インタビュー

脱毛症とは?―原因が多岐に渡り、全身疾患をも伴う病気

脱毛症とは?―原因が多岐に渡り、全身疾患をも伴う病気
齊藤 典充 先生

なごみ皮ふ科 院長、神奈川県皮膚科医会 副幹事長

齊藤 典充 先生

この記事の最終更新は2015年07月27日です。

脱毛症」について、皆さんはどれだけのことをご存知でしょうか。「年を取った男性の頭部が薄くなる現象」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

脱毛症は読んで字のごとく、毛が減ってしまう病気のことです。もちろん、前述したようにある程度年を取られた男性に多くみられる現象の一つでもあります。しかし、それ以外にも脱毛症は様々分類されていることをご存知でしたか?今回の記事では、横浜労災病院皮膚科部長の齊藤典充先生に、脱毛症とはどんな病気で、どのようなタイプがあるのかについてお話をお伺いしました。

脱毛症とは、「頭髪または体毛が減ってしまった状態」のことです。
人の髪や体毛は通常、毛周期と呼ばれる一定のサイクルを保ち、「毛が伸びる」「毛が抜ける」「毛が生える」を繰り返しています。朝起きた時、枕に抜け毛が多くついていることを不安に思い、受診される患者さんもいらっしゃいますが、1日に50本から100本位の抜け毛は生理的脱毛と呼ばれる正常範囲の生え変わりです。
一方、毛周期のサイクルが崩れ、何らかの原因で正常範囲を超えた脱毛があり、毛が減ってしまった状態のことを脱毛症といいます。
また、少数ではありますが、先天的に毛が生えない問題を抱えている人も存在します。

円形脱毛症は、基本的にまえぶれもなく、頭や顔、身体の様々な部分にコインのような円形型の脱毛斑ができます。こどもから大人まで、年齢にかかわらず発症します。

多くの男性は年齢とともに前頭部や後頭部の毛量が減少していきますが、男性型脱毛症は男性ホルモンの作用により発症し、特定のパターンで脱毛が進みます。女性にも発症します。

粃糠性脱毛症とは、皮脂の分泌により頭皮に炎症を起こし、頭全体に細かい灰白色のフケが発生し毛髪が薄くなる病気のことです。粃糠性脱毛症の特徴は、頭皮が赤く炎症を起こし、かゆみをともなう点であり、その後脱毛が発生します。
粃糠性脱毛症は皮膚炎の延長であるため、悪化する前の早い段階で医師に相談し治療をすることが望ましいでしょう。なお、粃糠性脱毛症の治療を行う場合、頭皮の炎症を抑えるステロイド剤や皮脂の分泌を抑える外用剤を塗る治療法が一般的です。また、炎症にともなうかゆみを抑えるための飲み薬を併用することもあります。

英語学名ではトリコチロマニアと呼ばれます。頭皮や毛髪には異常がないにも関わらず、自ら正常な毛を引き抜いてしまうことで脱毛斑が出現する精神疾患です。抜毛癖とも呼ばれます。本人はまったく自覚がなく、無意識のうちに毛を抜いてしまうこともあるとされます。ストレスを表すための表現型として発生し、20代以下に多い症状です。生活環境や家庭環境が引き金となることが多いようで、親のいいつけをよく聞くいい子やまじめな子に症状が多い印象を受けています。また、お母さんがこどもを頑張らせすぎてしまい、こどもの逃げ場がなくなることで起きるケースもよく見かけます。

症状は、主に頭髪を引き抜く行為が目立ちますが、他にも眉毛やまつげなどを含む体毛全体に抜毛行為はおよびます。大事なものを抜いてしまうという心の問題であるため、他の脱毛症と異なり皮膚科の治療だけでは改善が見込めません。精神科や心療内科と協力して治療を行い、気持ちに対する治療を行います。状況によっては、こどもにプレッシャーをかけすぎないよう、お母さんのケアが必要になることもあります。

そのほかにも、脱毛症は、出産後の脱毛・自己免疫疾患よる脱毛・急性熱性疾患や代謝障害による脱毛など多くのことをきっかけとして起きます。髪を洗っている時にごっそりと毛が抜けたり、頭に触れたりするだけで多くの抜け毛が出るような場合には早めに医療機関を受診してください。

 

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