ドライアイや近視、高齢者の白内障など、眼にトラブルを抱えている人は本当にたくさんいらっしゃいます。そのため眼科専門医ではない先生でも、目の病気に遭遇する機会は多いという現状があります。今回は京都府立医科大学 眼科にて眼科専門医として診療されている加藤浩晃先生に、眼科の検査と眼科診療のポイントをお伺いしました。
前眼部というのは、角膜・結膜・虹彩・水晶体、そして広い意味では眼瞼など患者さんを前にした時に眼の表面の方にある部分になります。一方眼底というのは、視神経乳頭や網膜など、眼底鏡を使って診察する部分になります。
この前眼部と眼底の状態を調べるために、眼科医は主に検査室と診察室で次のような検査を行っています。
太い円形の一部に切れ目が入っているアルファベットのCのような図(ランドルト環といいます。)を用いて視力検査を行います。近視・遠視・乱視などの程度がどのくらいか調べるために行っています。
目の硬さがどれくらいか調べるために、目は風船のように中から圧がかかっているのでその眼球内の圧を検査します。眼球は房水という水で満たされており、圧が一定に保たれています。正常の眼圧は10~20mmHgですが、房水の産生と吸収のバランスが崩れると、眼圧が高くなってしまいます。
細隙灯顕微鏡検査では前眼部(角膜・結膜・水晶体など)を拡大して診察する検査を行います。あごを診療台にのせておでこをつけて、顔を固定し、眼を拡大して観察する検査になります。「細隙灯」というのは細い光のことで、この細い光を斜めから入れることで目を立体的に捉えやすくなり、眼の中のレンズである水晶体の厚みや角膜から水晶体までの距離などを測定することができます。
通常の状態では見えない眼の中(眼底)を診察する検査を行います。通常の状態でも眼科医は眼底検査ができますが、より眼の中をしっかりと診るためには、検査前には目薬をさして散瞳(さんどう:瞳孔を大きくすること)をしてから眼底検査を行います。散瞳のための目薬は効くまでに約20〜30分かかります。その後散瞳した状態は半日くらい続いてぼーっと見にくくなっているので、散瞳検査の日は半日ほど運転をすることができません。ですから来院時は公共交通機関を使うか、どなたかに送迎をしてもらっています。なお、時間が経つと散瞳は自然に治ります。
眼科というと細隙灯顕微鏡や眼底鏡を使った検査など眼科でしか使わない特殊な検査器具を思い浮かべることが多いかと思います。しかし、眼の診察は眼科医だけが行っているのではありません。実は日本では眼科診療をせざるを得ない眼科以外の医師(非眼科医)がたくさんいるのです。例えば、在宅医療や救急医療の現場、離島診療で離島に眼科がない場合、地方で眼科へのアクセスが悪い地域、そして精神科や整形外科などの単科病院での入院では入院患者さんが充血など眼の症状を訴えたときも院外の病院にかかりにくい医療制度になっているので、その精神科や整形外科の先生が最初に眼の診察をするというような場合があります。
これら非眼科医の先生方が外来診療で出会う眼疾患は私が研究したところ、約80%以上は前眼部診察で診断できる疾患ということがわかってきました。
現在の医学部のカリキュラムでは前眼部と眼底を同じように扱って眼科教育を行っています。しかし、医学生の大部分は眼科以外の診療科に進む学生であり、医学生への眼科教育に対して前眼部診察や前眼部疾患を強調した眼科教育の必要性を訴えています。
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