院長インタビュー

急性期医療と緩和ケアの提供で地域住民の皆さんに貢献する東海中央病院

急性期医療と緩和ケアの提供で地域住民の皆さんに貢献する東海中央病院
松井 春雄 先生

公立学校共済組合東海中央病院 循環器内科 病院長

松井 春雄 先生

目次
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岐阜県各務原市にある公立学校共済組合 東海中央病院(以下、東海中央病院)は、1955年に公立学校の教員やその家族のための職域病院として設立されました。現在は、地域住民の皆さんにも広く門戸を開き、地域社会を支える総合病院としての役割を果たしています。

今回は、救急車の受け入れや、地域の開業医に向けたセミナー開催などをはじめ、多方面で地域に貢献している東海中央病院の病院長である松井 春雄(まつい はるお)先生にお話を伺いました。

東海中央病院 外観
東海中央病院 外観

当院では、一次救急から二次救急までの患者さんを可能な限りお断りすることなく受け入れ、地域住民の皆さんとの信頼関係の構築に励んでいます。救急当直、管理当直の医師、研修医、さらに放射線技師と検査技師も宿日直を担当しているため、休日や夜間であってもすぐに検査と診療が可能な体制を整えています。

胸部外科手術が必要と考えられる重篤な病気や多発外傷などの三次救急相当の患者さんについては、三次救急医療機関と連携を取り、適切な対応の後にご紹介しています。

肺や気管支など、呼吸器の病気を診療する呼吸器内科には、特に感染症の患者さんが多くいらっしゃいます。なかでも、地域の医療ニーズに応えるために高齢者の肺炎診療に尽力しています。

日本呼吸器学会が発行する診療ガイドラインをもとに、患者さん一人ひとりに合わせた治療を実践しています。

消化器外科では、おへそに2~3cm程度の穴を1つ開け、そこから手術器具を入れて行う単孔(たんこう)式腹腔鏡手術の実施に積極的に取り組んでいます。

従来の腹腔鏡手術でも、おなかを切開して行う開腹手術と比べて患者さんの負担を減らすことができます。しかし単孔式腹腔鏡手術は、その腹腔鏡手術よりも傷が小さくて済むため、さらに負担を軽減することが期待できます。

当院では、胆嚢、小腸、大腸、虫垂、ヘルニアに対して単孔式腹腔鏡手術を行っています。全ての症例で適応となるわけではありませんが、患者さんとよく話し合いながら適切な治療法を選択していきます。

当院の整形外科では通常の診療に加え、人工関節置換術に重点を置いています。

膝関節や股関節は、加齢とともにすり減り、変形してしまうことがあります。痛みがひどく、歩く際にも支障が生じたり、薬など手術以外の治療法で思うような効果が得られなかったりした場合、人工関節置換術を行うことで症状を改善できる可能性があります。

当院では、関節治療センターを構えて、週に4件のペースで手術を行っています(2021年7月時点)。患者さんを長くお待たせすることなく、できるだけ早期の治療を行えるように努力しています。

緩和ケア病棟 外観
緩和ケア病棟 外観

当院では急性期のがん治療に加え、その後の、患者さんの痛みや苦しみの緩和までしっかりとケアを続けることを大切にしています。そこで2011年1月に緩和ケアセンターを、同年12月に緩和ケア病棟を開設いたしました。

がんは、多くは一定期間を経て悪化し、終末期を迎えて亡くなられます。終末期の患者さんの体や精神、そして社会的なつらさを和らげるのが緩和ケアの役割です。当院では、多種職で連携したチーム医療を実践し、患者さんご本人の症状コントロールだけでなく、ご家族や周囲の方のことも最後まで支えていけるようなケアを心がけています。

これまでも、たくさんの地域の方々に利用していただき、2021年7月には緩和ケア病棟が15床増床となりました。今まで以上によりシームレスな地域連携が可能となります。本人・家族・社会の関係を支えていく医療として、その人らしく最期まで住み慣れた地域で生活していくことを支える医療として、院内外における緩和ケアの普及、啓蒙活動にも尽力しています。

緩和ケア病棟 病室
緩和ケア病棟 病室
緩和ケア病棟 食堂
緩和ケア病棟 食堂
緩和ケア病棟 テラス
緩和ケア病棟 テラス

当院では地域の開業医の先生方に集まっていただいて、多様な分野の講演会を行っています。各科目の医師が講師を務め、大講堂でお話をさせていただいています。

さらに、地域住民の皆さんからの要請に応じて、医療スタッフを講師として派遣し出前講座も実施しています。検診やがん生活習慣病予防、感染症対策などさまざまなテーマで、各分野を専門とする看護師や検査技師などが講演を行います。

当院は岐阜県の地域医療支援病院として、今後も地域にお住まいの皆さんや医療従事者の皆さんと顔の見える連携を行ってまいります。  

当院では、効率的に働き、十分な休暇を取る働き方を推奨しています。

日本社会はまだまだ、夜遅くまで長時間働くことをよしとする傾向にあると思います。ですから、私自身ができる限りきちんと休みを取ることで、働き方改革を推進していこうと考えています。また、研修医が入職した際には、まず全員と相談し、「1年間の計画を立てて、夏と冬にできれば1週間ずつまとめてゆっくり休めるよう相談し、調整をしてください」と話しています。なかなか、その通りに進めるのは難しいのが現実ではありますが、まずは目標として掲げることが大切だと考えています。

さらに、職員のモチベーションの維持、向上のためにも、若くても優秀な方にはどんどん役職を与えています。実際に当院では、40歳代の医師が副院長や医務局長として活躍しています(2021年7月時点)。

ナースステーションの様子
ナースステーションの様子

看護師に対しても、必要以上の残業をせずに、勤務時間内に申し送りまで終わらせましょう、という話をしています。また、看護師以外でも行うことができる仕事は適切な職種のスタッフに任せる、そうした体制を夜勤にも導入するなど、適切な分業のための工夫も行っています。

当院は『救急車を断らない』ことをモットーに、地域に根差した総合病院として皆さんに貢献できるよう全力で取り組んでおります。

これからも、新型コロナウイルス感染症の蔓延の状況や少子高齢化などの社会の変化に柔軟に対応し、病院の機能を充実させる努力をいたしまして、よりいっそう皆さんのお役に立てるよう職員一同力を合わせてまいります。

健康に関してご不安なことがありましたら、いつでもご相談いただければ幸いです。

現在の医療はチーム医療で、医師はそのリーダーです。ほかの職種から認められなければリーダーとしての役割が果たせなくなります。医師だけでなく、多職種との横のつながりも持つようにすることをおすすめします。また、基本的な挨拶、目上の人への対応、患者さんへの接し方など、社会人として必要なマナーを若いうちからしっかりと身に付けておくことが大切です。

最近は皆さん専門医志向が強く、その結果専門に関しては強くてもほかの疾患を診られない医師が多いと感じます。スペシャリストである前にジェネラリストとして必要な初期治療ができる医師を目指してほしいと思います。

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  • 公立学校共済組合東海中央病院 循環器内科 病院長

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