まんせいかつどうせいいーびーういるすかんせんしょう

慢性活動性EBウイルス感染症

血液

目次

項目をクリックすると該当箇所へジャンプします。

概要

慢性活動性EBウイルス感染症とは、ヘルペスウイルスの仲間であるEBウイルスが関連して様々な症状を引き起こす病気の一つを指します。EBウイルスに感染することに感染して発症する病気に伝染性単核球症がありますが、別名「キス病」とも呼ばれておりまれな病気ではありません。しかし同じウイルスを原因として発症する慢性活動性EBウイルス感染症は非常にまれな疾患です。慢性活動性EBウイルス感染症を新たに発症する方は年間約数十名、多くても100名程度といわれています。子どもに発症することが多い疾患ですが、成人で発症することもあります。

慢性活動性EBウイルス感染症は一度発症すると生命の危険におよぶことが懸念されることもあります。根治を目指す治療方法には、化学療法と造血幹細胞移植があります。本疾患は難病指定を受けており、また2016年には診療ガイドラインも発表されています。こうしたことから、今後ともさらなる診断・治療技術の進歩が強く期待される疾患であると言えます。

原因

慢性活動性EBウイルス感染症は、EBウイルスに感染することを原因として発症します。EBウイルスとは、皮膚症状などを起こすヘルペスウイルス科の一種で、私たちの身近にいるウイルスであり、多くの日本人が本ウイルスに感染しています。唾液を介して親から子ども、キスを介して感染します。一度感染をしてから生涯EBウイルスは体内に潜み続けますが、普段はEBウイルスが活性化することはなく、何の症状も現れません。

EBウイルスは、リンパ球の中でも「B細胞」と呼ばれる細胞に感染をします。しかし、何かしらの原因でB細胞以外のT細胞またはNK細胞という別のリンパ球にまで感染・増殖することがあり、慢性活動性EBウイルス感染症を発症します。慢性活動性EBウイルス感染症ではEBウイルスが慢性的に活動化することになりますが、その詳細な機序は明らかになっていません。

また、慢性活動性EBウイルス感染症は、理由は明らかではないものの、地域性も指摘されています。慢性活動性EBウイルス感染症は日本・中国・韓国といった東アジアに患者さんが集中している点も特徴です。実際、人種や民族ごとに異なるHLAという白血球の型に特異的な変異がある人が慢性活動性EBウイルス感染症なのではないかとの示唆があります。慢性活動性EBウイルス感染症を好発する人についても、解明が待たれるところです。

症状

慢性活動性EBウイルス感染症の症状は、炎症症状と腫瘍症状の二つに分けることができます。

慢性活動性EBウイルス感染症では、初期症状として炎症症状に関連した発熱や全身倦怠感などのインフルエンザ様の症状が出現します。こうした症状は風邪の時にも見られる症状ですが、慢性活動性EBウイルス感染症では、1ヶ月以上続きます。また、蚊に刺されると通常よりも大きく腫れる蚊アレルギーを認めることもあります。また、皮膚の症状としては種痘様水疱症(しゅとうようすいほうしょう)というものもあり、日光にあたるとその箇所がただれや水疱といったような、やけどに似た症状を呈します。

症状が進行すると、38度以上の高熱の持続や、肝臓や脾臓の腫れがみられます。血球貪食(どんしょく)症候群に陥ることもあります。血球貪食症候群にかかると重度の血球減少(赤血球、白血球、血小板の減少)が生じ、血が止まりにくい、ほかの感染症へかかりやすいといった症状のほか、多臓器不全に進行することがあります。

さらに慢性活動性EBウイルス感染症は進行すると、悪性リンパ腫や白血病といった血液のがんを発症します。その他、心不全、神経障害、消化管潰瘍、冠動脈瘤、間質性肺炎、血管炎なども合併症することがあります。こうした状況では全身の状態が非常に不安定になり、命にかかわることもあります。

検査・診断

慢性活動性EBウイルス感染症では、主には血液を用いてEBウイルスに対する抗体の検索、EBウイルス特有の遺伝子配列の検索(リアルタイムPCR)、感染細胞の検索、が行われます。リアルタイムPCRは慢性活動性EBウイルス感染症の診療では必須であり、本検査を通してどの程度の量のウイルスが体内に存在しているかを検索することが可能です。また、本来EBウイルスはB細胞に感染することが多いですが、慢性活動性EBウイルス感染症ではB細胞以外の細胞に感染しています。本疾患を確定診断するためにも、EBウイルスが感染している細胞を確定することは必須です。

治療

慢性活動性EBウイルス感染症の炎症症状に対応するために、ステロイドや免疫抑制剤(シクロスポリンなど)が使用され、根本的な治癒を目指すためには化学療法や、後述する造血幹細胞移植を行います。慢性活動性EBウイルス感染症の重症度は、時間経過と共に変化しますので、症状にあわせて治療方針を決定します。

特に造血幹細胞移植は、基本的には年齢を問わず受けることができます。しかしながら造血幹細胞移植は先の化学療法も含め、副作用などのリスクが高い治療法です。そのため、どうした状況で造血幹細胞移植に踏み切るかの決定については慎重になされるべきであると言えます。