概要
二次性貧血とは、血液の病気以外の原因で二次的に体の中の赤血球が減る病気です。赤血球は通常、全身に酸素を運ぶ役割をしています。そのため、赤血球が不足する(貧血になる)と全身に運ばれる酸素が不足して心臓に負担がかかり、最終的に心不全を引き起こすことがあります。
二次性貧血は、長期間炎症が継続した場合や腎臓や肝臓の機能が低下した場合、がんなどの悪性腫瘍を合併した場合などに起きます。長期間炎症が継続する原因として、ウイルスや細菌などの感染症や誤った免疫反応により自分で自分を攻撃してしまう自己免疫性疾患があります。
原因
下記に示すようなさまざまな血液以外の病気 (基礎疾患) が背景となって赤血球が減少します。
症状
心臓や脳は赤血球が運んできた酸素を取り込んではたらいています。そのため、赤血球が不足すると貧血がおき、心臓や脳がうまくはたらかなくなることがあります。
心臓がうまくはたらかないと息切れや足のむくみが起き、全身のだるさを感じます。脳がうまくはたらかないとめまいが起き、進行すると意識が低下することがあります。これらは、治療によって赤血球が補われることで症状が改善します。しかし、根本の貧血の原因となる基礎疾患を改善しない場合、症状が再燃することがあります。
検査・診断
二次性貧血では、血液検査、骨髄検査、超音波検査などが行われます。
血液検査
血液に含まれる細胞の数や形などを調べたり、肝臓や腎臓の機能を確認したりします。「網状赤血球」と呼ばれる幼若な赤血球がきちんと増えているか、ヘモグロビンの原料となる鉄を運ぶたんぱく質がきちんと作られているかについても併せて調べます。
骨髄検査
血液を作る工場である骨の中の骨髄血を穿刺します。うつ伏せの姿勢で、局所麻酔を行い腰の骨に針をさします。採取された細胞を顕微鏡により観察し、骨髄の中できちんと赤血球が作られているかチェックします。また、赤血球が減るような他の血液の病気がないかどうかも調べます。
超音波検査
お腹の中にある肝臓や腎臓を調べます。また、貧血を起こす他の病気(お腹の中の出血など)がないかどうか調べることもできます。患者さんの体にかかる負担が小さい検査です。
治療
原因となる基礎疾患により、治療内容は大きく異なります。大まかには赤血球がどれくらいのスピードで減少しているかによって、外来通院か入院治療か判断します。貧血により心不全を合併している場合は入院治療が望ましいです。腎性貧血では、エリスロポエチンと呼ばれる赤血球を作らせるホルモンが不足するため、外来で定期的に注射薬を投与して補充します。薬剤による貧血の場合は、疑わしい薬剤をすべて中断します。
貧血に対する治療
骨髄の中で赤血球をより多く作り出すような注射薬(エリスロポエチン)や内服薬があります。緊急の場合には、輸血を行うことで不足している赤血球を補うことができます。基礎疾患の治療と並行しながらこれらの治療を行い重篤な合併症が起きないようにコントロールします。
基礎疾患に対する治療
感染症が原因の場合、抗生物質や、抗真菌薬、抗ウイルス薬で治療を行います。全身性エリテマトーデスや血管炎などの自己免疫疾患であればステロイド治療、固形がんであれば抗がん剤による治療を行います。
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