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痔瘻の原因と治療方法

痔瘻の原因と治療方法
メディカルノート編集部 [医師監修]

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一言でと言っても、痔の種類によって対処法や通院頻度が異なります。下痢などをきっかけにして、肛門の周囲にがたまることで発症する痔瘻(じろう)は、できるだけ早めに手術したほうがよいといわれています。

本記事では痔瘻の治療法について解説します。

痔瘻を発症する主な原因は、下痢などがきっかけで、お尻の周りに存在するくぼみに便が入ってしまうことです。くぼみに入った便から細菌感染を起こして、肛門腺という部分に(うみ)がたまると、痔瘻を発症します。やわらかい便はくぼみに入りやすいことから、下痢をしやすい方は、痔瘻を発症しやすいです。たとえば、辛い物、冷たい物、脂っこい物などの食べすぎや、お酒の飲みすぎなどによって下痢の症状を起こすことが多いと、痔瘻を発症する確率が高くなります。

肛門の周囲にがたまると、お尻が腫れて強い痛みを感じます。また、発熱することもあります。たまった膿は、お尻の外に向かって進んでいき、瘻管をつくります。お尻の中と外が瘻管でつながった痔瘻の状態になると、膿は外へと排泄されます。

痔瘻を発症すると、お尻の外ではなく体の奥のほうに向かって瘻管ができることもあります。その場合、お尻の外へ膿が排泄されず深部にたまっていく「深部痔瘻」となることがあります。

また、痔瘻を治療せずに放置し、常に炎症が起こっている状態が続くと、痔瘻がんに発展する患者さんもいます。がん化する可能性を考えて、痔瘻は手術を行ったほうがよいと考えられます。

肛門周囲膿瘍と症状が似ている病気に、いぼのひとつである「外痔核」があります。外痔核は、主にお尻に力がかかることによって、お尻の表面に血のかたまりやむくみが生じ、皮膚が腫れる病気です。外痔核の症状は一時的なものであり、基本的に手術する必要はありません。しかし、外痔核と思っていた症状の原因が痔瘻だった場合は、放置していると増悪することがあり、できるだけ早く診察を受けることが望ましいです。過去に外痔核の診断を受けたことのある患者さんは、お尻の腫れや痛みが現れると「また外痔核だから放っておこう」と思うかもしれません。しかし、肛門周囲膿瘍である可能性も考えて、一度診断を受けていても、気になる症状があるときは、その都度、受診していただくとよいでしょう。

痔瘻は、お尻の皮膚と腸の境目にあるくぼみに便が入り込み、細菌感染を起こして、(うみ)がたまる感染症です。肛門の周囲に膿がたまった状態を肛門周囲膿瘍、たまった膿を排出するための瘻管(ろうかん)がお尻の中につくられた状態を痔瘻といいます。痔瘻は一度発生したら自然に治ることは期待できないため、根本的な治療のために手術が必要です。

また、病気が進行すると、瘻管が体内の深いところにつくられたり、瘻管の形が複雑になったりして、治療が難しくなる可能性があります。深部痔瘻は、体内の浅いところに発生した痔瘻に比べて手術で切除すべき部分が大きくなるため、お尻への負担が増えて、治るまでに時間がかかることがあります。

痔瘻は、お尻の腫れや痛みなどの自覚症状が出ないこともありますが、痔瘻を発見したら、できるだけ症状が悪化しないうちに手術を受けるほうがよいでしょう。

膿がたまっている場合は、切開して膿を出す処置「肛門周囲膿瘍切開術」を行い、炎症を落ち着かせます。お尻の痛みや腫れが楽になるため、処置を行ったあとは帰宅や出勤ができる患者さんもいらっしゃいます。痛みや腫れが強い場合は、後述する「痔瘻根治術」と同じ腰椎麻酔を利用した、痛みの少ない処置にも対応しています。

処置を行ったあとは、通院して炎症の経過をみます。瘻管が深いところに形成されている痔瘻の場合は、たまっている膿を排泄するため、受診日にそのまま入院が必要となることもあります。お尻の症状が負担にならなければ、仕事やスポーツをすることに特に制限はありません。ただし、腫れが引くまではお風呂につからずシャワーにするなど、炎症を悪化させないように注意が必要です。炎症が治まったら、痔瘻の手術を行います。

痔瘻を発症したら、基本的には、根本的な治療法である痔瘻根治術を行います。痔瘻根治術には複数の種類があり、病院ごとに実施している方法や方針は異なります。痔瘻のできた場所や条件、お尻の状態などを考えて治療法を選択します。

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