新型コロナウイルス感染症特設サイトはこちら
インタビュー

食道静脈瘤とは?早期に治療を受けなければ破裂する危険性も

食道静脈瘤とは?早期に治療を受けなければ破裂する危険性も
飯島 克則 先生

秋田大学大学院医学系研究科 消化器内科学・神経内科学講座 教授

飯島 克則 先生

食道静脈瘤とは、主に肝硬変が原因となって起こる門脈圧亢進症により、本来食道静脈へ流れるはずのない血液が、食道静脈へ流れ込み、静脈が拡張することでできる瘤のことです。食道静脈瘤そのものに症状はありませんが、放置することで破裂や出血を引き起こし、死に至る可能性もあります。本記事では、食道静脈瘤の発症メカニズムや破裂に伴う危険性、検査について、秋田大学大学院医学系研究科消化器内科学・神経内科学講座の教授である飯島克則先生にお話を伺いました。

食道静脈瘤

食道静脈瘤の多くは、肝硬変による門脈圧亢進症が原因となって発症します。まずはこの門脈圧亢進症とはどのような疾患かをお話しします。

肝臓には、肝動脈・肝静脈・門脈という3本の血管があります。動脈と静脈は他の臓器にもありますが、門脈は肝臓だけにある血管で、腸などの消化管から栄養を集めてきて肝臓に蓄える役割をしています。

門脈から肝臓へ向かい流れる血液が、肝硬変(B型・C型肝炎ウイルスやアルコールの長期多量摂取により肝臓が小さく硬くなってしまうこと)になるとスムーズに流れず、門脈の圧力が高くなります。このようなメカニズムから、門脈圧亢進症を引き起こします。

すると、行き場を失った血液が食道の静脈へ流れ込みます。細い食道静脈にたくさんの血液が流れることで、血管がでこぼこした瘤状になります。これを食道静脈瘤とよびます。

また、肝硬変以外に、原因不明で門脈全体の圧力が高くなる「特発性門脈圧亢進症」が原因で食道静脈瘤が起こることもあります。

食道静脈瘤の約9割は、門脈圧亢進症または特発性門脈圧亢進症で発症するといわれています。

また頻度は少ないですが、膵臓がん慢性膵炎といった膵臓疾患で食道静脈瘤を発症することもあります。

門脈は脾臓(ひぞう)からも栄養を集めるため、その経路は脾臓から膵臓の後ろを通り、肝臓へ向かっています。このとき膵臓に腫瘍や炎症があると、それらが膵臓の後ろを通る門脈を圧迫し、血液の流れをせき止めてしまうため、食道静脈へ血液が流れ込みます。

このように、肝臓や門脈自体に異常はみられなくても食道静脈瘤が起こることがあります。膵臓疾患で食道静脈瘤が起こる割合は約1割といわれています。

食道静脈瘤があることによる自覚症状はありませんが、食道静脈瘤が破裂すると大量の吐血やショック状態に陥ることがあります。

食道静脈瘤が破裂する原因の多くは、おおもとの肝機能悪化により、門脈の圧力が急激に上昇することだと考えます。

なかでもアルコール性肝硬変の患者さんが飲酒をやめることができず、多量のアルコールを摂取して肝硬変が悪化し、食道静脈瘤が破裂するケースが多くみられます。

食道静脈瘤は突然の破裂や大出血の症状ではなく、少量の出血から起こることもあります。

食道静脈瘤から出血している場合には、便に血が混じり黒っぽくなる「黒色便」がみられることがあります。また、口から少量の出血がみられることもあります。

食道静脈瘤は、少しの出血であれば自然に治ることもありますが、いつ破裂による大出血を起こしてもおかしくない状態です。ですから、上記のような症状が出たときには、早めに医療機関を受診してください。

救急車

食道静脈瘤が破裂することで亡くなる割合は約10%であるといわれています。

死亡原因の多くは、出血性ショックや肝臓の血流が悪くなることで肝臓が機能しなくなる肝不全です。また肝臓と腎臓はつながっていることから、肝不全から腎不全(腎臓が機能しなくなること)に陥る「肝腎症候群」による死亡例もあります。

医学の進歩で食道静脈瘤破裂の死亡率は年々減少していますが、破裂して死に至る可能性はゼロではありません。そのため、食道静脈瘤は破裂が起きる前に、検査をして治療を行うことが大切です。

内視鏡検査を受けている人

食道静脈瘤を確認するためには通常、内視鏡検査を行います。内視鏡検査は、口からカメラのついた管(内視鏡)を入れて消化管を直接観察する検査法で、食道静脈瘤の色の識別によって出血や破裂のリスクが判定できる点が大きなメリットです。

食道静脈瘤には、青色、白色のものがあります。そのなかで、表面の一部が赤色になった食道静脈瘤は出血や破裂の危険性があることを表しています。

レントゲンでも食道静脈瘤の有無は確認できますが、レントゲン写真は白黒のため色の識別ができません。ですから、レントゲンで食道静脈瘤が認められた場合でも、最終的に内視鏡検査を行います。

また、肝硬変の患者さんは食道静脈瘤を発症する可能性が高いため、定期的に食道静脈瘤の有無を確認する内視鏡検査を行っています。

食道静脈瘤 写真
食道静脈瘤の内視鏡像(下部食道に数珠状の静脈瘤がみられる)飯島克則先生よりご提供

食道静脈瘤の特徴は、食道内にできた2〜3個の瘤が数珠状につながり、これが複数本並んでいることです。とても特徴的な所見なので、内視鏡検査を行えば食道静脈瘤であることは容易に診断できます。また、瘤が大きければ大きいほど、破裂のリスクが高いといえます。

検査で食道静脈瘤が確認されたら、破裂を防ぐために内視鏡による治療を行います。治療では主に「食道静脈瘤硬化療法(EIS)」もしくは「食道静脈瘤結紮術(EVL)」が行われます。

記事2食道静脈瘤の治療−内視鏡による治療法とは?』では、これらの治療について解説します。

 

受診について相談する
  • 秋田大学大学院医学系研究科 消化器内科学・神経内科学講座 教授

    飯島 克則 先生

「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。

「食道静脈瘤」を登録すると、新着の情報をお知らせします

処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

「受診について相談する」とは?

まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

  • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
  • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。