院長インタビュー

地域の皆さんが安心して生活できる医療体制を─山口県済生会豊浦病院の取り組み

地域の皆さんが安心して生活できる医療体制を─山口県済生会豊浦病院の取り組み
中司 謙二 先生

山口県済生会豊浦病院 院長

中司 謙二 先生

目次
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この記事の最終更新は2019年06月24日です。

山口県済生会豊浦病院は山口県下関市北西部に位置しています。同院は、小児科や産婦人科を含む18の診療科が協力して、地域の急性期医療を担っています。また、周辺地域の医療機関で急性期医療が一段落した豊浦町・豊北町等近隣にお住まいの方々が安心して在宅復帰できるように、後方支援病院としても尽力しています。同院の取り組みについて、院長の中司謙二先生にお話を伺いました。

山口県済生会豊浦病院 外観
山口県済生会豊浦病院 外観

当院の歴史は、1944年に発足した広島陸軍第一病院小串転地療養所から始まります。戦後は厚生省に移管され、国立山口病院として地域医療に従事してきました。その後、市町村合併に伴い、病院名を下関市立豊浦病院に改称しました。そして2016年4月に済生会に経営移譲したことで、山口県済生会豊浦病院となりました。2018年に病院を新築移転し、2019年3月に駐車場整備を終え、無事落成式を迎えたことで、山口県済生会豊浦病院として地域医療の充実に貢献できる体制を整えることができたと思います。

当院はこの地域において、医療の面でとても重要な役割を担っていると考えています。周辺地域には多くの診療科を有している医療機関が少ないため、市内の医療機関と連携を取りながら、救急患者さんの受け入れから日々の外来診療まで幅広く対応しています。

外来総合待合
外来総合待合

小児科では、赤ちゃんから思春期の中学、高校生までのお子さんを診療しています。日々の診療だけでなく小児救急も受け入れ、地域の小児医療の充実を図っています。夜間の小児救急の体制は、小児科の医師が当直して診療にあたる場合と、他科の医師が当直して診療にあたる場合があります。小児科の医師が当直していない場合は、必要に応じて小児科医師へ連絡を入れて対応しています。

お子さんに熱などの症状があっても、機嫌よく水分がとれる場合は、ご家庭で少し様子を見て翌日の来院をお願いしています。また、少し遠くなりますが、旧市内には救急の当番病院や急病診療所もありますので、症状によってはそちらの医療機関への受診をお願いする場合もあります。

小児科の入院治療では、新生児や急性期疾患だけでなく、慢性疾患のお子さんの入院も受け入れています。当院の近くには山口県立豊浦総合支援学校があり、入院しながら支援学校への通学をサポートしています。病状によっては登校することが難しい児童生徒もいらっしゃるので、支援学校と連携して、先生方に来院してもらったり病室に設置したビデオ会議システムを活用したりして授業を行っています。ビデオ会議システムは、支援学校と当院の病棟それぞれに設置した端末を介して、リアルタイムで授業を実施するシステムです。このように当院では、勉強しながら治療をしていくお子さんのサポートもしっかり行っています。

泌尿器科の手術風景(ミニマム創内視鏡下手術)
泌尿器科の手術風景(ミニマム創内視鏡下手術)

泌尿器科では、前立腺がん膀胱がん腎臓がんなどの手術のほか、腎不全透析治療などを行っています。また、2011年から生体腎移植を開始したことで、腎不全の患者さんに提供できる治療の幅を広げることができました。当院では、腎臓を提供してくださる方がいれば積極的に腎臓移植を行い、末期腎不全の患者さんの腎臓機能回復に努めています。

当院では、看護師に対して課題別研修を行っています。課題別研修では、看護師に各自が希望するテーマを研修するグループに入ってもらい、1年かけて行います。研修テーマはさまざまで、たとえば脳神経疾患や産科看護をテーマに選択した場合は、医師との勉強会や指導を受けながら知識を深めていきます。ほかにも、認知症ケアや口腔ケア、BLSなど普段の看護に深く関係するテーマや、接遇を選択して患者さんやご家族に対する細やかな心配りについて改めて考える研修テーマもあり、これらを選択している看護師もいます。

そして、課題別研修に参加した看護師には年に1回開催される院内看護研究発表で、1年間の研究結果についてテーマごとに発表してもらっています。

それぞれのテーマについて時間をかけて研究することや研究結果の発表、研修で得た知識を業務にいかすことはスタッフたちのやりがいにつながっています。積極的に後輩の指導にあたるスタッフや、研修の講師を務めるスタッフも増えてきています。

課題別研修の成果発表会の様子
課題別研修の成果発表会の様子

当院は、地域の医療機関としてできる限り皆さんに信頼される医療を提供していきたいと思います。しっかりと診断をしたうえで当院での治療が難しいと判断した患者さんには、それぞれに適切な医療を提供できる医療機関をご紹介したり該当する医療機関へ搬送したりしますので、ご安心ください。

当院の診察では紹介状を必ずしも必要としていません。かかりつけ医のような役割も持っているので、心配な症状が見られた際には気軽に来院してください。

当院は地域のなかでも数少ない入院機能を有し、多くの診療科を揃える病院です。一つの病気だけでなく、複数の病気を抱える患者さんも多く来院しています。そのため当院では、研修医や若手の先生にも多くの病気、さまざまな状態の患者さんの診療を経験していただくことができます。また、小児医療から高齢者医療まで幅広く対応しているため、さまざまな年代の患者さんの診療について多くのことが学べる環境だと思っています。

当院の周辺は小串の海をはじめ豊かな自然があり、余暇を使ってレジャーを楽しめるほか、新しい趣味を見つけられるなど、いろいろなことができる環境でもあります。

プライマリーケアを学び、地域医療を間近で学べるほか、豊かな自然に囲まれた余暇を楽しめる当院を、ぜひ見学に来てください。

当院は済生会病院の一つとして、救療済生の精神に基づき地域医療の提供に尽力しています。当院は今後も患者さん中心の医療を提供し、地域の皆さんに信頼される病院を目指して尽力していきます。

また、患者さんの立場で考える医療の提供を今後も実践していきたいと、職員一同が考えています。急性期医療はできる範囲で可能な限り行い、県内の高度急性期医療を提供できる医療機関と連携を取っていきます。そして、急性期の治療が一段落した患者さんがご自宅に戻るまでのポストアキュートとしての役割を担いながら、在宅医療を受けている患者さんの病状が急変したら受け入れるサブアキュートとしての役割も充実させていきます。人口減少の続く中、こどもから高齢者まで、今後も地域に求められる医療を提供していきたいと思います。

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