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ヌーナン症候群
ヌーナン症候群とは、先天的な遺伝子異常を原因とし発症する症候群のひとつであり、身体の各部位における正常発達が妨げられている病気を指します。症状としては、特徴的な顔貌や低身長、先天性心疾患、骨格系...
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ヌーナン症候群ぬーなんしょうこうぐん

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

ヌーナン症候群とは、先天的な遺伝子異常を原因とし発症する症候群のひとつであり、身体の各部位における正常発達が妨げられている病気を指します。症状としては、特徴的な顔貌や低身長、先天性心疾患、骨格系の異常、血液系の異常、さまざまな程度の発達の遅れなど多くのものが含まれますが、すべての患者さんが同様の症状を呈するとは限りません。

日本における発症率は、1万人に1人程度であると推定されており、およそ600人の患者さんが全国にいると報告されています。なお、欧米における発生率は、1,000〜2,500人に1人であると報告されており、日本のそれと異なる部分があります。

原因

細胞が正常に成長・増殖をするためには、数多くの遺伝子・タンパク質が協調しながら正常にはたらく必要があります。この例のひとつとして「RAS-MAPKシグナル伝達経路」と呼ばれる情報伝達経路が人間の細胞には備わっており、この伝達経路がはたらくことで正常な細胞の成長・増殖が達成されています。

RAS-MAPKシグナル伝達経路には多くの遺伝子・タンパク質が関与しており、ヌーナン症候群においてはこのRAS-MAPKシグナル伝達経路に関与する遺伝子・タンパク質に異常があることを原因として発生します。

ヌーナン症候群に関連する遺伝子の筆頭はPTPN11遺伝子であり、ヌーナン症候群のおよそ40%で本遺伝子に異常があると考えられています。そのほか、RAS-MAPKシグナル伝達経路に関与する数多くの遺伝子異常が、ヌーナン症候群を引き起こします。

しかしながら、現在までのところ原因となりうる遺伝子異常が完全に解明されたわけではなく、約40%の患者さんでは原因遺伝子異常を指摘することは出来ません。そのため、ヌーナン症候群を発生させうる未知の遺伝子異常が存在することが想定されています。

ヌーナン症候群のうちの多くは突然発症であり、ご両親がヌーナン症候群でなくてもヌーナン症候群のお子さんが出生する可能性があります。中には、ヌーナン症候群の家族歴がある場合もありますが、この場合は原因となる遺伝子異常が遺伝することになり、50%の確率でお子さんがヌーナン症候群を発症することになります。

症状

ヌーナン症候群は、全身各臓器に症状が出現します。

顔貌

ヌーナン症候群では、特徴的な顔貌があるといわれています。具体的には、両目が離れている、目が突出している、おでこが出ているなどです。顔貌の特徴は、成長と共に変化することも知られています。

心臓

先天性心疾患は、ヌーナン症候群における生命予後を規定するもののひとつであり、かつ多くの患者さんで見られる重要なものです。代表的なものは、半数以上の患者さんで見られるとされる肺動脈弁狭窄症です。肺動脈弁狭窄症では肺への血流が影響を受けチアノーゼを生じることがありますし、また右心室への負担も大きくなり右心不全(息切れや胸水、腹水など)の症状を呈することもあります。次に多いのが肥大型心筋症であり、胸痛や失神、ときには突然死が生じることもあります。

骨格

低身長を呈する患者さんも多く、また漏斗胸と呼ばれる胸の形をすることも多いです。そのほか、手を真っすぐに伸ばせない「外反肘」と呼ばれる状態になることもあります。首が短い、脊椎が曲がる、などの症状を呈することもあります。

血液

血液系の異常をともなうこともあり、血液が固まりにくくなることがあります。また急性白血病を始めとした血液系腫瘍疾患をみることもあります。

発達、学習面

小児期における運動発達面は遅れることが多いです。また知的面については問題を生じない方も多い一方、学習障害を呈することもあります。聴覚や視覚に異常をともなうこともあり、その結果学習面に影響が及ぶこともあります。

そのほか臓器面の特徴

ヌーナン症候群ではそのほか皮膚症状、停留精巣、白内障、中耳炎など全身各臓器に症状が出現することがあります。

検査・診断

ヌーナン症候群の診断は、主に特徴的な全身各種臓器における症状をもとにしてなされます。PTPN11遺伝子を始めとして、原因遺伝子として知られている遺伝子を対象とした遺伝子診断が行われることもありますが、遺伝子異常が同定できないことも稀ではありません。

最終的な診断は臨床症状が重要になる部分もあるため、ヌーナン症候群の診療に長けた医師による診察を受けることが大切です。 そのほか、各種合併症の評価のために様々な検査が行われます。

具体的には、心エコーやレントゲン写真などで心臓の機能を評価することがありますし、血液検査から血液系の異常がないかを検索することがあります。また、そのほか類似する症状を呈する疾患との鑑別のための検査が行われることもあります。具体的には、ターナー症候群が同じく低身長を呈することを知られていますが、染色体検査で鑑別を行うことがあります。

治療

ヌーナン症候群の治療は、症状に応じた対症療法が中心になります。生命予後を規定する心疾患については、適宜フォローを行いつつ、必要に応じて内服薬や手術などの治療介入が行われます。

また白血病を始めとした血液系のがんを発症することもあり、化学療法や骨髄移植などが行われる可能性もあります。また、停留精巣に関しては不妊や精巣腫瘍の発生リスクがあるため、手術が施されることがあります。

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