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顎へのA型ボツリヌス毒素製剤の投与 効果や持続時間とは?~注入する場所や注入量のプランニングが重要~

顎へのA型ボツリヌス毒素製剤の投与 効果や持続時間とは?~注入する場所や注入量のプランニングが重要~
宮田 成章 先生

みやた形成外科・皮ふクリニック 形成外科・皮膚科 院長

宮田 成章 先生

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もともと眼瞼痙攣(がんけんけいれん)の治療に用いられていたA型ボツリヌス菌の毒素製剤は、2020年8月現在では表情のしわやたるみの改善、小顔、発汗抑制などに対して効果が期待できるとされ、美容目的の治療によく用いられています。表情のしわを改善する目的では、オトガイ(顎)の梅干しじわ、眉間、目尻、おでこ、鼻根部(鼻の根元)、下まぶたのちりめんじわなどに対して行われます。中でも本記事では、顎のしわに対するA型ボツリヌス毒素製剤投与の効果、持続期間、副作用、費用などについて詳しく解説します。         

顎のしわは表情筋によってできており、A型ボツリヌス毒素製剤を投与することで神経筋伝達物質が阻害されて筋肉が緩み、表情筋の動きが軽減するためしわの改善につながります。

治療において重要なポイントは、注入する場所や注入量のプランニングです。この2つは、改善したいしわの深さ、表情筋の強さ、顎の表情筋がA型ボツリヌス毒素製剤の作用で緩んだときにどれだけ皮膚が余るかによって個人差が出るためです。基本的にはマーキング(注入する位置に印を付けること)の場所は決まっていますが、本人にしわが現れる表情をしてもらい、特に深いしわがある場合は、その原因となる筋肉を考慮して注入位置を決めていきます。

また、A型ボツリヌス毒素製剤が作用するのは神経と筋肉の結合部であるため、皮下の筋肉内に注入する必要があります。

効果が持続する期間は個人差がありますが、だいたい3~4か月程度といわれ、長くても半年程度であることが一般的です。なお、顎に注入する量は個々で異なります。また、長期間にわたって使用した場合、治療回数が増えれば増えるほど、治療間隔の期間が伸びる傾向にある(≒持続期間が長くなる)ことも分かっています。

ボツリヌス菌は食中毒の原因になる毒ですが、治療目的のものはごく少量しか使用しません。さらに、局所への投与であるため、安全性にも十分に配慮された治療といえます。一方で、注入箇所の不快感、赤み、内出血、頭痛などの副作用が起こることもありますが、一般的にこれらの症状は軽いことが多く、一時的なものだといわれています。

また、1回あたりの投与量が多い、投与回数が多い、投与間隔が短い、累積投与量が多いなどの原因で、効果を中和してしまう抗体ができることがあります。しかし、その発生率は0.49%程度とされています。

美容目的である顎のA型ボツリヌス毒素製剤の注射は健康保険の適用外となるため、基本的には全額自己負担となります。一般的な費用は、初診料または再診料にプラスして、1部位〜2部位30,000円程度〜が相場となります。注入量が増えれば費用も上がります。

顎などに対するA型ボツリヌス毒素製剤の投与は、表情筋の動きを軽減させ、しわを改善するというものです。注入量によって効果の持続期間や費用が異なり、副作用の可能性もゼロではないため、治療の際は医師とよく相談することが大切です。

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