原因
爪甲剥離症の多くは、原因の分からない特発性のものです。老化に伴う乾燥症状があり、爪の恒常性が保たれていないことが多いです。一方で甲状腺機能異常や強皮症などの全身疾患、乾癬などの皮膚疾患、不適切なマニキュアなどの使用による慢性の一次刺激接触皮膚炎、カンジダ菌への感染、末梢循環不全などさまざまなことが原因となって、爪甲剥離症が起こることが分かっています。
全身疾患によるもの
爪甲剥離症を引き起こす全身疾患としては、甲状腺機能亢進症が代表的です。
甲状腺機能亢進症とは、甲状腺の機能が活発になることにより甲状腺ホルモンが多く分泌され、食べても痩せてしまう、疲れやすい、眠れないなどの症状が現れる病気です。
時に爪が平たくなったり、反り返ったりすることによって爪甲剥離症が生じます。このような症状を“プランマーズ・ネイル”と呼ぶことがあります。はじめは1本の爪から症状がみられますが、徐々に複数の爪に症状が現れるようになります。
そのほか、強皮症、貧血、甲状腺機能低下症、糖尿病、肺がんなどの肺の病気でも爪甲剥離症を引き起こす場合があります。
皮膚疾患によるもの
爪甲剥離症を引き起こす皮膚疾患としては、強皮症の強指症、乾癬、掌蹠多汗症などが挙げられます。これらの病気では先に皮膚症状などが現れ、診断に至ることが一般的です。
外部からの刺激によるもの
爪と皮膚の間に棘など細いものが刺さることによって起こるものや、マニキュアや除光液、洗剤、有機溶剤、ガソリンなどに触れることによって起こるもの(接触皮膚炎)があります。
感染症によるもの
爪甲剥離症を引き起こす主な感染症として、カンジダ症や爪白癬などが挙げられます。カンジダ症による爪甲剥離症(カンジダ性爪甲剥離症)の場合、剥がれた爪の下の皮膚がカサつくことが特徴です。
光線過敏症によるもの
紫外線を浴びることで症状が現れることがあります。太陽の光が強い5月ごろから夏場に悪化しやすく、冬は軽快しやすいことが特徴です。また、爪の症状だけでなく紅斑などの皮膚の症状も併せて現れる傾向があります。
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