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裂肛の保存的治療では何が行われるの?~生活習慣を見直すことを中心に、必要に応じて薬が処方される~

裂肛の保存的治療では何が行われるの?~生活習慣を見直すことを中心に、必要に応じて薬が処方される~
齋藤 徹 先生

医療法人伯鳳会 大阪中央病院 外科 特別顧問

齋藤 徹 先生

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裂肛(れっこう)とは切れ痔と呼ばれるの一種で、肛門(こうもん)の上皮に傷や潰瘍(かいよう)が生じた状態をいいます。

裂肛の治療方法には、生活習慣による改善や薬物療法からなる“保存的治療”と、狭くなった肛門を広げる、あるいは潰瘍部分を切除する“手術治療”があり、保存的治療をしても改善しない場合に手術治療が検討されます。保存的治療とは手術治療を行わずに改善を目指す治療方法であり、生活習慣の改善や薬物療法がこれに該当します。本記事では、裂肛の保存的治療について詳しく解説します。

裂肛(切れ痔)の患者の半数以上に排便障害(便秘や下痢など)があるといわれるため、裂肛を改善するためには便通をよくし、肛門を清潔に保つことが大切です。そのため、食生活などに注意し、便秘や下痢が生じない生活習慣を身につけるようにしましょう。

具体的な食事内容としては、肉を多く取り過ぎないことや、野菜・海藻・きのこ類など繊維成分が豊富に含まれた食品を十分に摂取することが望ましいといわれています。また、アルコールや香辛料の効いた食べ物などは肛門に刺激を与えることがあるので、控えましょう。

排便時などにトイレで強くいきむと肛門の皮膚が切れやすくなる可能性があるので、強くいきむことを控え、自然な排便を心がけましょう。また、排便時以外でも運動などでお腹に力を入れることにより、いきんだときのように肛門に悪影響が及ぶことがあるので、力のいる作業を行うときは注意しましょう。

裂肛による痛みや肛門部の皮膚のたるみ(皮垂(ひすい))を生じると、肛門を清潔に保つことが難しくなり、症状が悪化することがあります。その際には、こまめに入浴や温坐浴を行い、患部の衛生を保ちましょう。温坐浴とは腰湯のことをいい、腰から下を湯につける入浴方法を指します。入浴・温坐浴によって患部を温めると、血流の増加により傷や潰瘍の治りがよくなることも期待できます。

裂肛では、必要に応じて薬物治療が行われます。肛門に強い痛みを生じている場合や潰瘍を生じている場合には、痛みを和らげるための局所麻酔剤を含有する注入用軟膏や炎症を抑えるためのステロイドを含有する軟膏などがよく処方されます。

しかし、強い作用のあるステロイド成分を含む薬剤は創(傷)が治るのを妨害するので、1週間以内の使用にとどめる必要があります。使い続けると裂肛が慢性化しやすくなりますので、注意が必要です。また、排便障害があり、食生活を改めても便秘が改善しない場合などには、便の体積を増やして排便を促進する膨張性下剤などが処方されることもあります。

ステロイドを含有する軟膏や下剤は市販薬としても販売されていますが、成分などが異なる可能性もあるので、診断後は医療機関で処方されたものを使用しましょう。もしこれらの市販薬を使用する場合は、自己判断で使用せず、まずはかかりつけの医師に相談することを検討しましょう。

便通をよくして肛門を清潔に保つことにより、裂肛による症状の改善が期待できます。まずは医師の指導のもと生活習慣の改善や薬物治療を行い、様子を見ましょう。

痛みが強いときは無理をせず、医師から処方された局所麻酔剤を含有する注入用軟膏やステロイドを含有する軟膏などの外用薬を使用することを検討しましょう。また、症状や治療方法について悩むこと、迷うことがあった場合は、自己判断せずに医師に相談するよう心がけましょう。

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