原因
多くの肝細胞がんは、慢性肝炎や肝硬変といった慢性肝疾患を背景に発生することが知られています。
これまで日本ではC型肝炎ウイルスによる慢性肝炎/肝硬変が肝細胞がんの最大の原因となっていました(全体の60~70%)が、近年C型肝炎治療が大きく進歩し、1~3か月の飲み薬の内服だけでウイルスが排除できるようになり、C型肝炎ウイルスが原因となっている肝細胞がんの発生は少しずつ減少傾向になってきています。
同様に、B型肝炎ウイルスも日本では肝細胞がんの大きな原因になっています(全体の10%程度)が、飲み薬により感染したウイルス量を少なく維持することができるようになり、慢性肝疾患の進展や肝細胞がんの発生予防が期待できるようになってきました。
一方、過度なアルコール摂取から肝細胞がんを発症するケースや、近年では非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)による肝細胞がんの発症が増加してきています。現在の日本では、肝炎ウイルス以外の原因で生じる慢性肝疾患による肝細胞がんの割合が約20%を占めており、その多くは非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)が進行したNASHである可能性が指摘されています。
NAFLDを発症する方には、高血圧、脂質異常症、糖尿病、メタボリックシンドローム、肥満といった生活習慣病を合併している方が多いため、その診断と予防が今後の大きな課題となってきています。
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