とは、患者への歯磨き指導・歯石の除去・咬み合わせの調整をはじめとする治療です。

歯周病の治療・予防には患者自身の日々のセルフケアが重要であるため、正しい歯磨きの方法について歯科医師・歯科衛生士が指導を行います。歯ブラシでは除去できない歯石などの汚れを取り除いた後、歯の表面を磨き、汚れがつきにくいようにします。また咬み合わせが悪い場合には、咬み合わせがよくなるよう調整を行います。

歯周外科治療

歯周基本治療で改善しきれない場合、歯周外科治療を行います。歯周基本治療後に歯周ポケットの深さを再評価します。歯周組織の改善が必要な部位は、歯茎を切り開き目視しながら汚れを取り除いて歯周ポケットの深さを減少させる“フラップ手術”や、歯周病によって損なわれた歯周組織の再生を促す“歯周組織再生療法”などが行われます。

歯周膿瘍は中等度~重度の歯周炎の患者歯周炎患者に多く見られ、歯周組織の腫れや強い痛みのほか、発熱などの全身の症状が現れることもあります。放置しているとより広範囲の組織が炎症によって破壊されてしまう可能性もあるため、疑わしい症状があるときには歯科医院の受診を検討しましょう。

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