院長インタビュー

“よかった。この病院で” 患者さんが安心できる医療環境の構築に励む「横須賀共済病院」

“よかった。この病院で” 患者さんが安心できる医療環境の構築に励む「横須賀共済病院」
長堀 薫 先生

国家公務員共済組合連合会 横須賀共済病院 病院長

長堀 薫 先生

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この記事の最終更新は2019年07月03日です。

国家公務員共済組合連合会 横須賀共済病院(以下、横須賀共済病院)は、神奈川県横須賀市に位置しています。

同院では、「よかった。この病院で」を理念に掲げ、地域の医療機関と連携を取りながら、患者さんやそのご家族に安心していただける医療環境の構築に励んでいます。また、三浦半島の医療を担う中核病院として先端医療、救急医療、がん治療を中心に力を入れてきました。

患者さんやそのご家族が安心できる医療環境の構築に励む、横須賀共済病院の病院長である長堀薫先生にお話を伺いました。

横須賀共済病院の外観
横須賀共済病院の外観

当院では、先端医療、救急医療、がん治療の3つを病院の柱として、三浦半島全域の患者さんを受け入れています。また、総合入院体制加算ⅠやDPC特定病院群、地域がん診療連携拠点病院などの指定も受けており、より患者さんに安心して医療を受けていただける環境の構築に努めています。

不安を感じている患者さんに対してより適確な治療を提供したいという思いから、新しい医療機器の導入や設備の開設を行っています。たとえば、2017年5月には手術支援ロボットのダヴィンチを導入しました。主に前立腺がんや腎がんなどの泌尿器科の病気に用いられており、ダヴィンチの導入により痛みや出血量を抑えられることから負担の少ない治療が可能になりました。また、同年9月には特定集中治療室*を開設したことにより、急性呼吸不全や急性心不全、意識障害などの症状が重い患者さんや、手術後に徹底的な管理が必要な患者さんに対して、医師や看護師による集中的な治療あるいは看護が提供できる環境を整えています。

*特定集中治療室…厚生労働省が定めた施設基準を満たし、さらに厚生労働省からの認定を受けている集中治療室。

三浦半島の中核病院として救命救急センターを設け、緊急で治療が必要な重症の患者さんの24時間受け入れ可能な体制を整えています。特に、地域の方々を1人でも多く救うため、「救急車を断らずに全て受け入れる」という方針を徹底しています。その結果、2017年度は三浦半島の救急医療を担う病院として10,127台もの救急車を受け入れました。

さらに、救急医療に力を入れる病院としての役割を果たしていくためには、地域の医療機関の先生方との連携も大切になります。そのため、当院では地域の回復期を担う11病院と協定を結び(地域医療連携協定病院*)、円滑な医療連携のためのネットワークを構築しました(2018年12月時点)。各協定病院間の状況を適切に相互共有するため、定期的な情報交換の場を持つようにもしています。

また、救命救急センターでは、各診療科との連携のもと、初期治療から集中治療までを一貫し行っています。救急車を受け入れたあとの、患者さんごとの病態に適した医療の提供にも尽力しています。

*地域医療連携協定病院…横須賀共済病院と協定を結ぶ、亜急性期(回復期)医療を担当する病院。

MRI検査室の様子
MRI検査室の様子

当院は、2006年8月に地域がん診療連携拠点病院に指定されました。地域がん診療連携拠点病院とは、全国どこでも質の高いがん医療を提供することを目的に、がん診療の推進や地域の医療機関の連携を強化するための拠点となる病院のことです。

地域がん診療連携拠点病院として、がんの専門的な治療を行うことができる医療環境に加え、白血病を専門とする無菌室や外来化学療法室を設置しています。また、当院は地域の医療機関やがん患者さんからの相談に対応するがん相談支援センターを設置しているほか、乳がんを体験した方による、がん患者さんやそのご家族のお話を伺うがんピアサポート(無料)を毎週木曜日に実施しています。そのほかにも、心身共に救いたいという思いから、がん患者さんに対する多方面からのサポートを積極的に行っています。

「がん相談支援センター」についてはこちらをご覧ください。

当院は2004年3月に地域医療支援病院の承認を受けました。かかりつけ医と連携を取り、地域のなかでの役割を分けることで、地域全体で患者さんにとってより効果的な医療を提供できるように尽力しています。

さらに、当院では、地域の医療機関についての問い合わせや調整に対応したり、患者さんごとに適した医療機関への紹介を推進したりすることを目的として、地域連携センターを設けました。地域連携センターは、地域連携室、総合相談退院支援室、総合相談医療福祉室、総合相談看護相談室、がん相談支援室、病床管理室、CP(クリニカルパス)管理室、Patient Flow Management(PFM)の8部門から成り立っています。それぞれの部門が、救急車の受け入れを断らないための体制づくりや入院が決まった時点での状態管理、退院後の受け入れ先の調整などを行っています。

また、在宅診療所との連携も積極的に行っているため、たとえば患者さんは入院時から担当予定の在宅医と事前にコミュニケーションを取ることが可能です。一方、患者さんの急な病状の変化などで当院が受け入れを行う場合でも、患者さんの状態をすぐに把握できるので、迅速に治療を開始することができます。

カンファレンスの様子
カンファレンスの様子

当院では、今後AI(Artificial Intelligence:人工知能)機能を取り入れた診療体制を構築していきたいと考えています。

まず、内閣府の「AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」の実現に向けたプログラムに参加し、音声認識システムの開発にAIのスタートアップ企業と共に取り組んでいます。

現状では、医師や看護師の業務のなかでも、書類の入力作業に割く時間が多いとされています。その作業量を減らし、患者さんとコミュニケーションをとる時間を増やせないかと考えました。

たとえば、医師がAIによる音声認識機能を搭載したピンマイクを装着し患者さんと会話をすることができれば、その間入力作業をすることなく患者さんの目を見たままで会話を続けられることになります。なにより、会話から得た情報は、自動的に文章として保存されているため、聞きもらす心配もありません。

今後はAI機能の浸透により、患者さんとのコミュニケーションを密にとることができるようになり、小さな変化や早い段階での病気の発見にもつながるのではないかと期待しています。

横須賀共済病院が力を入れる地域医療構想およびAIホスピタル構想については『日本医療マネジメント学会第18回神奈川支部学術総会「地域医療構想とポジショニング」特別講演』のレポート記事をご覧ください。

また、AI運行バスのパイロットスタディも予定しています。AI運行バスは、病院の予約システムと連動し、配車予約を行うことができるシステムです。現在の日本では高齢化が注目されています。特に車の運転や歩行が困難とされる方にとっては、簡単に利用することができるため便利なものになると考えています。

当院では、AI機能を取り入れた診療体制を構築し、患者さんが地域で安心して暮らすことのできる環境が提供できるよう目指していきます。

当院では、地域の方々やそのご家族、さらには職員から「よかった。この病院で」と思っていただけるよう日々尽力しています。

これまでも、三浦半島の医療の中核を担う病院として、先端医療、救急医療、がん治療を中心に、地域に貢献できる医療の提供に励んできました。今後も、「高度急性期医療の提供」と「マグネットホスピタル*」をビジョンとして掲げ、より地域の皆さんに安心していただける医療環境の構築に努めていきます。

*マグネットホスピタル…患者さんやそのご家族、職員にとって、魅力的である病院

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