インタビュー

先天代謝異常症の治療とその後のケア

先天代謝異常症の治療とその後のケア
長谷川 行洋 先生

東京都立小児総合医療センター 内分泌・代謝科 非常勤

長谷川 行洋 先生

後藤 正博 先生

ごとう小児科・成長クリニック 院長

後藤 正博 先生

この記事の最終更新は2016年01月31日です。

先天代謝異常症の治療法は多岐にわたります。何の代謝がうまくいかないのか、どのような症状が現れているかによって、個々の疾患に応じた個別対応が必要となるのです。幸い疾患に応じた管理体制は確立されてきているため、先天代謝異常症の治療を経験している医師の指示をよく聞くことが重要になります。今回は先天代謝異常症の治療の考え方について、東京都立小児総合医療センター 内分泌・代謝科部長の長谷川行洋先生と、同じく内分泌・代謝科医長の後藤正博先生にお話しいただきました。

かつて先天代謝異常症は根本的な治療法の確立されていない疾患が大多数でした。しかし、酵素(代謝に関係する重要なたんぱく質)そのものを補充することができる疾患が徐々に増えてきているため、治療法が見つかってきている疾患も存在します。

先天代謝異常症においては、適切な時期から治療を開始することにより悪化を抑えることが大切といえます。しかし、先天代謝異常症の種類によって治療方法は異なるため、医師と相談して個々の治療を進める必要があります。

先天代謝異常症に対しては薬物療法・食事療法(食事制限)・骨髄移植・酸素補充療法など様々な治療法がありますが、たとえ早期発見したとしてもなかなかよい経過をたどらないタイプの疾患もあるため、治療法をひとくくりに表現することは難しいといえます。つまり、軽症のものであれば治療らしい治療が不要な場合もあり、それに対して重症であれば考えうる治療を尽くしても不幸な経過をたどる場合もあるのです。

ですから私たちは、治療法を見つけようとするよりは、多岐にわたる症状と重症度があるなかでどのようにして対応するかということを考えています。

前述したように、先天代謝異常症では非常に多岐にわたる症状が現れます。また、特殊な検査も行わなければなりませんし、長期間の透析や特殊ミルクの管理が必要になることもあります。そのため、一般小児科医では管理しづらいこともあるのです。だからこそ重症の先天代謝異常症は経験を積んだ医師がいる専門病院での管理が必要になってきます。

疾患ごとに異なりますが、場合によっては食べるものを工夫する必要があります。

現在、疾患ごとに先天代謝異常症の管理はほぼ確立されていますから、基本は医師の指示をよく聞くようにしましょう。各疾患に応じて、異常な代謝産物の蓄積予防、また低血糖および低栄養状態の予防を目的に、特定の栄養素の制限や特殊ミルクの投与などによる栄養管理が必要となることが多いです。

ご両親にお子さんの病気をどう話していくかはケースバイケースになります。

例えば最も重症なケースでは、集中治療によって治療直後の状態が落ち着いたとしても、その後の見通しが悪い場合もあります。救命が難しい可能性があれば、私たちは早い段階でお子さんの病気について説明します。

これに対して、お子さんを救命できることがはっきり分かっており、見通しもついている場合は、今後長期間ご家族で病気との付き合いをする必要があります。そのような患者さんのご両親に対しては、病気についてなるべく前向きな説明をしています。最初から後ろ向きな話をしてしまうと、ご両親がお子さんの病気を受け入れられないだけでなく、お子さん自身を受け入れられなくなってしまう場合もあるからです。

ご両親に対するサポート体制も、一つ一つのご家族に応じて異なり、個別のサポートが必要になります。

 

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