症状
妊娠中は、胎児の推定体重が通常よりも大きいことが超音波検査などで確認されますが、特に自覚症状はありません。しかし、巨大児を経腟分娩する場合、お母さんと赤ちゃんの両方に、さまざまな合併症が生じるリスクが高くなることが知られています。
お母さんの場合、分娩時に頸管(子宮の出口)や会陰の裂傷(大きく裂けること)が生じやすくなります。これに伴って分娩時の出血量が増加したり、分娩後に子宮収縮が不良となって弛緩出血を起こしたりすることがあります。また正常体重の新生児と比較して、緊急帝王切開となる可能性も高くなります。
赤ちゃんについては、肩甲難産などの合併症が起こる可能性があります。通常の分娩では、児の頭が娩出された後は軽い牽引(引っぱること)のみで赤ちゃんの肩や体幹もスムーズに娩出されます。しかし、赤ちゃんが大きい場合は肩甲難産を生じ、赤ちゃんの肩がお母さんの恥骨に引っかかり娩出が困難となることがあります。肩甲難産では、赤ちゃんの頭の無理な牽引により赤ちゃんに麻痺や骨折が生じる可能性があります。また、分娩にかかる時間が長くなる傾向があり(遷延分娩)、胎児機能不全や新生児仮死、脳性麻痺につながる場合もあります。
糖尿病や妊娠糖尿病のお母さんから生まれた巨大児の場合、出生後に新生児低血糖となる危険性があります。新生児低血糖は、胎児期に高血糖状態が続き、出生時に胎盤からのブドウ糖の供給が突然止まることで血糖値が急激に低下することにより起こります。新生児低血糖は、治療が遅れると赤ちゃんに中枢神経障害を引き起こす可能性があるため、迅速な診断と治療が必要です。
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