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心アミロイドーシス

同義語
心臓アミロイドーシス
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概要

心アミロイドーシス(心臓アミロイドーシス)とは、アミロイドと呼ばれる異常なタンパク質が心臓に沈着する病気です。

アミロイドは全身のさまざまな臓器に沈着する異常なタンパク質であり、現在では30種類以上のタンパク質が発症に関わっていることが分かっています。アミロイドの種類によって沈着する臓器や重症度などは異なり、特に心臓にアミロイドが沈着する病気を心アミロイドーシスと呼びます。

心アミロイドーシスを発症すると心臓の機能が低下して心不全を引き起こしたり、不整脈が誘発されたりすることで命に関わるケースも少なくありません。

治療は、心不全や不整脈などの症状に対する対症療法と心アミロイドーシス自体に対する治療が必要です。心アミロイドーシス自体に対する治療は病気のタイプによって異なり、非常に進行が速いタイプもあるため正確な診断が下されて早い段階で治療を開始することが大切です。

原因

心アミロイドーシスは、心臓にアミロイドが沈着することによって引き起こされます。

アミロイドは全身のさまざまな臓器に沈着する異常なタンパク質であり、現在のところ30以上の種類があることが分かっています。アミロイドの種類によって沈着する臓器や重症度などは異なりますが、心アミロイドーシスを引き起こすのは“ALアミロイドーシス”、“遺伝性トランスサイレチンアミロイドーシス”、“野生型トランスサイレチンアミロイドーシス”という3つのタイプです。

ALアミロイドーシスは、免疫に関わるタンパク質である“免疫グロブリン”の一部(短鎖)が骨髄(こつずい)の中で過剰に産生されることによって引き起こされます。原因がはっきり分からないケースが多いとされていますが、多発性骨髄腫などの病気によって引き起こされるケースもあります。

一方、遺伝性トランスサイレチンアミロイドーシスと野生型トランスサイレチンアミロイドーシスはともにトランスサイレチンと呼ばれるタンパク質が過剰に産生されることで発症します。遺伝型は遺伝子の変異が原因となりますが、野生型の主な原因は加齢と考えられています。

症状

心アミロイドーシスは心臓に異常なタンパク質であるアミロイドが沈着することで、心臓の壁が厚くなり拡張能が低下していきます。さらには収縮力も低下し、心不全に至るのが特徴です。また、心筋内の電気の流れに異常が生じることで房室ブロック心室細動などの不整脈が引き起こされることもあります。

アミロイドは心臓以外の部位に沈着することも少なくありません。

ALアミロイドーシスは腎臓、肝臓、消化管、神経などに沈着し、腎機能障害によるむくみ、肝腫大(肝臓の腫れ)、下痢や便秘、起立性低血圧などの自律神経障害、しびれなどの末梢神経障害(まっしょうしんけいしょうがい)などを伴うことがあります。

一方、野生型トランスサイレチンアミロイドーシスは手首の腱に沈着して手根管症候群を起こしやすく、遺伝性トランスサイレチンアミロイドーシスは神経に沈着して自律神経障害や末梢神経障害を起こしやすいことが知られています。

検査・診断

心アミロイドーシスが疑われた場合は以下のような検査が行われます。

画像検査

心臓の大きさや機能、心不全の状態などを評価するためにX線、超音波、MRI、シンチグラフィーなどを用いた画像検査が行われます。

血液検査

心臓の機能や重症度を把握するために血液検査を行うことがあります。また、ALアミロイドーシスの場合は免疫グロブリンの量が診断の手がかりになることも少なくありません。

心電図検査

不整脈の有無を調べるために心電図検査を行います。また、心臓が大きくなる別の病気との鑑別診断にも役立つこともあります。

心筋生検

心臓の筋肉の一部をカテーテルなどで採取して顕微鏡で詳しく調べる検査です。心アミロイドーシスの確定診断のために行われ、どのタイプのアミロイドーシスであるか鑑別します。

診断のために必要な検査ですが、体への負担も大きいため、ほかの部位にアミロイドが沈着している場合はほかの部位の組織を用いて検査を行うこともあります。

治療

心アミロイドーシスの治療は、上述した3つのタイプによって大きく異なります。

ALアミロイドーシスは、異常な免疫グロブリンと呼ばれるタンパク質の過剰な産生を抑えるために、抗がん剤治療と造血幹細胞移植を行います。一方、遺伝性トランスサイレチンアミロイドーシスに対しては、これまで肝移植が行われてきましたが、近年では野生型サイレチンアミロイドーシスとともに進行を抑える飲み薬(トランスサイレチン安定化薬)などによる薬物療法を行うことも増えています。

また、心アミロイドーシスはこれらの病気自体を治したり進行を抑制したりする治療以外に、心不全不整脈などを改善するための対症療法を行う必要もあります。心不全に対しては薬物療法が主体となりますが、不整脈はペースメーカーなどの植え込みを行うことがあります。

予防

心アミロイドーシスは明確な発症メカニズムが不明なタイプや遺伝が関与しているタイプがあるため、確実な予防方法は現在のところありません。ただし、病初期に治療を開始したほうが、より効果が望めると考えられています。特にALアミロイドーシスは進行スピードが非常に速く、早い段階で適切な治療を行う必要があります。

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心アミロイドーシスを得意な領域としている医師

  • 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学系専攻 器官システム制御学講座 循環制御内科学 准教授

    • 慢性心不全
      • 原因の診断および薬物治療
    • 心筋症
      • 診断および薬物治療
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