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多汗症の治療薬の種類や特徴とは? ~保険適用の有無や薬の特料、セルフケアの疑問について解説~

多汗症の治療薬の種類や特徴とは? ~保険適用の有無や薬の特料、セルフケアの疑問について解説~
山本 英博 先生

山本英博クリニック 院長

山本 英博 先生

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多汗症とは体温調節に必要な量以上の汗をかいてしまうことによって、日常生活に支障が出てしまう病気です。汗をかく部位によって、全身に大量の汗をかく“全身性多汗症”と、手のひらや足の裏、(わき)、顔面・頭部など、部分的に大量の汗をかく“局所性多汗症”に分けられます。また、原因によっては何らかの病気が原因で発症する“続発性多汗症”と原因が分からない“原発性多汗症”に分けられます。多汗症の治療は原因や部位などによって異なりますが、主に塗り薬、注射薬、飲み薬などの治療薬や手術が検討されます。

本記事では多汗症の治療薬を中心に、市販薬の効果や予防方法などについて解説します。

多汗症は汗をかく部位、発症の原因、症状の重さによって治療法が異なります。基本的に続発性の多汗症の場合、まず原因となる病気を見つけ、その治療が行われることが一般的です。一方、原発性の多汗症の場合は塗り薬などの治療薬が検討されることがあります。

ただし、多汗症の治療薬には保険適用のものとそうでないものがあるため、治療を受ける際は担当医師の説明をよく聞き、治療の特徴や注意点、費用などについても理解することが大切です。以下では、多汗症で使用されることがある主な治療薬についてご紹介します。

原発性局所多汗症で第一に検討される治療薬で、塩化アルミニウム液を患部に塗ることによって症状の緩和が期待できます。また重症の患者では、ただ塩化アルミニウム液を塗るだけでなく、その上からゴム手袋やラップで密着させる“密封療法”が検討されることもあります。

塩化アルミニウム液は、2022年現在保険適用の外用薬ではなく、多くは国内で製造販売されていません。しかし、治療を行う上で必要な薬であるため、保険適用外ではありますが院内で調合して作る“院内製剤”で処方されることが一般的です。

原発性局所多汗症では抗コリン薬が処方されることもあります。保険適用のある内用薬としては“臭化プロバンテリン”が挙げられますが、効果にばらつきがあるほか、緑内障の方には使用できないという注意点があります。

また、腋の多汗症(腋窩多汗症)(えきかたかんしょう)に対しては、2021年11月に保険適用のある抗コリン薬の外用薬も登場しています。

医療機関では原発性局所多汗症に対して薬物治療以外に、イオントフォレーシスやA型ボツリヌス菌毒素の局所注射療法、手術治療などが検討されることがあります。以下では、それぞれの治療法について簡単にご紹介します。

・イオントフォレーシス(保険適用)……患部を水の入った容器に浸し、電流を流す治療法です。

・A型ボツリヌス菌毒素の注射(脇のみ保険適用)……患部にボツリヌス菌毒素を注射する治療法です。腋以外の部位では保険適用外です。

・手術治療(保険適用)……胸腔鏡を使って胸部の交感神経節を切除する手術法(胸腔鏡下胸部交感神経節切除術)です。重症の原発性局所多汗症の方に検討されます。

前述のとおり、多汗症は汗をかく部位、発症の原因、症状の重さによって治療が異なるため、自力で治せるとはいえません。特に、何らかの病気やけがが原因で発症する“続発性多汗症”の場合、まずは原因となる病気を見つけ、その治療を行う必要があるため、自力で治すのは困難といえるでしょう。

また、原発性の多汗症の場合でも症状の重さによって治療法が異なるため、多汗症が疑われる場合は、隠れた病気を見つけるためにもまず医療機関の受診を検討しましょう。

多汗症の改善が期待できる市販薬としては、漢方薬の“防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)”が挙げられます。

防已黄耆湯とは、胃腸のはたらきを高め、余分な水分の排出を促すことによって全身の機能を高めることが期待できる漢方薬です。水太りやむくみの改善に役立つほか、多汗症の改善も期待できます。

多汗症にはさまざまな原因があり、全てが解明されているわけではありません。ただし、生活習慣の乱れによって生じる可能性もあるため、予防のために生活習慣を見直してみてもよいでしょう。

具体的には、交感神経が優位な状態が続くと発汗しやすいことが分かっています。そのため、辛いものやカフェインの入ったものなど交感神経を優位にする飲食物を控え、お酒を飲みすぎないことや、たばこを吸わないことを意識するとよいでしょう。また、十分な睡眠を取るなど体を休めることも大切です。

多汗症では病気の種類や発症部位、症状の重さに応じて、さまざまな治療方法が検討されます。中には思わぬ病気が原因で発症している場合もあるため、気になる症状があれば医療機関の受診を検討しましょう。

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