福井県坂井市にある医療法人社団茜会 藤田神経内科病院(以下、藤田神経内科病院)は、日本における神経内科分野の黎明期に誕生しました。現在では神経疾患に関連する内科やリハビリテーション科などを備え、神経内科病院でありながらも地域のかかりつけ病院として総合的な診療も行う同院の特徴や思いについて、院長である藤田 祐之先生にお話を伺いました。
日本神経学会によれば、日本において“神経内科”が医療法上の標榜診療科として認められたのは1975年のことです。ほどなく1982年11月、当院は神経内科を専門とする病院として誕生しました。「地域の皆さんの健康を守るかかりつけ病院となるためには、ジェネラル(総合的)な診療を行う必要がある」との思いから、その後の変遷のなかで神経内科のみならず、全身を総合的に診療できる内科、神経疾患の長期的な治療に欠かせないリハビリテーション科の機能を備えました。さらに現在は訪問診療や訪問看護も実施しており、在宅で医学的管理やケアなどの看護サービスを受けていただくことも可能です。
当院は“患者さんの気持ちに寄り添える診療”を目指し、たとえ診療に時間がかかったとしても、患者さんからの相談や質問には可能なかぎり丁寧にお答えするよう心がけています。そして、小規模病院だからこそ小回りの利きを生かして診察や検査の結果、治療方針などについてもできるだけ早急にお伝えし、迅速に治療に着手できるよう努めてきました。
体の不調などの自覚症状があるにもかかわらず、詳しい診察を受けられずに「特に異常はない」と説明され、不安を抱えて当院へ相談に来られる方もいらっしゃいます。我々は患者さんのそうした不安をしっかりと受け止め、先入観を持つことなく「本当に“異常”はないのかどうか、丁寧に診察しよう」というスタンスでしっかり診療にあたりますので、どうぞ安心してお越しください。
神経内科では脳卒中やパーキンソン病、認知症、筋ジストロフィー、脊髄小脳変性症、運動ニューロン疾患、末梢神経障害(ニューロパチー)など幅広い神経系疾患の診療を行っています。神経疾患は一生を通じた長い付き合いとなるケースもあるため、グループ内の関連施設と連携し、可能なかぎり初診から最期まで責任を持って患者さんを診療できるよう心がけてきました。
当科の患者さんとしては特に認知症患者さんの割合が多く、認知症に関連したご相談の中には“認知症を発症後も免許返納をせず、家族が困っている”という例もあります。当院ではそうしたご家族のお悩みなどを聞いたうえで検査や診断を行い、患者さん本人への説得やご家族へのアドバイスも積極的に行っています。
そのほかにも近年では片頭痛を抱える若年層の患者さんやパーキンソン病の患者さんも増加傾向にあります。片頭痛の患者さんに対しては、2021年に保険適用となった抗CGRP製剤(片頭痛発作の発症を抑制する薬)の皮下注射を定期的に行っています。片頭痛の有病率は10%ほどともいわれ、QOL(生活の質)にも深く関わることから、このような新たな治療薬が使えるようになったことは患者さんの大きな希望になるでしょう。またパーキンソン病の治療においては、従来のドパミン補充薬のウェアリングオフ(薬の効果が弱まり、作用時間が短くなる現象)を改善できる薬としてMAO-B阻害薬、COMT阻害薬、アデノシンA2A受容体拮抗薬など新たに使用できる薬が登場しており、研究や治療が進歩しています。当院でも、脳深部刺激療法などの外科的治療を含めて常によりよい治療法を模索し、新たな治療法を積極的に取り入れています。
近年、福井県坂井市では高齢化が急速に進んでいます。その影響もあるのか、当院の患者さんの中でも複数の病気を抱える高齢の方の割合が増えてきました。そのような地域の方々のニーズに応えるため、当院は内科において総合的な内科系の病気全般を診療しています。神経内科と外来リハビリは原則予約制ですが、内科は予約なしで受診いただけますので、体の不調や異変などを感じた際はお気軽にご相談ください。
神経疾患は、治療して終わりではなくその後の長期的な治療やリハビリが必要になるケースも多々あります。そのため当院ではリハビリテーション科を設置し、治療後、早期にリハビリが始められるよう対応してきました。
リハビリテーション科の外来リハビリでは、待ち時間をできるだけ短くするために予約制を導入しています。外来リハビリでは定期的な評価・検査を行い、患者さんの状態に応じて計画的なリハビリを実施します。また入院患者さんに対しては、患者さんがなるべく早く自宅に戻って生活できるようになることを目標とし、必要に応じて朝7時の早朝リハビリや、理学療法士や作業療法士が入浴の指導(リハビリ入浴)などを行います。またリハビリ実施にとどまらず、自宅でも患者さんが適切にリハビリを続けられるように、さらに介護負担の軽減を目的としてご本人やご家族へのアドバイスも行っています。
当院は医療法人社団茜会グループの医療施設ですが、茜会には介護老人保健施設やグループホーム、有料老人ホームなどもあります。“医療介護のちからで明るく安心して生涯暮らせる社会を”を理念とする茜会グループの連携体制を生かし、特に長期にわたる治療が必要な患者さんに対してはご本人やご家族の環境、ニーズなどを考慮したうえで、当院だけでなく関連施設も利用するなどの選択肢を提供することも少なくありません。
グループ全体の連携を強固に保つには、当院のスタッフだけでなく関連施設で働く職員との相互理解も必要不可欠です。そのため業務改善を目的として一人ひとりとマンツーマンで話す機会をもうけるなど、コミュニケーションの活性化に努めています。私自身、当院スタッフや関連施設の職員に助けられていると感謝する場面も多く、グループ全体の雰囲気はよい方向に向かっていると実感しています。より強固なチームワークとよりよい雰囲気で患者さんや利用者さんにも安心していただける、“真に地域の医療福祉を支えられる存在”となれることをこれからも目指します。
当院の開業から4年後に茜会を設立でき、さらに老人保健施設やグループホーム、有料老人ホームなどの関連施設を運営できるようになったのも、地域の皆さんの多大なご理解とご協力の賜物です。開業以来、2世代3世代にわたって当院を頼ってくださる患者さんがいらっしゃることも、大きな励みとなっています。この場をお借りして、お礼と感謝を申し上げます。今後も、ちょっとした不調をはじめ、どんなことでも気軽に相談できる身近なかかりつけとして、地域の皆さんに寄り添える存在であり続けるという気持ちを忘れずに、日々の業務と病院の運営に励んでまいります。
藤田神経内科病院 院長
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。