慢性肝炎のなかでもC型肝炎は近年特にめまぐるしい進歩を遂げ、内服薬によってほとんどの患者さんが治癒できるようになりました。この記事では、C型肝炎の治療について横須賀市立うわまち病院 副病院長 消化器内科部長 消化器病センター長の池田隆明先生に解説いただきました。
2014年ごろまで、C型肝炎の治療はインターフェロンという、もともと体の中にある、ウイルスを排除するためにはたらく物質を注射・点滴によって増やす方法が主体でした。しかし、このインターフェロン単独の治療法では効果に波があり、最適な治療法にはなりませんでした。効果がでにくい患者さんの場合だと、1~2割のウイルスしか消えない、という時代が長く続きました。
そのような中で登場したお薬が、直接ウイルスに作用する「抗ウイルス薬」です。このお薬はこれまでの治療法とは異なり、ウイルスに直接はたらき、ウイルス増殖を抑えることができます。この抗ウイルス薬を使用することで、C型肝炎の著効率は大幅に向上しました。
その後、さらに新たな抗ウイルス薬が登場し、薬の効果は向上していきました。そして2015年、新たな抗ウイルス薬「レジパスビル/ソホスブビル」の登場によってウイルスの大幅な排除が可能になりました。ソホスブビルとレジパスビルの併用療法の国内臨床試験では SVR 率は 99%と報告されています。
このように、この約5年間でC型肝炎を取り巻く環境は大きく変わり、注射や点滴で治療する治らない病気から、飲み薬でほとんどの患者さんが治る病気になったのです。
これらの新しい薬剤は、効果の面だけでなく、副作用の面からも大きなメリットを生み出しています。これまでのインターフェロンによる治療は、副作用の頻度や重症度から、高齢者への使用が控えられることがありました。しかし、抗ウイルス薬はインターフェロン治療と比べると副作用の心配が少なくなっています。そのため、これまで治療を行えなかったご高齢の患者さんにも、より積極的に治療を行うことができるようになりました。
このように治療が進歩しているからこそ、病気の早期発見・早期治療がとても大切です。慢性肝炎はそのまま進行してしまうと肝硬変や肝臓がんなどに進行してしまいます。軽症のうちから治療をはじめることで、C型肝炎の完治を目指すことができるのです。
横須賀市立うわまち病院 副病院長 消化器病センター長 消化器内科部長
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