院長インタビュー

兵庫県立尼崎総合医療センターの新たなるステージ——地域完結型医療を目指した取り組み

兵庫県立尼崎総合医療センターの新たなるステージ——地域完結型医療を目指した取り組み
平家 俊男 先生

兵庫県立尼崎総合医療センター  病院長

平家 俊男 先生

目次
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この記事の最終更新は2019年08月22日です。

兵庫県立尼崎総合医療センターは、2015年に開院し、地域の高度急性期医療を担っています。充実した医療の提供を実現するために、院内でさまざまな取り組みを開始しました。同院の取り組みについて病院長の平家 俊男(へいけ としお)先生にお話を伺いました。

当院は2015年に尼崎病院と塚口病院が統合再編し、兵庫県立尼崎総合医療センターとして新たなスタートを切りました。病院機能を拡充し、新たな診療科の開設や診療体制を充実させることができました。地域の高度急性期医療・高度専門医療を担う病院として、新たな一歩を踏み出しました。

兵庫県立尼崎総合医療センター 外観

兵庫県立尼崎総合医療センター 外観

当院は地域完結型の医療提供を目指しています。そのためには、地域の医療機関と密接な連携が必要になります。地域の医療機関との連携は地域医療連携センターが担っています。常に顔の見える関係を心がけ、連携しています。また、当院には近隣の伊丹市などからも患者さんが来院されます。これらの地域の医療機関へは、院長である私も訪問し、先生方と積極的に顔の見える関係を構築していくことで、地域完結型医療の実現に一歩近づくことができるのだと思います。

エントランスホール

エントランスホール

当院は、5疾病*を中心とした多様な疾患、小児医療、周産期医療に対する高度救急医療・高度専門医療を提供しています。ハイブリッド手術室やロボット手術など高度先進医療を実践し、患者さんの体に負担の少ない治療も提供しています。

*5疾病:がん脳卒中、急性心筋梗塞糖尿病、精神疾患

当院のがんセンターでは、PETを含めた各種診断装置、強度変調放射線治療(IMRT)が可能な2台の画像誘導放射線治療装置(うち1台は動体追尾式の治療が可能な装置)、30床の外来化学療法室などをフル稼働し、19室ある手術室を有効に活用して、的確かつ迅速な診療を提供しています(2019年7月時点)。また、充実したがん相談支援センター、緩和チームを備え、さまざまな観点から“より良く生きていく”ための支援を精力的に行っております。地域の医療機関との連携も積極的に行っています。

脳神経外科と脳神経内科は合同で脳卒中センターを運用しております。脳梗塞急性期では、従来からの血栓溶解療法にくわえて、カテーテルを用いた機械的血栓回収療法の有効性が示されたことから、当院でも地域の基幹施設として365日24時間専門医が待機し、迅速な治療による社会復帰率の向上を目指しています。

病室

病室

循環器内科・心臓血管外科・小児循環器内科で構成する循環器センターが機能しており、あらゆる年齢の心血管病に対応し、当科の救命救急センターとの連携のもと、多くの救急患者さんに高度な救急・集中治療を行っています。また冠動脈形成術、不整脈アブレーション、下肢動脈形成術、大動脈疾患のステントグラフト術の高度な医療を要する症例も増加中です。最近は大動脈弁狭窄症僧帽弁閉鎖不全症のカテーテル治療も積極的に行っています。心不全はリハビリテーションと栄養指導を行い、終末期には緩和ケアも行います。

本院は救命救急センター・小児救命救急センターに指定されており、集中治療室での治療が必要な重症度の高い患者さんの治療にあたっています。また、救命救急センターは北米型救急医療モデルであるER型救命救急センターを採用し、軽症から重症の初療を担っています。

小児病棟では、小児血液・腫瘍内科、小児循環器科、小児神経科や小児外科や小児形成外科などを備え、子どもの病気に関して幅広い専門性を持ちながら小児病棟として一体感を持って診療にあたっています。また、総合周産期母子医療センターに指定されており、産婦人科とも連携した診療体制を取っています。充実した小児周産期医療の提供のために、小児集中治療室(pediatric intensive care unit:PICU)を8床と母体・胎児集中治療室(Maternal Fetal Intensive Care Unit:MFICU)を6床備えています(2019年6月時点)。また、小児に特化したドクターカーも運用しています。

ドクターカー

ドクターカー

クリニカルリサーチセンターでは、臨床研究と治験の推進を行っています。特に、医師だけでなくメディカルスタッフも臨床研究を行えるように“臨床研究推進ユニット”という教室を定期開催し、研究推進のための系統的な教育と学会発表・論文作成指導を行っています。また、京都大学医学部臨床研究教育・研修部が開催する“医療者のための臨床研究学習プログラム (CLiP)”に参加する個人への資金補助も行っています。その結果、国内外での学会発表、論文発表も増加中です。また新薬の海外同時治験も行っています。

開院当初は、地域の高度急性期医療を新たに担っていくための基盤作りに力を注いできました。まずは病院を地域の皆さんに認知していただくこと、病院の持つ機能の確立が重要でした。開院から3年後の2018年に、2代目の院長に就任したときは、より専門的で充実した医療を提供する体制を付加していくタイミングだったと思います。併せて、患者さんの心に寄り添った温かな接遇にも一層の注意をはらってきました。そのなかで、特に力を入れているのがマネジメントとサービスの向上です。さらに、職員に対しても、“働きたい職場”、“働きやすい職場”へのマネジメントを怠ることなく、働き方改革を適切に進めていきます。

スタッフ全員が当事者意識を高め、あらゆる問題に関して病院視点で考えることが、より充実した診療につながると思います。スタッフが気軽に話し合いができる場面を拡充し、スタッフ全員で病院全体のことを考えていく気質を作っていくための仕掛けを、日々模索しています。組織を横断した責任者が集うトップマネジメント会議の定期的かつ頻繁な開催、要望書・改善提案書による意見の集約、それらのプロセスの共有化・見える化などを通じてブラッシュアップを繰り返し、地域の皆さんにより信頼される病院を目指します。

外来待合ロビー

外来待合ロビー

当院では初期臨床研修医を受け入れ、今後の医療界を担っていく若手医師の教育にも力を入れています。救急医療の研修ではER型救命救急センターで、1次救急から3次救急まで、さまざまな病態の患者さんへの対処を学ぶ機会が提供され、高度救急医療の研修が可能です。さらに、がんセンター、循環器センター、呼吸器センター、消化器センター、神経・脳卒中センターなど多くの横断的診療ユニットを整備し、充実した高度専門医療の研修が可能です。

当院は2015年に開院した、まだまだ若い病院です。今後の医療を担っていく若い皆さんと、兵庫県立尼崎総合医療センターを形作っていきたいと思っています。教育熱心な先輩医師も多く、教育や研修体制は充実していると思います。ぜひ、当院を形作っていく気概を持って研修に臨んでください。

当院は地域の皆さんによい医療の提供、そして介護にもつなげられるような医療の提供を目指しています。病院全体の質を高めていき、地域の皆さんの期待に応えられるようにスタッフ一同尽力してまいります。

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