のうきょう

膿胸

最終更新日
2017年04月25日
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2017/04/25
掲載しました。

概要

膿胸とは、肺がおさまっている胸腔(きょうくう)と呼ばれる空間に炎症が生じたことで、が蓄積した状態を指します。肺炎や肺腫瘍などの呼吸器疾患に続発して発症することもあれば、食道や肺などに対する外科手術などの医療行為に関連して合併症として発症することもあります。発熱や咳、呼吸障害などの症状が現れます。

膿胸の治療は抗生物質のみでは不十分なこともあり、ときに膿を体外に排泄させるためドレナージ処置や手術が行われることもあります。また、膿胸は慢性化すると治療が難航することから、早期の段階で治療介入を行い、治癒を目指すことが重要だとされています。

原因

胸壁肋骨・胸椎・胸骨・横隔膜に囲まれた空間を胸腔とよび、ここに肺がおさまっています。正常な胸腔は少量の液体成分で満たされており、肺がスムーズに動けるようになっています。膿胸では、胸腔内にが蓄積することにより、さまざまな症状が出るようになります。

膿が蓄積してから3か月以内のものを急性膿胸、3か月以上経過したものを慢性膿胸とそれぞれ呼びます。膿胸の初期段階では膿の蓄積が主ですが、時間が経過すると胸腔内にフィブリンと呼ばれる物質が蓄積するようになります。フィブリンは硬い物質で、過剰に胸腔内に蓄積すると肺の呼吸運動が障害されます。膿胸が慢性化すると治療に難渋することになるため、急性期の段階で治療を行うことが重要とされています。

膿胸は、肺炎(市中肺炎や結核など)や縦隔炎などの感染症に続発する形で発症することがあります。特に、高齢者、糖尿病患者、ステロイド長期使用者などは免疫機能が低下している方が発症すると、感染が周囲へと広がる傾向にあります。

また膿胸は、肺や食道など周辺部位の臓器に対する医療行為に関連して発症することもあります。たとえば、肺や食道の手術による縫合部位の炎症の胸腔への波及、上部消化管内視鏡検査で食道が破れてしまうことなどが挙げられます。ほかにも、義歯などの鋭利異物の誤嚥(ごえん)外傷などによって膿胸を起こすこともあります。

症状

急性膿胸では、発熱や咳、胸の痛み、息切れ、痰などの症状が出るようになります。慢性膿胸では、必ずしもこれら症状が出るわけではありませんが、胸腔内にフィブリンの形成が進行して肺機能が著しく障害されているため、呼吸困難を自覚する方が多いです。なお慢性膿胸は結核に伴うことが多いため、結核の症状を伴うこともあります。また慢性膿胸では、胸腔内のが体外に排泄されることもあります。結核性の膿胸では、急性期であっても発熱を見ないこともあり、また体重減少が全面的に出ることもあります。
 

検査・診断

膿胸の検査では、胸腔内のの蓄積状況などを確認します。具体的には胸部エックス線写真や胸部CTを行い、液体成分の蓄積や胸膜が分厚くなっている状況(胸膜肥厚)などを確認します。

また膿胸の診断では、胸腔内の膿を直接採取して好中球の増加や、原因となっている病原体を顕微鏡で確認します。さらに、培養検査を行うことで原因菌を確定することも可能です。培養検査に関連して、病原体の抗生物質に対する感受性を検索することもあります。

治療

膿胸の治療では、より早期の段階から治療介入を行い、フィブリン形成や胸膜肥厚といった組織学的な変化を生じる前に治癒することを目標としています。急性期の治療としては、抗生物質や胸腔ドレナージなどがあります。胸腔内に炎症を起こす病原体には黄色ブドウ球菌や嫌気性菌などが想定されるため、早期の治療(特に原因菌が特定できていない場合)では、多くの細菌に対して効果の期待できる治療薬を使用することが重要です。また、結核性の膿胸が疑われれば、抗結核薬の使用を検討することもあります。

胸腔ドレナージは、胸に管を挿入し、胸腔内に蓄積しているの排出を目的に実施されます。またこのとき、挿入した管を利用して胸腔内の洗浄も一緒に実施します。

膿胸が慢性化して胸腔内にフィブリンが形成されてしまうと、肺が潰されてしまい正常な肺の機能を保つことが難しくなります。さらに、感染が遷延する温床を形成することにもなります。そのため慢性膿胸では膿胸を起こしている空間を閉鎖するため胸膜剥離術や開窓術、胸郭形成術などの手術が必要になります。

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