治療
治療は、認知症の原因となっている病気によって異なります。治療の種類には、薬による薬物療法と、ケアやリハビリテーションによる治療があります。
アルツハイマー病やレビー小体型認知症のように、脳の中に異常なたんぱく質の蓄積がみられ神経細胞が徐々に障害されていく病気では、残念ながら現時点では、根本的な治療効果がある治療薬で承認されているものはありません。しかし、残っている神経細胞を励まして症状を改善させるような治療薬(症状改善薬)を使用することができます。
血管性認知症では、脳梗塞や脳出血などの脳血管の病気(脳血管障害)で脳が損傷されています。そのため、脳血管障害の原因となる、高血圧・糖尿病・脂質異常症・不整脈などの病気をきちんとコントロールし、脳血管障害の再発を防ぐ治療をすることが大切です。
前に述べたように、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症など、脳外科的治療で治る病気、ホルモンの異常など、内科的治療で治る病気がありますので、そうした認知症の原因を見逃さないようにすることが大切です。
また、行動・心理症状(BPSD)が強く現れて困っているような場合には、ケア面の整備を行うとともに、必要に応じ症状を軽減させるような薬物(精神科の薬など)の投与を行います。
全体的にみると、薬物療法の効果は限定的な場合が多く、ケアやリハビリといった薬以外のアプローチが大切です。リハビリでは、精神療法や作業療法や音楽療法などで残された脳細胞の活性化を図ることなどが行われています。
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