まんせいはいあすぺるぎるすしょう

慢性肺アスペルギルス症

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

慢性肺アスペルギルス症とは、肺にアスペルギルスと呼ばれるカビの一種が棲み着き、長い期間を経て喀血などの症状が引き起こされる病気です。

アスペルギルスは大気や土壌のなかに存在する真菌(カビ)であり、健康な方にとっては無害とされています。しかし、過去に結核などを発症した経験があり、肺に空洞などの物理的な変化が生じている場合、異変のある部位にアスペルギルスが感染し、長期にわたり生着することがあります。このような原因で発症する慢性肺アスペルギルス症は、さらに以下2つの病態に分けられます。

原因

慢性肺アスペルギルス症は、肺結核肺気腫気管支拡張症などに罹り肺の構造が破壊された方に発症します。ステロイドや免疫抑制剤による治療を受けている方、がん治療中の方、糖尿病の方などでは免疫が抑制されているため、特に発症する可能性が高いとされています。

症状

単純性肺アスペルギローマは病勢の進行が非常に緩徐な場合が多いため発症初期には自覚症状がないことが多いです。そのため、肺に基礎疾患のある患者さんが、無症状であるにもかかわらず画像上異常を指摘される場合があります。症状が出る場合には、喀痰や血痰・喀血、咳嗽が認められることがあります。

慢性進行性肺アスペルギルス症は、アスペルギルスが肺の空洞壁から周囲の組織を巻き込みながら進行していきます。単純性肺アスペルギローマと同様の症状を呈しますが、進行性の疾患であり、単純性肺アスペルギローマと比較して早いスピードで進行します。1か月以上に渡り喀痰や血痰・喀血、咳嗽などの呼吸器症状や発熱・倦怠感などの全身症状を認めます。一般的な抗菌薬治療で改善しない場合に慢性進行性肺アスペルギルス症を疑います。

検査・診断

単純性肺アスペルギローマと慢性進行性肺アスペルギルス症の鑑別は困難な場合が多く、検査所見と臨床的な経過で判断します。

画像検査ですが、単純性肺アスペルギローマは、肺の空洞内に真菌が住み着くため、真菌球と呼ばれる塊状になった真菌が画像的に認められます。真菌球の発育が不十分でなければ、空洞壁の肥厚や不整のみの場合もあります。

慢性進行性肺アスペルギルス症では単純性肺アスペルギローマのような真菌球を形成する場合もありますが、より空洞の壁が厚く、肺構造の破壊や空洞の拡大・増悪の速度も速いです。

その他の検査としては、血液検査でβ-Dグルカンと呼ばれる真菌の細胞壁の成分を検出する検査やアスペルギルスに対する抗体を検出する検査があります。組織学的な検査としては、気管支内視鏡検査や手術で病巣を採取する方法があり、病理学的に診断することができます。さらに、喀痰検査や手術で採取した組織からアスペルギルスの菌体を染色や培養検査で見つけることができれば確定診断となります。

治療

単純性肺アスペルギローマは、原則切除が適応です。ただし、呼吸機能が低下している患者さんに合併している場合が多いため、手術で切除できないこともしばしばあります。手術ができない場合で、喀血や血痰などの自覚症状があり、コントロールが難しい場合には、抗真菌薬で治療をすることもありますが、治療不応例も多く見られます。

慢性進行性肺アスペルギルス症では、まず、抗真菌薬で治療を開始します。治療開始時は、原則入院で点滴治療を行います。呼吸器症状や炎症がある程度安定し、抗真菌薬による副作用が見られなければ退院となります。抗真菌薬の治療期間は定められたものはありませんが、多くの場合は6か月以上を目安に治療されます。しかし、進行の程度によっては、あるいは、再増悪を起こした場合には、6か月以上継続することもあります。抗真菌薬で治療が困難な場合には手術で病巣を切除することもあります。

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