だつもうしょう

脱毛症

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

脱毛症とは、一般的に多くの頭髪が抜けて、最終的には頭皮が露出した状態になることを指します。いわゆる禿げのことであり、男性に多くみられ、日本人男性の50歳代以降では約40%の方に確認することができます。

脱毛症には、男性ホルモンが作用する男性型脱毛症(AGA)、毛母細胞が障害されることで発症する円形脱毛症、生まれつき全身の体毛が少ない先天性脱毛症などがあります。

同じ脱毛症でも、それぞれの症状は異なり、頭髪の一部分のみに脱毛が生じるものもあれば、頭皮全体が脱毛するものまでさまざまです。このように、脱毛症にはいくつかの種類がありますが、それぞれ治療方法も異なるため、正確な診断が下される必要があります。

特に、自分で頭髪を抜く癖が病的に強いトリコチロマニア(抜毛症)では過度な抜毛によって脱毛斑を生じることがあるため、そのほかの脱毛症との正確な鑑別が必要です。

原因

脱毛症の原因は、その病型によって大きくことなります。それぞれの原因は以下の通りです。

男性型脱毛症

遺伝が大きく関与していると考えられていますが、ジヒドロテストステロンと呼ばれる男性ホルモンが頭髪の成長サイクルを乱すことが知られています。

これにより頭髪が正常に成長することができず、薄い毛が生えるようになります。そして、最終的に、脆弱(ぜいじゃく)な頭髪が抜け落ちて脱毛症に至ります。

円形脱毛症

頭髪の成長を司る毛母細胞が一時的に障害されることで生じる脱毛症です。どのようなメカニズムで毛母細胞の障害が生じるのかは明確には解明されていませんが、ストレスや遺伝、栄養不足などが関与しているとの説があります。

また、円形脱毛症の人はアトピー性皮膚炎バセドウ病などを合併することが多いため、円形脱毛症の発症には何らかの免疫系統の異常が関与しているとの考え方もあります。

先天性脱毛症

生まれつき全身の体毛が少なかったり、生まれたときは正常でも徐々に毛が少なくなったりする脱毛症です。

原因遺伝子の特定も行われており、遺伝的な要因が関与していると考えられています。

症状

脱毛症は、頭の一部のみに脱毛が生じるものや、頭髪のみならず全身の体毛が脱毛するものまであり、脱毛の程度は病型によってそれぞれ異なります。

男性型脱毛症

一般的に禿げといわれる症状が現れます。額の生え際や頭頂部に、細く柔らかい頭髪が生え始めます。そのため、頭髪の密度が減って、頭髪が薄くなったという印象を与えます。

これらの柔らかく細い毛は徐々に抜け落ちて、最終的には頭髪が生えない状態となります。

男性特有の病気と思われがちですが、女性でも更年期以降に頭頂部を中心に男性型脱毛症と同様のメカニズムで脱毛症を発症することがあります。

円形脱毛症

比較的若い世代が発症しやすく、頭髪の一部分に多くは直径3cm程度の円状の脱毛が生じます。これを脱毛斑と呼びますが、脱毛斑は周囲との境界が明瞭で目立ちやすいのが特徴であり、いわゆる10円禿げと呼ばれるものです。

一般的には脱毛斑はひとつしかできませんが、複数個の脱毛斑が同時に形成されると脱毛斑が徐々に広がって互いに癒合し、頭全体に脱毛が広がることもあります。

また、頭髪だけでなく、眉毛や四肢の体毛などに脱毛斑が生じるケースも少なくありません。

先天性脱毛症

生まれたときには体毛があるものの、徐々に脱毛が生じて全身の体毛が減少していくのが特徴です。体毛が全く見られなくなる先天性汎発性無毛症や、細い毛のみがまばらに存在する先天性乏毛症などが挙げられます。

検査・診断

男性型脱毛症の場合には、年齢や症状などから容易に診断を下すことができるため、特別な検査を必要としない場合もあります。しかし、血液検査などによって男性ホルモン値を調べたり、拡大鏡などで頭皮の皮脂腺などの状態を観察したりすることがあります。

また、円形脱毛症の場合は、自分で頭髪を抜く癖によって脱毛斑に似た症状を引き起こすトリコチロマニアとの鑑別が必要となる場合があります。

トリコチロマニアは主に小児に多く、自身で頭髪を抜く癖に気づいていない場合や癖を認めない場合が多く、円形脱毛症との鑑別が難しいこともあります。しかし、トリコチロマニアの脱毛斑様の脱毛部は硬い頭髪の残骸が残っているのが特徴で、円形ではなく周囲との境界が不明瞭なのが見分けるポイントです。

また、SLEなどの自己免疫疾患梅毒などの感染症でも脱毛が生じることがあり、これらとの鑑別を行うために種々の血液検査が行われることもあります。

さらに、先天性脱毛症の場合には、症状や家族歴から診断を下すため、特別な検査を行うことは少ないですが、遺伝子検査によって確定診断を行うことが可能です。

治療

脱毛症の治療は病型によって大きく異なります。しかし、いずれの病型においても治療を続けて症状が改善しない場合には、医療用カツラや植毛などが使用されます。

男性型脱毛症

男性ホルモンのはたらきを妨げるフィステナリドと呼ばれる飲み薬がもっとも一般的に行われる治療です。そのほかにも育毛効果のあるミノキシジルの外用薬が使用されることがあり、両方を併用する場合もあります。

また、飲み薬や外用薬で効果がみられない場合には、幹細胞由来の薬液を頭皮に注入して頭髪の成長を促す治療が行われることもあります。

円形脱毛症

多くは自然に治りますが、症状が改善しない場合にはステロイドの塗り薬や局所免疫療法、光線療法の一種であるPUVA療法、凍結療法などが行われます。

また、症状が急激に悪化して、頭全体に脱毛が生じそうな場合には、ステロイドや免疫抑制剤の内服治療が行われるケースもあります。

先天性脱毛症

遺伝子の異常による場合が多いため、根本的な治療方法はありません。多くは小児期から医療用カツラを使用して日常生活を送ります。

近年では、遺伝子治療や頭皮の移植などの治療法が研究されており、今後の治療法の発見が期待されています(2018年12月時点)。

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