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公開日 : 2017 年 09 月 04 日
更新日 : 2017 年 09 月 04 日

婦人科領域における腹腔鏡手術の発展と歴史-第57回日本産科婦人科内視鏡学会学術講演会に向けた抱負とともに

腹腔鏡手術は、近年、適応が広がりその低侵襲性から従来の開腹手術にとって変わりつつあります。実際に、現在では多くの外科手術が腹腔鏡視下で行われるようになりました。それは婦人科疾患も例外ではありません。近年では、婦人科の悪性腫瘍を始めとして腹腔鏡手術が適応される婦人科疾患は増えているそうです。

岡山県倉敷市に位置する倉敷成人病センターは、良性悪性とも国内では最多の婦人科疾患腹腔鏡手術件数を誇り、高い実績を有する国内有数の医療施設です。

今回は、同センターの安藤 正明先生に、婦人科領域における腹腔鏡手術の発展と歴史をお話しいただきました。

さらに、安藤先生が会長を務められる「第57回日本産科婦人科内視鏡学会学術講演会」に向けた抱負もお伺いしました。2017年9月7日(木)から9日(土)にかけて開催される同学術講演会は、国際学会(APAGE)との同時開催となっており、世界の内視鏡事情を知る機会にもなるでしょう。

なぜ腹腔鏡手術を実施するようになったのか?

婦人科領域において腹腔鏡手術がなぜ広がったのか、ここでは私の例を交えてお話しします。

術後の回復の遅れや合併症などが課題となっていた開腹手術

腹腔鏡手術が普及する以前は、開腹による手術が広く行われていました。たとえば、私自身、卵巣がんや子宮体がんの手術では恥骨(外部生殖器のすぐ上に位置する下腹の骨)の上あたりからみぞおちまで、大きく切開をする手術を実施することも少なくありませんでした。

このような開腹手術は疾患の治療には有効かもしれませんが、痛みも強く、術後の回復には非常に長い時間を要しました。実際、術後の約1、2週間は寝たきり状態になってしまうのです。

さらに、術後に腸閉塞(腸管の癒着や血流障害により腸管の内容が流れなくなる状態)などの合併症を引き起こす場合も多く、社会復帰の遅れや術後治療の遅れが大きな課題となっていました。

低侵襲で術後の回復が早い腹腔鏡手術へ

そこで、新たに登場したアイデアが腹腔鏡を用いた手術だったのです。お話ししたように、開腹手術では術後に当面寝たきりになっていたような患者さんでも、腹腔鏡手術を受けた翌日には歩け、また食事をすることが可能だったのです。

病院で歩行する女性患者さん

出血量も驚くほど少なく、執刀する私自身、非常に驚きました。さらに、課題となっていた合併症の発生も抑えられることがわかってきました。このように、腹腔鏡手術は、術後早期の回復が可能であり、患者さんの負担を軽減することに成功した手術だったのです。

そうして、私も1998年頃から婦人科がんの腹腔鏡手術を積極的に実施することになりました。そこから約20年、あらゆる症例で腹腔鏡手術を実施しています。

婦人科領域における腹腔鏡手術の発展

腹腔鏡手術の適応は確実に広がっている

腹腔鏡手術を行ってきた経験から、私は、特に子宮頸がんは腹腔鏡手術に最も適していると考えています。それは、出血量も少なく術後の腸閉塞もかなり減ることが立証されているからです。術後の回復も早く、生存率も開腹手術と比較しても良好です。

また、腹腔鏡下子宮体癌手術は2014年から保険収載されました。さらに、子宮頸がんに対する腹腔鏡下広汎子宮全摘術も先進医療の対象となり、こちらも認定施設が増加しています。

このように、ほかの外科や泌尿器科と比較すると遅れてはいますが、婦人科疾患においても腹腔鏡手術の適応は確実に広がっているのです。今後はさらに、適応範囲を広げることが可能であると考えています。

安全な腹腔鏡手術のためには高い技術が重要となる

手術画像
写真提供:倉敷成人病センター

実際に、私たち倉敷成人病センターで行う腹腔鏡手術は、悪性腫瘍のみならず良性の子宮筋腫や子宮全摘においても高い実績を有しています。時代の流れとともに多様化も進み、ロボット手術なども導入されつつあります。ちなみに当院はダビンチによる悪性腫瘍手術も国内最多であり国内唯一のロボット手術指定見学施設となっています。

このように、適応疾患の広がりや新たな医療機器の導入に対応するためには、技術の向上が重要です。今後は、合併症の発生を抑えることができる高い技術が、さらに必要になるでしょう。