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インタビュー

糖尿病網膜症の基礎知識―失明のリスク

糖尿病網膜症の基礎知識―失明のリスク
杉山 徹 先生

武蔵野赤十字病院内分泌代謝科部長

杉山 徹 先生

菅野 一男 先生

医療法人社団桜一会かんの内科院長

菅野 一男 先生

貴田岡 正史 先生

イムス三芳総合病院 内分泌内分泌(甲状腺)・代謝(糖尿病)センター長

貴田岡 正史 先生

糖尿病網膜症糖尿病の三大合併症の一つです。成人の失明原因の19%を占め、緑内障に続いて糖尿病は第2位です。年間約3千人が糖尿病のために視力を失ってしまっています。

網膜とは眼球の底(眼底)にあり、眼から入ってきた光を感知して視力を司る場所です。糖尿病によって高血糖が続くことで、網膜にはりめぐらされている細小血管がダメージを受けて、その血管が詰まったり破れたりすることが糖尿病網膜症の原因です。

網膜とは

網膜とは

糖尿病網膜症は、初期には自覚症状がなく、進行すると、以下のような症状が現れます。

  • 視野の中に糸くずや蚊のようなものが見える(飛蚊症といいます)
  • 視野に黒いカーテンがかかったように見える(硝子体出血が原因です)
  • 視力が突然低下する
  • 視野が狭くなる

さらに進行すると、失明に至るケースもあります。

網膜症は進行の程度により、単純網膜症、増殖前網膜症、増殖網膜症の三段階に分けられます。

  • 単純網膜症は糖尿病網膜症の初期の段階で、網膜の血管が出血を起こしています。
  • 眼底には、血管瘤、点状出血、硬性白斑などの所見がみられます。
  • 病変が黄斑部(ものを見るのに最も重要な部分です)に至らなければ、自覚症状は出ません。
  • また、上記の所見も、きちんと治療で血糖コントロールを行えば、よくなります。
  • 増殖前網膜症は糖尿病網膜症の中期の段階で、網膜の血管が閉塞することにより、網膜が虚血状態(血液不足のことです)に陥っています。
  • 眼底には、網膜内細小血管異常、軟性白斑などの所見がみられます。
  • 増殖前網膜症でも、病変が黄斑部に至らなければ、自覚症状は出ません。
  • しかし、増殖前網膜症では、後に述べる眼科的治療を行わない限り、ほとんどの場合、増殖網膜症に移行します。また、この時点で血糖コントロールを行っても、網膜症の進行を防ぐことは難しいが、その他の全身病変を防ぐ意味で血糖コントロールが不可欠です。
  • 増殖網膜症は糖尿病網膜症の末期の段階で、網膜に新しい血管がどんどん出来上がっています。
  • 眼底には、新生血管(新しく出来上がった血管のこと)、硝子体出血、牽引性網膜剥離などの所見がみられます。
  • 増殖網膜症まで来ると、飛蚊症、視力低下、視野障害、失明などの症状が出てきます。この時点で初めて糖尿病網膜症と診断されるケースも少なくありません。

このように、網膜症の怖いところはある程度進行しないと症状がでないというところです。気づかないでいきなり失明してしまうこともあります。従って、糖尿病の患者さんは定期的に眼科で眼底の検査をしてもらうことが必要となります。

眼底検査、蛍光眼底造影法などの検査で、上に述べたような眼底の所見を調べます。

網膜症は不可逆性であるため、それ以上進行させないことが治療の基本となります。それぞれの病期において適切な治療があります。

治療の基本は血糖コントロールですが、症状が進行すると次の2つの眼科的治療が行われることがあります。

レーザー光を網膜に照射することによって網膜症の増殖化の防止と沈静化を目的に行われます。新生血管の発生を予防するためにも、増殖前網膜症の段階で行うのが最も効果的であると言われています。

光凝固法

光凝固法

最も症状が進行した状態(増殖網膜症)において行われます。出血によってにごった硝子体とその原因となっている増殖膜を除去し、剥離した網膜の修復を行います。

硝子体手術

硝子体手術

次のような項目に当てはまるような患者さんは、網膜症の発症、及び進展のリスクがさらに高くなります。よりいっそう注意をし、定期検査を怠らないようにしましょう。

  • 糖尿病の羅患期間が長い
  • HbA1cが高い
  • 高血圧症である
  • 初診時にすでに重症網膜症である
  • 妊娠中である
受診について相談する
  • 武蔵野赤十字病院 内分泌代謝科部長、NPO法人 西東京臨床糖尿病研究会 評議員

    杉山 徹 先生

  • かんの内科 院長

    菅野 一男 先生

  • 医療法人社団 明芳会 イムス三芳総合病院 内分泌(甲状腺)・代謝(糖尿病)センター センター長

    貴田岡 正史 先生

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