昭和大学江東豊洲病院は2014年3月に江東区の要請を受けて、東京都江東区豊洲に開院いたしました。豊洲地区はタワーマンションの建設や、商業施設の建設が進み急激な人口増加がみられています。同院は、人口が増加している豊洲地区で、急性期医療の提供に尽力されています。また、人口増加地域だからこそ、周産期、子どもの診療に力を入れ、救急患者さんの受け入れ体制を整えています。同院が行う女性や子どもにやさしい診療とはどのようなものなのでしょうか。また、同院の消化器センターで行っている治療について、昭和大学江東豊洲病院 病院長である笠間毅先生にお話を伺いました。
当院は、昭和大学の急性期医療を担う病院のひとつです。当院が豊洲地区で開院した背景には、過去に東京都内で発生した重篤な合併症を併発した妊婦さんの受け入れ先がみつからなかったことがあります。このことを受けて、江東区は救急患者さんの受け入れが行われ、急性期医療を担える病院の開院を計画しました。
当院は、江東区の要請を受けて、2014年3月に開院しました。当院が位置する東京都江東区豊洲は、近年タワーマンションや商業施設の建設が盛んに行われており、若年層やファミリー層が増加している地域です。開院時から、女性や子どもが安心して暮らせるために周産期医療や救急患者さんの受け入れを積極的に行う病院づくりに力を入れています。
周産期医療に対しては、豊洲地区が人口増加地域でもあることから、小児科や婦人科などの診療科を充実させています。子どもや女性、ご家族が安心して暮らせる街づくりに貢献していきたいと考えています。そのため、当院では婦人科と新生児科がチームとなって診療にあたる周産期センターを設置いたしました。また、小児内科と小児外科がチームとなっている、こどもセンターも設置しています。
同センターでは、地域の先生方との連携や、ほかの昭和大学附属病院とも連携を取っています。そのため、365日24時間体制で産科の患者さんに対応ができるようにしています。また、当院のこどもセンターや救急センターなどとも密に連携を取っています。院内の診療科と連携を密接にすることで、妊娠中の母体の緊急を要する事態にも対応ができるようにしています。
2018年2月現在で、29床のベッド数とLDR(陣痛、分娩、回復室)が5床あります。29床のベッド数のなかには陰圧個室(いんあつこしつ:部屋のなかの圧力が外よりも低い個室)が6床含まれています。陰圧個室は、感染症の患者さんや安静にしていなくてはならない患者さんに対応している個室です。
当院のこどもセンターでは、小児内科と小児外科、新生児科の3部門で診療にあたっています。部門は違っても、子どもの診療を包括的に行えるような体制づくりを目指しています。
2018年2月現在でNICU(新生児集中治療室)を9床備えています。周産期センターと連携を取って、早産や低出生体重児、先天性の病気などがみられ治療が必要だと判断された赤ちゃんを受け入れています。地域の医院・病院からの新生児の救急搬送を24時間受け入れています。
当院では、土曜日、日曜日、祝日でも外来診療や検査を行っています。休日での外来診療を可能にするために、医師にもシフト制の勤務体制を導入しています。
また地域の医療ニーズに対応できるように、地域の病院とも連携を取り救急患者さんの受け入れや搬送を行っています。
当院では、周産期センター、こどもセンターのほかに、消化器部門や循環器部門、脳血管部門などの内科と外科の医師がチームとなって診療にあたっているセンターがあります。外科と内科で連携を取り、ひとりの患者さんをその診療科全体で診察するようにしています。また、各センターでは、可能な限り低侵襲治療を心がけています。外科手術を行うときでも、患者さんの負担が少ないような治療方針を考えています。センター内だけでなく、ほかの診療科とも協力し連携を取ることで患者さんの治療をサポートする体制をつくっています。
同センターでは、消化器の病気に対する治療にあたっています。消化器内科の医師と消化器外科の医師がひとつのチームを組んでいます。また、同じ消化器分野でも臓器によって異なるチームを編成しています。消化器センターでは以下の臓器にわかれて診療をしています。
<消化器センターのチーム>
各チームは良性の病気や、がんなどの治療を行っています。また、化学療法では当院の腫瘍内科と連携を取り、患者さんに安心して治療を受けていただけるように尽力しています。
以下の項目では、食道アカラシアの診察にも尽力している食道専門チームをご紹介します。
食道専門チームでは食道の機能性障害や、がんなどの治療を行っています。また、同チームでは、患者さんの負担が少ない低侵襲治療を心がけています。患者さんの病状によっては、外科手術になることもありますが、その場合でも、患者さんの負担が極力少なくなるように治療方針を決めています。最新の内視鏡治療として、当センター長の井上晴洋教授が新しく開発した食道アカラシアに対する「POEM法」という内視鏡治療法があります。
同チームでは、食道アカラシアの診断、治療を多く行っています。
食道アカラシアとは、食べ物を飲み込むときに、食道が十分に開かなくなる病気です。同センターでは、食道アカラシアの検査、診断に1泊2日の検査入院をしていただいています。検査入院では、胃カメラ、バリウム検査、食道内圧検査、CT検査などを行います。
検査の結果、食道アカラシアと診断された患者さんには、治療方針、日程などの決定をしています。また、治療方針などの決定も検査入院のなかで患者さんと決めていきます。
食道アカラシアの治療では、薬を使った治療や、外科手術、内視鏡治療などがあります。同チームのある消化器センターでは、患者さんの体に負担の少ない手術を心がけています。そのため、薬での治療や内視鏡を使用した治療を多く行っています。内視鏡治療のPOEM法には、患者さんの状態に合わせて、切る長さや方向を調整できることや、低侵襲治療という利点があります。地域のみならず、遠方にお住いの患者さんも数多く来院されており食道アカラシアに対するPOEM治療は2017年12月までに1,700例以上安全に行われています。
当院は2018年春で5年目を迎える新しい病院です。江東区豊洲は、人口が増加しており、現在もですが、今後も周産期や子どもの病気、急性期の治療が行える病院が必要になります。地域の産科クリニックや小児クリニックとも連携を取り、女性や子ども、ご家族が安心して暮らせる街づくりに貢献していきたいと考えております。
当院では、かかりつけ医と当院の医師による「ふたり主治医制」を目指しています。患者さんは、近隣の先生にかかりつけ医となっていただき、急性期の治療や地域の病院では治療の難しい病気のときに当院にかかっていただけるような体制を築いていきたいと考えています。また、当院で治療の終わった患者さんは地域に戻って、困ったことがあったらかかりつけ医と相談ができることを目標にしています。
そのために、地域の病院の先生方と講演会や懇親会を開催し、顔のみえる関係をつくり、信頼関係を築いていきたいと考えております。また、私自身も地域の先生方のもとに伺い、ご挨拶をしています。地域の病院と連携を深めることで、治療の終わった患者さんが安心して地域に戻れるようなシステムをつくっていきたいです。
座間総合病院 人工関節・リウマチセンター リウマチ科 顧問、昭和大学江東豊洲病院 客員教授
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