医療法人徳洲会 野崎徳洲会病院(以下、野崎徳洲会病院)は、大阪府大東市における救急医療の病院として診療にあたっています。がん治療にも力を入れており、良性、悪性問わず、さまざまなタイプのがん患者さんの受け入れから治療まで一貫した診療を行っています。
また、同院では、安全な医療を提供すべくピアレビューを実施したり、徳洲会グループ附属の施設として野崎徳洲会附属研究所を開設したりするなど、医療の質が向上するように独自の活動も積極的に行っています。
野崎徳洲会病院の診療体制や医療安全に対する取り組み、さらにはスタッフへ向けたサポート体制などについて、院長である中川 秀光先生にお話を伺いました。
当院は、1975年に徳洲会グループの病院の中で2番目の病院として設立されました。2006年に、現在の大東市に新しく病院を設立し、旧病院が担っていた役割が新病院へ移されました。2013年には、19床の病床を持っていた旧病院の後進である野崎クリニックから、当院に全ての病床が移され、現在の形になりました。
当院では、徳洲会グループの“生命だけは平等だ”という理念に基づいて、“生命を安心して預けられる病院”、そして“健康と生活を守る病院”となるよう尽力しています。
当院の主な役割は、所属する北河内医療圏の救急医療を担うことです。なかでも、所在地である大東市における救急医療の病院として機能することであると思っています。また、二次救急指定病院にも認可されているため、地域の方々の緊急時にいち早く対応できる体制を備えています。
救急科では、“全例応需をめざして”をモットーに掲げ、来院された患者さんや緊急搬送された患者さんに対して、断らずに対応できるよう努めています。
当院には、さまざまな病気や事故の患者さんが来院されますが、なかでも脳神経外科と心臓血管外科分野の患者さんの受け入れに注力しています。より万全な体制で受け入れを行うことができるように、当院では脳神経センターと心臓センターを設置しています。
脳神経センターでは、脳卒中部門、腫瘍(オンコロジー)部門、脊髄・脊椎部門、機能的疾患部門、脳神経血管内治療の五つの部門を設け、それぞれの部門に特化した病気の患者さんを24時間体制で受け入れています。さらに、治療後の早期リハビリテーションにも力を入れており、患者さんがよりスムーズに社会復帰できるよう努めています。また、心臓センターでは、狭心症や心筋梗塞、大動脈弁狭窄症などの病気に対応しており、24時間体制でカテーテル治療や冠動脈バイパス術などが行える体制を整えています。
当院では、患者さんに適した検査や治療を選択することにより、患者さんに負担の少ない治療を心がけています。
がん治療の分野においては、徳洲会グループ全体としても注力しており、当院でも積極的に治療を行っています。
脳神経センターの腫瘍(オンコロジー)部門では、良性脳腫瘍から悪性脳腫瘍まで、幅広く対応しています。特に、悪性神経膠腫や悪性リンパ腫に対しての治療には特別力を入れており、手術後の治療についても、放射線治療や化学療法などの補助的治療から患者さんに適した治療を心がけています。
また、前立腺がんに特化した治療を提供すべく、前立腺センターを開設しました。近年、増加しているといわれる前立腺がんに対して、可能な限り負担の少ない治療を提供したいとの思いから、放射線治療を行うための医療機器(IMRT)やダヴィンチを導入しています。
当院では、基本方針のひとつに“医療安全・医療の質の向上への取り組み”を掲げています。その具体的な取り組みのひとつが、2017年に徳洲会グループ全体でスタートしたピアレビューといわれるものです。
ピアレビューとは、“同じ専門家による評価システム”のことで、自身が専門とする領域の実践された医療に対して、果たして妥当な医療であったのかどうかを客観的に評価する仕組みのことです。欧米ではすでに行われていますが、日本の評価基準に沿ったピアレビューのシステムを作りたいと考え、アメリカにある大学や部下の留学先に話を聞きに行き、それを参考に作成したものを使用しています。
主に、脳神経外科や泌尿器科など9つの診療科で取り組んでおり、手術時間や合併症の有無、入退院時のADLの差など、合計7項目についての評価項目を設けています。それぞれの項目をポイント化し、合計点で評価を行います。ポイントのみで評価を行うのではなく、ピアレビューを行うことで病院内にある課題を見つけ出し、改善することが目的です。
平均を大きく下回っている病院には、ピアレビュー実行委員会が訪問し、課題を見つけたうえで病院に適したアドバイスをします。このように、当院のみならず、徳洲会グループ全体で、医療の質を高めるために奮闘しています。
私は、医療の安全が担保されていなければ、患者さんから選ばれる病院にはなれないと思っています。そのため、当院では医療における安全というものに対して、より積極的に取り組んでいきたいと思います。たとえば、患者さんが亡くなったとしたら、原因は病気なのか医療行為なのかなどを徹底的に調べ、問題があれば病院の中で改善を行います。患者さんに対しても、誠実に全てお話させていただき、より当院を理解していただけるよう努めています。このように風通しのよい雰囲気を大切にすることが、安全につながり、さらには病院の質の向上にも役立つと考えています。
2016年、基礎研究を行うための施設として、野崎徳洲会病院附属研究所を敷地内に開設しました。
私は長年、診療をしながら研究を行っており、医師にとっての研究の重要性を感じていました。さらに言えば、医療自体は基礎研究なくして、発展しないと考えています。この経験から、診療と研究を両立できる環境を作りたいと思い、研究所の開設に至りました。
当研究所には研究員もおりますが、医師も働きながら研究を行うことが可能です。そのため、“日々の診療で疑問に思ったことを追求する”というリサーチマインドを育める環境が整っていると同時に、疑問に思ったことを自身で研究し解決することで学びを得ることもできます。
また、定期的に研究発表を行い、研究の成果を披露しています。それだけでなく、海外でも活躍できる医師に育ってほしいという思いから、希望する方には海外で研究を行うことができる機会も提供しています。このように、当院には診療だけでなく研究にも注力したいという医師をバックアップできる体制が整っています。
当院では、年に一度、院内スタッフの皆さんに向けた病院旅行を開催しています。行き先は海外が中心で、香港やマレーシアなど、毎年変わります。国内を希望するスタッフもいるため、国内の行き先も準備しています。
病院旅行は、レクリエーションだけでなく、職種や年齢を超えた交流が目的です。職種の枠を超えて接することで親交が深まり、仕事に戻ったときにチームワークを発揮しやすくなるというメリットがあります。また、このような取り組みを通して、スタッフの皆さんに楽しんでいただくことで、前向きに働くきっかけになれば嬉しいと思っています。
徳洲会グループならびに当院で掲げているモットーは、“生命を安心して預けられる病院”と“健康と生活を守る病院”です。この理念に基づき、当院は医療安全と医療の質の向上を目指し、患者さん中心の医療を遂行しています。
このような取り組みは地道で、患者さんからは見えにくいものではありますが、安心して受診していただくために必要不可欠なことだと思います。そのため、これからも徳洲会グループの“生命だけは平等だ”という理念に基づいて、患者さんの安全と医療の質の向上に向かって努力していきます。
野崎徳洲会病院 総長
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。