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ぬーなんしょうこうぐん

ヌーナン症候群

概要

ヌーナン症候群とは、先天的な遺伝子異常を原因とし発症する症候群の一つであり、身体の各部位における正常発達が妨げられている病気を指します。症状としては、特徴的な顔貌(がんぼう)や低身長、先天性心疾患、骨格系の異常、血液系の異常、さまざまな程度の発達の遅れなど多くのものが含まれますが、すべての患者さんが同様の症状を呈するとは限りません。日本における発症率は、1万人に1人程度であると推定されており、およそ600人の患者さんが全国にいると報告されています。なお、欧米における発生率は、1,000〜2,500人に1人であると報告されており、日本のそれと異なる部分があります。また、2015年より指定難病の医療費補助の対象になりました。

原因

細胞が正常に成長・増殖をするためには、数多くの遺伝子・タンパク質が協調しながら正常にはたらく必要があります。正常な細胞の成長・増殖には「RAS-MAPKシグナル伝達経路」と呼ばれる伝達経路のはたらきが必要です。RAS-MAPKシグナル伝達経路には、多くの遺伝子・タンパク質が関与しており、ヌーナン症候群では、このRAS-MAPKシグナル伝達経路に関与する遺伝子・タンパク質に異常があることを原因として発生します。2019年現在までのところ、原因となる遺伝子異常が完全に解明されたわけではありません。約15%の患者さんでは、原因遺伝子異常が確認されず、ヌーナン症候群を発生させうる未知の遺伝子異常が存在することが想定されています。

ヌーナン症候群のうち多くは突然発症です。そのため、両親がヌーナン症候群でない場合であっても、子どもが病気を発症する可能性があります。ヌーナン症候群の家族例がある場合は、原因となる遺伝子異常が遺伝することになり、50%の確率でお子さんがヌーナン症候群を発症することになります。

症状

ヌーナン症候群は、全身各臓器に症状が出現します。

顔貌

ヌーナン症候群では、特徴的な顔貌が認められます。具体的には、両目が離れている、目が突出している、おでこが出ているなどです。顔貌の特徴は、成長と共に変化することも知られています。

心臓

先天性心疾患は、ヌーナン症候群における生命予後を規定するもののひとつであり、多くの患者さんで見られる重要なものです。代表的には、半数以上の患者さんで見られる肺動脈弁狭窄症(きょうさくしょう)です。肺動脈弁狭窄症では肺への血流が影響を受け、チアノーゼを生じることがあります。また、右心室への負担も大きくなり右心不全(息切れや胸水、腹水など)の症状を呈することもあります。次に多いのが肥大型心筋症であり、胸痛や失神、ときには突然死に至ることもあります。

骨格

低身長を呈する患者さんも多く、漏斗胸(ろうときょう)と呼ばれる胸の形をすることも多いです。そのほか、手を真っすぐに伸ばせない「外反肘」や、首が短い、脊椎(せきつい)が曲がるなどの症状を呈することもあります

血液

血液系の異常を伴うこともあり、血液が固まりにくくなることがあります。また、急性白血病を始めとした血液系腫瘍(しゅよう)疾患を見ることもあります。

発達、学習面

小児期における運動発達面は遅れることが多いです。また、知的面については問題を生じない方も多い一方、学習障害を呈することもあります。聴覚や視覚に異常を伴うこともあり、その結果学習面に影響が及ぶこともあります。

その他、臓器面の特徴

ヌーナン症候群では、そのほか皮膚(ひふ)症状、停留精巣白内障中耳炎など全身各臓器に症状が現れることがあります。

検査・診断

ヌーナン症候群の診断は、主に特徴的な全身各種臓器における症状をもとにしてなされます。また、原因遺伝子を対象とした遺伝子診断が行われることもあります。しかし、遺伝子異常が同定できないこともまれではありません。最終的な診断は臨床症状が重要になる部分もあるため、ヌーナン症候群の診療に長けた医師による診察を受けることが大切です。

そのほか、各種合併症の評価のためにさまざまな検査が行われます。具体的には、心エコーやレントゲン写真などで心臓の機能を評価することもあれば、血液検査から血液系の異常がないかを検索することもあります。また、そのほか類似する症状を呈する病気と鑑別するための検査が行われることもあります。具体的には、同じく低身長を呈するターナー症候群との鑑別を染色体検査で行います。

治療

ヌーナン症候群の治療は、症状に応じた対症療法が中心になります。生命予後を規定する心疾患については、適宜(てきぎ)フォローを行いつつ、必要に応じて内服薬や手術などの治療介入が行われます。また、白血病を始めとした血液系のがんを発症することもあり、化学療法や骨髄(こつずい)移植などが行われる可能性もあります。さらに、停留精巣に関しては不妊や精巣腫瘍(しゅよう)の発生リスクであるため、手術が施されることがあります。

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