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インタビュー

第14番染色体父親性ダイソミー症候群(Kagami-Ogata症候群)とは?原因や症状・治療法

第14番染色体父親性ダイソミー症候群(Kagami-Ogata症候群)とは?原因や症状・治療法
鏡 雅代 先生

国立成育医療研究センター研究所分子内分泌研究部臨床内分泌研究室・室長

鏡 雅代 先生

目次
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第14番染色体父親性ダイソミー症候群は、先天奇形症候群として難病指定されている疾患のひとつです。顔と胸部にみられる異常や出生直後に起きる呼吸障害、成長過程における発達障害を伴います。第14番染色体父親性ダイソミー症候群の症状や原因、治療法について国立成育医療研究センターの鏡雅代先生にお話を伺いました。

第14番染色体父親性ダイソミー症候群(鏡-緒方症候群)とは、出生直後からの呼吸障害、新生児期からの豊かな頬、細い目、小さな顎、長い人中(じんちゅう・鼻の下のくぼみ)など、特徴的な顔貌がみられる先天性奇形症候群です。成長していくにつれ、発達障害は全例に認めます。

日本国内で診断された患者さんは2017年11月時点で40名程度ですが、ほぼ全員を当院(国立成育医療研究センター)でみています。発症率は、100万出生に3-4人と推定されています。男女ともに発症し、発症率に性別の差はありません。

遺伝子変異が原因で起こる疾患はどれも遺伝子の発現異常が原因で、様々な臓器や組織の形成や機能が正常でなくなり疾患が生じます。Kagami-Ogata症候群は14番染色体父性片親性ダイソミー、エピ変異、インプリンティング領域を含む欠失により14番染色体インプリンティング領域のインプリンティング遺伝子の発現異常が生じ、これらの臨床症状が出現します。

胎児期の赤ちゃんに確認できる症状として、胸部の変形や縮小、内臓の一部が出ているようにみえる、おなかが張っている・膨らんでみえるなどの所見があります。

子どもが第14番染色体父親性ダイソミー症候群(鏡-緒方症候群)の場合、妊娠中期から羊水過多の症状が出てきます。それも、羊水穿刺法(エコーで胎児の様子を確認しながら、母親の腹部に細い針を刺し、約20mlの羊水を採取する方法)を何度も必要とするほどの羊水過多が認められます。また、羊水過多による切迫早産を引き起こすこともあります。

妊婦

出生後の赤ちゃんはすぐに呼吸障害の症状が出るため、産まれてすぐに人工呼吸管理が必要となります。また、腹壁に異常がみられることも特徴的です。臍帯へルニア(さいたいヘルニア・赤ちゃんの臓器がへその緒から飛び出したまま産まれてくる疾患)を発症していたり、腹直筋というお腹の壁の筋肉が一部欠損したりする症例もあります。

そのほか、嚥下(えんげ・口から飲んだり食べたりすること)を上手にできない時期もあるため、最初の数か月は経管栄養(チューブを通して水分や栄養を体に送ること)が必須となります。

そして乳児期早期からは、豊かな頬・細い目・小さな顎・長い人中(じんちゅ・鼻の下のくぼみ)など、顔貌にも顕著に症状が現れるようになります。

さらに、肝芽腫(かんがしゅ)という肝臓に生じる悪性腫瘍を約8.8%の割合で合併します。

患者数が非常に少ないため、明確な診断基準はありませんが、特異的な臨床像として

  • ベル型、コートハンガー型のとくちょく的な小胸郭
  • 豊かな頬、長い人中

といった特徴的顔貌があります。そして、この疾患に特異的ではないが、よく認められる症状として

  • 腹壁の異常
  • 羊水過多
  • 胎盤過形成
  • 哺乳不良

があります。特異的症状を認め、特徴的症状をいくつか認める場合は本疾患を疑い、確定診断のための遺伝子診断をすべきだと考えます。

検査

この疾患を完治させる治療法は今のところ存在しないため、主要な症状を軽減するにあたって以下の対症療法を行います。

  • 呼吸障害への対症療法:人工呼吸管理、酸素療法
  • 哺乳不良(ほにゅうふりょう・乳を欲しがらないなど):経管栄養と摂食リハビリ
  • 肝芽腫の合併リスク:定期的なスクリーニング検査

患者さん全体の生存率は約75%であり、出生時に人工呼吸管理が必要となるにもかかわらず、生存率が高い疾患といえるでしょう。しかし、程度の違いはあれ、全例に発達遅延を認めますが、特別支援教室、療育などのサポートを受けながら日常生活を送っています。大きくなって歩けるようになり、普通の生活はできますが、特別支援教育、療育などの社会的なサポートは必要となります。

後ろ姿の子供

第14番染色体父親性ダイソミー症候群(鏡-緒方症候群)は出生時から人工呼吸管理を要する疾患ではありますが、治療により新生児期以降の呼吸障害が改善されます。新生児期以降の呼吸障害が改善されると、その後は比較的スムーズに生活することができます。発達障害を認めるものの、学校に通学し、元気に過ごされています。

また、公式な患者会はありませんが、この病気を患う患者さんやそのご家族のみなさんはFacebookなどでやりとりをし、交流の輪を広げていらっしゃるようです。

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  • 国立成育医療研究センター研究所 分子内分泌研究部臨床内分泌研究室・室長

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