接触皮膚炎でみられる湿疹は、実は見た目での区別は難しいことも多く、検査で具体的に調べることが大切です。今回は接触皮膚炎の原因を調べるための具体的な検査について、引き続き京都大学医学研究科 皮膚科学教室教授の椛島健治先生にお話をお伺いしました。
接触皮膚炎の原因を考える上で、具体的な検査に入る前に最も重要なのは問診(患者さんのお話を聞くこと)といわれています。日常生活で恒常的に患部に触れているものはないか、昨日や一昨日何をしていたか、などを少し振り返ってみてください。ここで重要なのは、原因となる物質が皮膚に触れ、数十分後に反応が現れる場合は「接触皮膚炎」と思いつきやすいのですが、実際は1日~2日遅れて反応がでることが多いです。そのため、直前ではなく1~2日前に行ったことや触れたもの、着ていた服などを思い出してみてください。しかし、それでも原因物質が全く思いつかない人もいらっしゃいます。ここでは、具体的に湿疹ができる場所ごとに、どのような原因が考えられるかをご紹介します。
部位 / 原因
頭 / シャンプー、ヘアカラー、育毛剤、ヘアアクセサリー
顔 / 化粧品、日焼け止め、めがね
眼の周り / 目薬、花粉、手についたアレルギー性物質、マスカラ、アイシャドウ
口の周り / 口紅、リップクリーム、歯磨き粉
耳の周り / ピアス、メガネ、シャンプー
首 / アクセサリー、洗剤
手 / 食器洗剤、手袋
腕 / 時計、アクセサリー
足 / 靴下、靴
脚 / 消毒薬、塗り薬
お腹・胸 / 下着、ベルト
わきの下 / 制汗スプレー
陰部/コンドーム、外用薬
最近ですと、若い人であればヘアカラー、ピアス、香水が原因となること、高齢の方では白髪染めが原因となることが多くなっております。また珍しい例としては、囲碁の碁盤の目にかぶれたという例もありました。この方の場合は、碁盤の目の塗料である「漆(うるし)」にかぶれていたことがわかりました。
問診により接触皮膚炎が疑われた場合は、まずパッチテストを行います。パッチテストとは原因と考えられる物質を、見た目が正常な場所(目立ちにくい背中などが多い)に貼って湿疹ができていないかどうかを確認するテストです。48時間、72時間後(さらには理想としては7日後)に判定をするため、連日で病院に通う必要があります。
光接触皮膚炎が疑われた場合でも、通常のパッチテストと同じように、皮膚炎の原因と疑われる薬を背中に2か所塗り、その後片方の部位にのみ紫外線(UVA)を照射し、判定を行います。紫外線をあてたほうの反応が強いと光アレルギーと診断されます。
パッチテストでは、原因と考えられる製品の成分を調べ、その成分ごとに反応を調べます。そのためほとんどの場合において原因物質を特定することができます。例えばピアスであればニッケル、香水であれば香料、ヘアカラーであれば特定の色素剤、ベルトであればクロムなどが原因となっていることが多いです。
京都大学大学院 医学研究科 皮膚科学 教授
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