院長インタビュー

地域の患者さんを中心に働く人々の健康を守り、支える……千葉ろうさい病院

地域の患者さんを中心に働く人々の健康を守り、支える……千葉ろうさい病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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千葉県市原市にある千葉ろうさい病院は、労働災害の向上を図る病院として1965年に開設されました。開院から半世紀以上にわたって地域医療の中心的な役割を担い、現在は広く地域住民の急性期医療や救急医療をはじめとした幅広い診療に対応しています。

そんな同院が担う役割や今後の展望について、院長である岡本 美孝(おかもと よしたか)先生にお話を伺いました。

当院は日本が高度経済成長期にあった1965年に、京葉工業地帯で働く人々のための病院として設立されました。当初より労働者の診療に注力する一方、市原市を中心にした近隣エリアの患者さんに向けた医療もご提供してきました。10の診療科と300病床でスタートして以降60年近くにわたり診療体制の充実に努め、23の診療科と400病床を備えた総合病院へと成長いたしました。

当院は千葉県内に9つある保健医療圏のうち、市原医療圏における中心的な役割を担っています。地域で唯一の地域がん診療連携拠点病院、災害拠点病院、認知症疾患医療センターなどさまざまな機能を有し、地域医療支援病院として地域のクリニックとの連携体制も密にしています。

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病院外観

当院は2016年に認知症疾患医療センターを設置し、認知症の鑑別診断、急性期治療、患者さんやご家族からの医療相談などに対応しています。2023年12月より保険適用となった認知症治療薬・レカネマブによる治療も行っており、地域包括支援センターなどと連携して患者さんやご家族をサポートしています。

がん診療などの急性期医療を担う一方で、がん患者さんが抱える心身の苦痛を和らげることも私たちの大切な役割です。2022年に完成した緩和ケア病棟(33床)では文字どおり、患者さんの痛みや苦しみを緩和する治療(薬物療法や緩和的放射線照射など)を実施するほか、多職種が連携して患者さんの精神的なケアや社会的支援を行っています。

当院がある市原市周辺地域には“医療過疎”といわれる地域もあります。そのため当院は近隣エリアからも積極的に救急車を受け入れており、病院の規模に対して多くの患者さんに対応していることが特徴です。2023年には、ドクターカーの運行も開始しました。

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ドクターカー
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DMATカー

近年の高齢化に伴い、救急患者さんについてもご高齢の方の割合が高くなっている印象があります。救急車の受け入台数は年々増加する傾向にあり、2023年は毎月約500台、1年間で約6,100台の救急車を受け入れ、このうち半数程の患者さんが当院に入院されています。

かつての地域医療は、1つの施設の中で急性期から回復期まで対応する“病院完結型”が主流でした。これに対して医療の機能分化が進む現在は病院ごとに担うべき役割が異なり、当院は主に急性期医療を担当しています。このため当院は地域の病院などと連携し、急性期から回復期まで切れ目なくサポートする“地域完結型”の医療提供体制の構築を目指しています。

地域がん診療連携拠点病院としての役割を担う当院では、外科手術、化学療法、放射線治療などに幅広く対応しています。泌尿器科ではかねてより患者さんの体への負担が少ない腹腔鏡下手術を実施しておりましたが、2020年に新たに手術支援ロボット・ダヴィンチを導入し、より安全性の高い治療の提供を目指しています。泌尿器科領域の前立腺がん手術からスタートしたロボット手術は現在、消化器がん肺がん治療にも適応範囲が広がっています。

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手術支援ロボット・ダヴィンチ

低侵襲(ていしんしゅう)なロボット手術をご提供できることに加えて、当院の最大の強みはさまざまな診療科がそろう“総合病院”である点です。がんのほかに心臓の病気や脳の病気をお持ちの患者さんについても、各領域を専門にする医師が連携することで適切な治療をご提案できます。今後も医療設備や人員強化に努めながら、より充実した医療をご提供したいと考えています。

当院は全国に32施設を展開する労災病院グループの一員として、がんなどの病気を抱えながらお仕事を続けられる患者さんをサポートすると同時に、外来診療や各種健康診断などを通して地域の皆さまの健康を支えています。

当院のことを広く認知していただくため、近年は若手職員主導でホームページのリニューアルや広報誌づくりなどの広報活動を積極的に行っています。また、内科や救急医療の基幹型臨床研修病院として、将来の医療を担う人材の育成にも力を入れています。病院の建物は最寄り駅から少々離れた場所にありますが、平日はちはら台地区(ちはら台団地)には当院をつなぐ無料送迎バスが巡回しておりますので、お気軽にご利用いただければと思います。

※医師や提供している医療についての情報および、本文中の数字は全て2024年12月時点のものです。

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