ないじえん

内耳炎

最終更新日
2023年03月29日
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2023/03/29
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

概要

内耳炎とは、耳の奥にある“内耳”という部分に炎症が生じる病気のことです。内耳には、音を感知する“蝸牛(かぎゅう)”と体の平衡感覚を司る“前庭”という器官があります。そのため、内耳に炎症が生じると聴力の低下やめまい、耳鳴りなどの症状を引き起こします。

内耳炎の主な原因は、細菌やウイルスの感染です。急性中耳炎の炎症が波及することや、真珠腫性中耳炎によって内耳を構成する骨が破壊された状態となることで細菌が内耳へ侵入し炎症が生じて発症することなどが挙げられますが、中には髄膜炎に合併するケースもあります。

治療は、抗菌薬などを用いた強力な薬物療法のほか、原因となっている真珠腫などの病変を摘出する手術などが必要になることもあります。

原因

内耳炎は内耳に炎症が波及することによって引き起こされます。

内耳に炎症が波及する経路には大きく分けて2つあり、1つ目は細菌に感染することによって生じた中耳の炎症が中耳の奥の内耳にまで波及する経路です。2つ目は体の中に生じている細菌やウイルスの感染が血液の流れや神経の走行に沿って内耳に波及する経路です。

さらに、内耳炎は耳の病気だけでなく、側頭骨の骨折によって引き起こされることもあります。

症状

内耳には耳に入った音を感知する蝸牛と体の平衡感覚を司る前庭と呼ばれる器官があります。内耳炎ではこれらの器官にダメージが及ぶため、聴力の低下、ぐるぐる回るようなめまい、耳鳴り、吐き気、嘔吐などの症状が引き起こされます。

症状の現れ方や重症度は原因によって大きく異なります。重症の中耳炎による炎症が急激に内耳へ波及したり、化髄膜炎が神経に沿って内耳へ波及したりして発症するような場合では症状が急激に現れ 、強い症状が持続し内耳の機能が廃絶することが一般的です。一方で、真珠腫によって内耳の一部が破壊されて長期的な炎症が引き起こされるような内耳炎では症状が徐々に進行していきますが、手術により改善が可能なこともあります。

検査・診断

内耳炎が疑われるときは必要に応じて以下のような検査が行われます。

耳鏡検査

鼓膜の状態などを詳しく観察するために耳鏡と呼ばれる特殊な機器を用いた検査を行うのが一般的です。簡易的に耳の状態を評価することが可能であり、特に急性中耳炎慢性中耳炎に起因する内耳炎では必須の検査となります。

聴力検査

内耳炎では一般に聴力低下を生じます。特に内耳や聴神経が原因で生じる感音難聴の有無を確認するため、精密な聴力検査が行われます。

眼振検査

内耳炎では発症した耳のほうに目が揺れて動く“眼振”と呼ばれる症状がみられることがあります。一般的には特殊な眼鏡を装着して目の動きを観察する検査を行います。

画像検査

内耳の状態、側頭骨骨折の有無、脳への炎症の波及の有無などを調べるためにCTやMRIなどによる画像検査を行うことがあります。

血液検査

炎症の程度や原因となるウイルスの抗体価などを評価するために血液検査を行うことがあります。

培養検査

内耳炎の原因となっている細菌などを特定するために耳垂れや髄液などを採取して培養する検査を行うことがあります。適切な抗菌薬を選択するうえで必要な検査です。

治療

内耳炎の治療は原因によっても異なりますが、発症原因となる細菌やウイルスなどに対する抗菌薬や抗ウイルス薬による強力な薬物療法が主体となります。特に化髄膜炎から波及した両側内耳炎では両側の耳が聞こえなくなってしまうため、急性の炎症を抗菌薬で治療した後に直ちに人工内耳の植え込みを行うこともあります。

また、重度な中耳炎による波及が原因の場合には中耳にたまった水や膿を排出し、真珠腫性中耳炎が原因の場合は内耳を破壊する原因となっている真珠腫を摘出する手術をすることが根本的な治療となります。

予防

内耳炎を予防するには、急性中耳炎などを発症した場合にできるだけ早く適切な治療を受けることが大切です。また、慢性の経過をとる真珠腫性中耳炎も放置してしまうと内耳炎のリスクにもなりますので、治療は医師の指示に従って決められた期間続けるようにしましょう。

また、内耳炎は聴力低下やめまいなどの重篤な後遺症を残すことも少なくありません。何らかの異常を感じた場合はできるだけ早めに診察を受けることも大切です。

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