症状
性器ヘルペスの症状は、初感染か再発か、また男性か女性かによって異なります。
男性の症状
主に亀頭や陰茎体部にかゆみを伴った複数の水疱が現れます。肛門性交を行った場合は、肛門周囲や直腸粘膜に病変が現れることもあります。症状は単純ヘルペスウイルスへの初感染時がもっとも強く、感染機会をもってから2~10日後に病変が現れ始め、発症から3~5日程度で水疱同士が合体して痛みを伴った潰瘍となり、発症から1週間程度で症状のピークを迎えます。
初感染で症状が現れないこともあり、ウイルスの再活性時に初めて症状が現れた場合(非初感染初発)や再発時は初感染初発よりも症状が軽く、治癒までの期間も短いことが多いです。
女性の症状
初感染初発時では症状が強く現れることが多く、感染機会から2~10日後に38℃以上の発熱と大陰唇、小陰唇、腟前庭部、会陰部付近に潰瘍性または水疱性の病変が現れます。性器周辺の病変は左右対称のことが多く、時には子宮腟部、子宮頸管や膀胱まで広がることもあります。
痛みが強く、排尿や歩行に支障をきたすこともあります。また、足の付け根のリンパ節が腫れ、押すと痛みを感じる症状も多くみられます。
まれに髄膜炎を合併することもあり、強い頭痛や項部硬直と呼ばれる症状がみられます。これらの症状は無治療でも2~4週間程度で改善しますが、髄膜炎に伴って尿が出なくなります(尿閉)。さらに尿意を感じない神経因性膀胱に進行した場合は入院でのカテーテル治療が必要となるケースがあります。この状態をエルスバーグ症候群と呼びます。
非初感染初発や再発の場合は、男性と同様に初感染時よりも症状が軽く、治癒までの期間も短いことが一般的です。
なお、女性は男性と比較して性器ヘルペスに感染しやすいという報告があります。これは女性器の構造上、性器の粘膜部分が広範囲であり、感染者と性行為を行った際に男性から女性に感染する確率が女性から男性に感染する確率よりも4倍以上高いと考えられているためです。また、女性は黄体ホルモンのはたらきにより免疫能力が低下する時期があり、特に妊娠中や排卵後は免疫機能の変化に伴って単純ヘルペスウイルスに感染しやすいと考えられています。
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