院長インタビュー

地域の方々の心身の健康を守る福井厚生病院

地域の方々の心身の健康を守る福井厚生病院
羽場 利博 先生

医療法人厚生会 福井厚生病院 名誉院長

羽場 利博 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年09月21日です。

福井厚生病院は福井県福井市で地域医療に貢献する199床の病院です。急性期の治療から回復期リハビリテーションの提供や地域包括ケア病棟の設置など地域の医療ニーズに応えるためにさまざまな取り組みを実施しています。特にリハビリテーションには力を入れており、体だけでなく心のリハビリテーションも提供しています。同院の取り組みについて、医療法人 厚生会 福井厚生病院 院長 羽場利博先生にお話を伺いました。

福井厚生病院外観(福井厚生病院よりご提供)

福井厚生病院は地域の循環器や消化器疾患などの急性期医療に注力しています。また、リハビリテーションや訪問看護、訪問介護などの在宅医療にも力を入れており、切れ目のない医療の提供に尽力しています。地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みのひとつとして、地域包括ケア病棟を設置し、在宅医療を受けている患者さんの病状が悪化したときでも迅速に対応ができる体制を整えています。

そのほか、近隣の医療機関で急性期医療を終えた患者さんで、在宅復帰にまだ不安が残る、入院生活で筋力が低下してしまった、などの患者さんを受け入れリハビリテーションを実施しています。また、在宅復帰後は、訪問看護や訪問介護にくわえデイサービス(通所介護や通所リハビリテーション)も充実させています。

診療科では、循環器内科や消化器内科での診療や、ストレスケアセンターの開設など若年者から高齢者までの心と体の健康を守るためにさまざまな取り組みを実施しています。さらに、近年では病気の早期発見や予防の重要性が増してきています。そのため、当院でも健診や人間ドックに力を入れています。

当院では、個人の健康診断だけでなく企業単位での健康診断に力を注いでいます。そのため院内での健康診断だけでなく、胸部・胃レントゲンを設置している健診車を複数台保有し、各企業への出張健診を日々行っています。

近年では職場や学校、家庭での人間関係や環境の変化、労働時間などさまざまな要因でうつ病適応障害不安障害などの精神疾患を発症する方が増えてきています。中には自分が精神疾患になっていることに気が付かず重症になってしまい、入院治療が必要になるケースもあります。

ストレスケアセンターでは、外来診療から開放病棟による入院治療を行っています。患者さんによっては身体症状がみられることもあるため、他科と連携し心と体の治療を進めています。何らかの精神疾患を持っている患者さんの中には、不眠症状をきたしていることもあり、睡眠外来を開設して睡眠障害に関する診療を行っています。また、思春期外来を開設して思春期の子どもたちへの診療も行っています。

精神疾患で入院治療が長引くと社会復帰が難しくなることや、家庭内で居場所がなくなってしまうことがあります。そのため、入院治療が必要になった患者さんはなるべく早く退院できるように支援しています。

しかしながら、症状が改善し、社会復帰を目指しても就労先がないと自立は困難です。そこで市内のハローワークと連携し、こうした方々の就労支援に関する協定を結んでいます。ハローワークと連携することで、精神疾患の患者さんの社会復帰が促進できると考えています。

当院は一般診療とストレスケアセンターで病院の入り口を変えていません。医療機関によっては一般診療の方と精神科診療を受ける方の入り口を分けていることもありますが、患者さんのなかには精神科に通院をしていることを知り合いにみられるのではないかと不安に思う方もいます。そのため、どなたでも同じ病院の入り口を利用していただき、治療に専念していただけるよう工夫しています。

正面ロビー(福井厚生病院よりご提供)

循環器内科ではカテーテルを用いた治療を多く提供しています。循環器内科で診療する疾患の多くは、心不全不整脈心筋梗塞などの心臓に関係する疾患です。当院では早くから不整脈に対するアブレーション治療に力を入れて実施してきました。

アブレーション治療は血管からカテーテルを挿入し、そこから心臓内部まで伸ばし、高周波電流を流して不整脈の原因となっている部分を焼き切る治療方法です。この治療はカテーテルを使用し、開胸しないことから、患者さんの体に負担の少ない治療方法です。

消化器内科、消化器・一般外科では上部消化管や下部消化管の内視鏡検査やCT検査、MRI検査、超音波検査などの画像診断を行い、治療をしています。内視鏡を使用して治療することも多くありますが、病状によっては消化器内科での診断後に一般外科での外科手術を行うケースもあります。

内視鏡検査では患者さんから要望があった際に鎮静剤を使用して検査をすることがあります。以前に胃カメラ検査でつらい経験をすると、内視鏡検査に抵抗を覚える方も少なくありません。そんな方のために、苦痛の少ない内視鏡検査を提供することで苦手意識をなくし、定期的な健診へつなげていただければと思います。

当院のリハビリ課は回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟に入院している患者さんや、ほかの医療機関で急性期治療をしていた患者さんに在宅復帰に向けたリハビリテーションを提供しています。また、ストレスケアセンターでも、心のリハビリテーションとして、作業療法やデイケアを提供しています。まず、体のリハビリテーションについてお話します。

院内リハビリテーションは365日実施しており、朝のモーニングリハビリや夕方のイブニングリハビリを行っています。患者さんそれぞれにあったリハビリテーションを提供できるように心がけています。

リハビリテーションスタッフは非常に明るく患者さんによく声をかけています。患者さんも黙々とリハビリテーションをするのではなく、スタッフと会話することで楽しい気持ちになり、意欲的に取り組んでくれると思います。

次は心のリハビリテーションについてお話しいたします。

ストレスケアセンターのリハビリテーションでは、心のデイケア、作業療法を実施しています。精神疾患の患者さんの社会復帰を目指し、さまざまな取り組みをしています。たとえば、デイケアや作業療法を通じて、自分自身への理解を深め病状の安定やコントロールを学び、身に着けることができるようにプログラムや個人面談などを設定しています。

患者さんには何か目標を持って社会復帰をしてもらいたいと考えていますし、そのためのサポートをスタッフ一同取り組んでいます。

若手医師の研修はもちろん、若いうちから医療の世界に興味を持ってもらうための取り組みとして、地域の中学校の職場体験を積極的に受け入れています。医師や看護師、介護スタッフの仕事を中学生のときに体験することで、自分の将来を考えた際に医療の道もひとつの選択肢になると考えています。

また、中学生が職場体験に来た際には、スタッフがコメントを載せている「お仕事図鑑」という冊子を見てもらっています。この冊子は医師や看護師だけでなく事務職や介護スタッフのコメントも掲載しています。病院は医師や看護師による医療行為だけでなく、さまざまな部門のスタッフに支えられて医療を提供することができることを地域の中学生たちに知ってもらいたいと思います。

お仕事図鑑

当院は2021年の病院新築を検討しています。病院の建て替えにともない、施設内にもさまざまな工夫をしたいと考えています。たとえば、看護ステーションの近くに患者さんが入院生活中も楽しめるスペースを設置したいと考えています。入院生活の中でも楽しみをつくり、自宅のような居心地のよいスペースでゆっくり過ごし治療を受けてほしいと思います。

今後は在宅医療にも今まで以上に力を入れていき、在宅で病状が悪化した場合には当院で迅速に治療にあたる体制を整えていきます。総合病院として、地域の皆さまに安心して頼っていただける病院を目指してまいります。

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  • 医療法人厚生会 福井厚生病院 名誉院長

    羽場 利博 先生

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