院長インタビュー

ぶれない理念を軸に沖縄県⺠の健康を⽀える沖縄セントラル病院  

ぶれない理念を軸に沖縄県⺠の健康を⽀える沖縄セントラル病院  
大仲 良一 先生

法人寿仁会 沖縄セントラル病院 理事長

大仲 良一 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年08月30日です。

医療法⼈寿仁会沖縄セントラル病院は、1973年に沖縄県那覇市に創⽴された病院です。「ひたすら病める⼈々のために」という理念のもとに、開院以来、地域医療に貢献し続けています。9つの⼀般診療科に加え、パーキンソン病治療やガンマナイフセンター、⾼気圧酸素治療センター、特殊健康診断センター、乳腺・甲状腺疾患に関する外来などの専⾨診療部⾨を8つ構えて幅広い疾患に対応しています。

同院の取り組みについて、医療法⼈ 寿仁会の理事⻑である⼤仲良⼀先⽣にお話を伺いました。

沖縄セントラル病院外観 沖縄セントラル病院ご提供

当院が開院した1973年は、沖縄の施政権がアメリカ合衆国から⽇本に返還された翌年です。当時の沖縄は医師やコメディカル・スタッフの数が少なかったため、戦前に⽇本の医師免許を取得した台湾の先⽣⽅を招聘し、当院を開院いたしました。

当院は開院以来、常にオンリーワンをめざす姿勢を貫いています。そのため、1978年には頭部のCTスキャンを導⼊し、いち早くリハビリテーション部⾨を導⼊するなど、常に独⾃の医療を提供していけるよう努⼒しています。

また、当院は那覇空港より⾞で約20分、那覇港より⾞で約15分とアクセスがよいことも、魅⼒のひとつだと考えております。

ガンマナイフとは、細かい線源のガンマ線を⽤いることで開頭することなく脳腫瘍や脳⾎管障害などの病変を治療・コントロールする低侵襲な治療です。

当院ではこのガンマナイフを2002年から導⼊しています。2012年には新しい機種にリニューアルし、治療時間の短縮や、治療域の拡⼤に加えて病変部以外の細胞への被ばく線量がリニューアル前から⼤幅に軽減されました。

ガンマナイフセンターのスタッフミーティングの様子 沖縄セントラル病院ご提供

ガンマナイフの特徴

ガンマナイフ治療の特⻑は、⼊院期間の短さです。施術は1⽇で完了するため、当院では⼊院初⽇に検査し、次の⽇にはガンマナイフ治療、さらに翌⽇には、退院いただくことも可能です。そのうえで、治療効果が従来の開頭⼿術に劣らないことが強みです。感染症や⿇痺など合併症のリスクも少なく、体⼒のないご⾼齢の患者さんにも施術が可能です。従来の開頭⼿術では困難であった脳深部の病巣への治療にも効果を発揮します。

ガンマナイフ 沖縄セントラル病院ご提供

⾼気圧酸素治療センターは、1978年に設⽴されました。⾼気圧酸素療法で使⽤する機器の内部気圧をコントロールすることにより、呼吸を通じて⾎液中に溶け込む酸素の量を増やし⾃然治癒を促進します。もともとは減圧症(潜⽔病)の治療として開発された医療機器であり、現在はさまざまな疾患の治療で効果を発揮しています。

2018年8⽉現在は脳梗塞突発性難聴、脊椎疾患、糖尿病等末梢部の循環障害、重度のやけど、さらに放射線治療による障害など、各科の領域で保険も適⽤されており、その効果の範囲は多岐にわたります。

高気圧酸素療法のための設備 沖縄セントラル病院ご提供

健康管理センターでは、当院の理念のひとつでもある「健全なる⽅々の更なる健康増進のために」を掲げ、検診・運動指導、・栄養指導・⼼理相談などを⾏っています。

航空パイロットや潜⽔業務に携わる⽅々の特殊検診も⾏っており、⾼気圧健康診断や航空⾝体検査などを実施しています。

当センターでは予防医療の提供のため、2003年からメディカルフィットネスセンターを開設しています。医師の指導のもと効果的なエクササイズが可能であり、ご⾼齢の⽅や体⼒が低下している⽅はもちろん、⼀般の⽅にも適切な運動による健康の維持・増進を勧めています。専⾨の運動指導スタッフによる訓練で効果を発揮しています。

ユートピア沖縄外観 沖縄セントラル病院ご提供

2011年に開設された⾼齢者複合介護施設「ユートピア沖縄」は、国⼟交通省のモデル事業となっています。少⼦⾼齢化社会対策となる事業であり、130名の受け⼊れが可能です。ご⾼齢の⽅に快適な住環境と医療を提供するというだけではなく、⽼後の⼈⽣もいきいきと過ごしていただけるように、さまざまなケアを受けられます。デイサービスやクリニック、などにくわえて、保育園や美容室など⼼も和やかに過ごせるように⼯夫しています。また、訪問看護や訪問診療の体制も整えています。

3階に設けた屋上庭園では、併設された保育園の⼦どもたちと触れ合えます。この保育園の⼦どもたちとは、さまざまなイベントを通して定期的に交流しています。

1994年に国際医療ボランティア団体「AMDA沖縄⽀部」が設⽴されました。2017年現在は、世界28か国に⽀部を持ち、貧困に苦しむ⼈々や被災者などへの国際⼈道⽀援を⾏っています。

当院では、1988年に「インドにおけるポリオ及びコールドチェン調査」の特命派遣部隊に⽇本代表として参加し、ポリオ撲滅のために渡印しました。その際には約1か⽉間インドを周り、ポリオの実態調査を⾏いました。その後も、世界⼗数か国で保健活動、救援・⽀援活動を⾏っています。近年で

は、エイズの保健活動として南⽶やペルーに当院の医師を派遣しています。

「AMDA」活動の様子 沖縄セントラル病院ご提供

当院にインドから患者さんがいらしたこともありました。その際には、⾔葉の壁がありながらも、宗教上の理由で⾷することができない⾷べ物への配慮や、沐浴・礼拝などの時間・場所の確保などを⾏いました。このように、患者さんそれぞれの国籍・宗教・⾷⽂化などの事情も柔軟に考え、今後さらに増えると予想される医療観光の患者さんに対応していく必要があると考えています。

私が当院の職員に伝えている⾔葉は、2つあります。

ひとつは、昔のことを学び、そこから新しい⾒解を導くという意味の「温故知新」、もうひとつは、⼈は困難や⾟いことを経験し学ぶことによって、⽴派な⼈格を得るという意味の「艱難汝を⽟にす」です。当院の職員には、このような姿勢を持ってほしいと伝えています。

当院はこれからも、「ひたすら病める⼈々のために 健康なる⼈々の更なる健康増進のために集いし職員(とも)の⽣涯修養の館たらんことを」という理念のもとに、世界中の患者さんに、当院でしか提供できない医療の実施に努めてまいります。