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インタビュー

慢性心不全の治療―自己管理と適度な運動の重要性

慢性心不全の治療―自己管理と適度な運動の重要性
山本 一博 先生

鳥取大学 医学部病態情報内科 教授、鳥取大学医学部附属病院 第一内科診療科群(循環器内科、内...

山本 一博 先生

慢性心不全と診断された方は、どのような治療を行うのでしょうか。鳥取大学医学部附属病院第一内科診療科群の主任診療科長である山本一博教授にお話をうかがいました。

I

心疾患はあるが身体活動に制限はない

日常的な身体活動では著しい疲労・動悸・呼吸困難あるいは狭心痛は起こらない

II

軽度の身体活動の制限がある

安静時には症状がない

日常的な身体活動で疲労・動悸・呼吸困難あるいは狭心痛が起こる

III

高度な身体活動の制限がある

安静時には症状がない

日常的な身体活動より軽い動作や作業であっても、疲労・動悸・呼吸困難あるいは狭心痛を起こす

IV

心疾患のためにいかなる身体活動も制限される

安静時にも心不全症状や狭心痛がある

わずかな動作や作業でも上記の症状が悪くなる

NYHA(New York Heart Association)分類は自覚症状の有無やその程度によって重症度をI〜IV度の4段階に分類するものです。治療方針を決定する際には重要な指標であり、国内外の治療ガイドラインでもこの分類に基づいて各ステージで使用する薬剤が細かく規定されています。

しかし、特に高齢者の場合はこれらの症状が心臓のさまざまな病気によって引き起こされているというよりも、加齢による体力の低下や他の疾患の影響がある可能性もあり、評価には注意を要します。

慢性心不全の治療においては、生活習慣を改善し、自己管理を続けることが非常に重要です。薬物治療と同じくらい、またはそれ以上に重要であると言ってもいいでしょう。糖尿病に例えれば、薬をきちんとのんでいるからといって、好きなものを食べたいだけ食べていては病状が落ち着かないのと同じことです。

日本では患者さんの側に「医療は与えられるもの」という意識が少なからずあるように感じます。しかし、本来は患者さん自身が努力しても届かない部分を医療の側でお手伝いするというものであると考えます。病気をこれ以上悪くしない、少しでも良くするためには、まずご自身ができることをしっかりやっていただく必要があります。

食生活においては、日本の食習慣では塩分が比較的多く含まれる傾向があるので、塩分を適量に制限することが重要です。それに加えて、重症の患者さんでは水分の制限も必要になってきます。

また、重症度の高い方では日常生活での活動量もある程度控えていただくことになります。調子が良いからといって無理をしてしまい、一気に症状が悪化するケースもあるため、注意が必要です。適度な運動、とくに有酸素運動を継続的に行うことはよいのですが、どの程度までの運動がその人にとって適切なのかは人それぞれで違います。必ず主治医の指示のもとで行うようにしてください。過度の運動は逆効果になる危険性があります。

適度な運動が心不全の方によいとされる理由は、心臓の機能そのものよりも、全身の筋肉を使うことによって血液を循環させる能力が向上するという点にあります。たとえば、全身の筋肉が良好な状態にある若い人の場合、心臓の機能が低くても心不全の症状が軽いということがあります。

逆に高齢の方の場合、呼吸器の機能や骨格筋の筋力も落ちています。そういう方は心臓が悪くなったときに症状が出やすいということがあります。運動をすることで鍛えられる骨格筋は「第二の心臓」とも呼ばれています。心臓が送り出した血液が全身を循環して、静脈から戻ってくる流れを助ける役割を果たします。

また、骨格筋を含む末梢臓器の機能がよくなれば、血液から酸素を取り込む能力も向上します。血液から効率よく酸素をとり込むことができれば、心臓が血液を送り出す機能が多少低くても、末梢の臓器がその機能を十分維持することができます。こうした理由から、全身の骨格筋の機能を維持・向上させるという意味でも、運動が推奨されています。

最近、私たちが注目して研究しているのは呼吸筋の筋力の問題です。心不全の主要な症状である「息が切れる」という状態は、心臓や肺の実質そのものに問題がない場合でも、呼吸筋の筋力低下による影響があるのではないかと考えています。特に息を吸う力、横隔膜の働きが重要であると考えられます。

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  • 鳥取大学 医学部病態情報内科 教授、鳥取大学医学部附属病院 第一内科診療科群(循環器内科、内分泌・代謝内科) 主任診療科長

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