まんせいにゅうせんえん

慢性乳腺炎

乳房

目次

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概要

乳腺炎は、産褥期にみられる乳腺の炎症です。

「急性」と「慢性」とは、症状が出現したり悪化したりする勢いを指す用語であり、急性は経過が早く症状が強いもの、慢性は比較的経過が長く症状は軽度から中等度くらいのものを指します。慢性乳腺炎は、急性化膿性乳腺炎というタイプの乳腺炎に比べて症状は軽度ですが、乳腺炎による膿瘍(のうよう)(膿のかたまり)を形成したり、乳頭から排膿(はいのう)(膿が分泌されること)したりを長期間にわたって繰り返します。

多くは乳房の構造的な問題、つまり乳頭や乳管という部分の構造にわずかな異常が存在することが根本的な原因と考えられています。膿瘍は乳房を触ると「しこり」として認識できますが、感染や炎症が原因で一時的に形成されたものであるため良性です。膿瘍の形状は凹凸(おうとつ)があり、大きさもその時々でさまざまに変わります。

原因

慢性乳腺炎は、なんらかの原因で乳腺内に細菌が入り込み、化膿性乳腺炎を起こすことがきっかけとなり発症します。これは通常、手術をせずにマッサージや内服薬のみで行う保存的治療で改善しますが、乳腺内で完全に死滅しきらなかった細菌が残っていることで、慢性的な炎症を起こす状態ができてしまい、なんらかのきっかけにより乳腺炎の再発が起きてしまいます。

多くの場合、一度感染を起こした乳腺、乳管と乳房の皮膚が細いトンネル(瘻孔(ろうこう))でつながってしまい、このトンネルがあることで細菌の侵入が起きやすくなります。なお、授乳の有無と関係なく発症します。

症状

慢性乳腺炎は、炎症と感染による膿瘍形成が起きるため、まずは乳房の軽度の痛みとしこりが出現することが多いです。また、乳腺、乳管と乳房の皮膚に瘻孔が形成されている場合には乳輪近辺の皮膚から、白〜黄色がかった、もしくは微量の血液混じりの、粘稠(ねんちゅう)な液体が分泌される排膿が起こります。これらの症状と、慢性的に何度も繰り返している経過を合わせ、慢性乳腺炎が疑われます。

炎症には乳房の腫れ、熱感、発赤などを伴うこともあります。急性化膿性乳腺炎に近い状態になると、38度以上の高熱や、わきの下のリンパ節の腫れなどの症状も同時に出現することがあります。

検査・診断

慢性乳腺炎は、臨床経過から多くの場合には推測でき、特別な検査が必要になることは通常ありません。感染源となっている乳腺と皮膚との間の瘻孔を確認することも重要です。ただし、高熱が出ている場合や体調不良により脱水が疑われる場合などは、採血検査を行い全身状態や炎症の程度を確認する場合もあります。また、長期間に及び改善が認められない、症状が非常に強い、などの際には原因菌を同定するために排膿された膿汁の細菌培養試験が追加されることもあります。

なお、慢性乳腺炎の膿瘍によるしこりは良性ですが、なかには偶然に悪性腫瘍、つまり乳がんが隠れている場合もあるため、この可能性を否定するためにレントゲン検査、超音波検査、細胞診などが実施されることがあります。

治療

まずは症状の改善や感染、炎症の勢いを抑えるために、抗生物質による治療と解熱鎮痛薬による症状緩和が行われます。しかし、慢性化している根本原因である乳腺や瘻孔が残っている限り、根治ができず再発の可能性は残ります。根治のための治療としては、感染した乳腺と瘻孔の外科的切除、つまり手術が必要となります。手術内容によっては乳房の形に変化が起きてしまうことがあるため、形成外科的工夫・処置も併せて必要です。

また、陥没乳頭も再燃の原因として考えられているため、乳頭形成術も必要になる場合があります。

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